TSシリーズのユーティリティがようやく登場
現在USPGAで一番の使用率を誇るTS2とTS3にハイブリッドモデルが追加されました。タイトリストは、アイアンと同時にハイブリッドを発売するメーカーです。
これは、ハイブリッドがアイアンの延長で、スコアアップのためにはアイアンをベースとしたセッティングが必要という考えなのでしょう。
正式名称は、TS2、TS3ユーティリティメタルです。なぜか“メタル”というのを最後につけるのがタイトリストのネーミングの特徴です。
フェアウェイウッドはフェアウェイメタルですからね。
このTSユーティリティメタルは、度数が17°から2°刻みで27°までの、計5種類の度数の選択肢があります。
プロがハイブリッドを入れているのはあまり見ませんが、アマチュアでは多用されます。そうした時に、これだけ選択肢があるのはありがたいです。
しかも、シャフトもカーボンが純正で二種類用意されているのもポイントです。それぞれ60g台と70g台で、ハードヒッターでも問題なく扱えるようなスペックです。
TSシリーズのドライバーでも、TS2には2種類の純正シャフトが用意されていました。
やはり、タイトリストはこういった配慮が至るところに見られるメーカーだと思います。
選択肢の多さは時に迷いにつながる可能性があるものの、タイトリストが提唱するスコアアップのためのクラブセッティングには必須なのだと思います。
とりあえず、TS2&TS3ユーティリティメタルの試打データを見てみることにします。
試打データ
TS2ユーティリティメタル × Titleist MCI Matte Black 70
ヘッドスピード | 47.6m/s |
平均キャリー | 218y |
平均トータル | 233y |
平均サイドスピン | 298rpmフェード |
平均バックスピン | 3865rpm |
平均打ち出し角 | 3.1 |
平均打ち上げ角 | 19.5° |
左右ブレ | 22y |
TS2&TS3ユーティリティメタルは、前作同様MCIの70g台が用意されています。ブラックからマットブラックになり、スペック的には全体的に柔らかくなったようです。
キックポイントは先中調子ですが、試打データを見ると捕まりはあまりよくなさそうです。
ポイントは打ち出し角です。
打ち出し角の平均が3.1°とやや大きいです。サイドスピン自体は平均で300rpmを下回っているのでこれはヘッド特性によるものだと考えられます。
TS2はドライバーもオートマチックなフェードバイアスでしたが、それはハイブリッドでも同じだと思います。
TS2ユーティリティメタルでドローはほとんど出ません。それどころか、慣れるまではスライスばかり出て困ったくらいです。
振り心地は、やたら慣性モーメントの大きいクラブ(ナイキのSQみたいな)を振っているような感触でした。
ただ、飛距離は損なわず、平均でも218y、最大でキャリー227yでした。スリーブのポジションでアップライトセッティングにしても良いかもしれませんね。
ブレ幅は縦13y、横9yでした。
TS2ユーティリティメタル × Titleist Tour AD T60
ヘッドスピード | 49.6m/s |
平均キャリー | 211y |
平均トータル | 223y |
平均サイドスピン | 204rpmフェード |
平均バックスピン | 4939rpm |
平均打ち出し角 | 2.3 |
平均打ち上げ角 | 19.0° |
左右ブレ | 14y |
こちらのシャフトは、タイトリスト用の60g台のシャフトです。デザインはツアーADのPTに似ていますが、タイトリスト用はつや消しです。
TS3のドライバーの純正シャフトがこれと同じデザインでしたね。
キックポイントは中調子で、トルクは3.6ですので、軽量でありながら純正のMCIと同じくらいの硬さです。
試打データを見ると、まだこれでもフェード系であることに変わりはありませんが少しマイルドになっています。打ち出し角は平均2.3°、サイドスピンは平均204rpmのフェードです。
飛距離では、MCIの方が飛んでいましたがこちらの方が安定感があります。縦ブレ6y、横ブレ2yです。
また、もう一つMCIとの大きな違いとしては、バックスピン量にあると思います。T60は平均で5000rpm近い数値ですのでハイブリッドの21°としてはかなりスピン量が多いです。
ですから、T60はピンを積極的に狙えるクラブにできますし、MCIは遠くてもグリーン近くまで飛ばせる性能を持っていると言えそうです。
TS3ユーティリティメタル × Titleist MCI Matte Black 70
ヘッドスピード | 49.7m/s |
平均キャリー | 223y |
平均トータル | 237y |
平均サイドスピン | 326rpmドロー |
平均バックスピン | 4061rpm |
平均打ち出し角 | -0.4 |
平均打ち上げ角 | 17.3° |
左右ブレ | -12y |
TS3はTS2とはまるで逆で、ドローがかかりやすい設計だと感じました。
厳密に言うと、ドローがかかりやすいというより、どちらも打てるといった印象です。
ヘッドが小さく操作性が良さそうな見た目で、アイアンのように打つことが出来ます。
数値としては、安定して300rpmほどのドロー回転、4000rpm前後のバックスピン量で、飛距離は220y超えです。
21°なので、ハイブリッドとしては特別飛ぶわけではありませんが、安定してその飛距離を出すことができるのは大きなアドバンテージだと思います。
縦ブレ1y、横ブレ14yです。TS3ユーティリティメタルはグリーンを狙えるハイブリッドでしょう。しかも、曲げもコントロールしやすいのでトリッキーな場面でも活躍しそうです。
ノーマルだと打ち出しから左に飛ぶことがありますのでセッティングは、ライ角を少しフラットにした方が良さそうです。
TS3ユーティリティメタル × Titleist Tour AD T60
ヘッドスピード | 48.9m/s |
平均キャリー | 217y |
平均トータル | 233y |
平均サイドスピン | 270rpmドロー |
平均バックスピン | 3581rpm |
平均打ち出し角 | 1.6 |
平均打ち上げ角 | 18.8° |
左右ブレ | -3y |
TS2との組み合わせではMCIよりも捕まるという試打データでしたが、TS3と組むとドローが小さくなりました。
サイドスピンが減るシャフトということなのかもしれませんね。軽いですが、叩けるシャフトでしなり戻りの量は少ないように感じます。
他のメーカーでも60gのシャフトがありますが、タイトリスト用は抜群にシャキッとしています。
さて、試打データを見てみますと、TS3でも飛距離が落ちました。しかも、バックスピンが減って3500rpm程でした。
ブレ幅は縦5y、横14yです。
最大飛距離はキャリー220y。TS3ユーティリティメタルは縦の安定感があるので、上級者からすると使いやすいと思います。
結局、グリーンを狙う場合、奥は危険な場合が多く、グリーンのライン的にもピンの横は簡単な場合が多いです。
つまり、縦距離が重要なのです。そういった面で、TS3ユーティリティメタルは積極的に入れたいハイブリッドだと思いました。
ビジュアルで見る弾道
TS2ユーティリティメタル
黄色がMCI、赤がT60です。
曲がり幅はどちらも大きくなく弾道は赤のT60の方が高いです。
TS3ユーティリティメタル
緑がMCI、白がT60です。棒球ではなくはっきりとしたドロー。
横から見た弾道でも、揃っていてこの画像からも安定感が伝わるかと思います。
全体的に、白の方が低いです。
見た目の違い
TS2は台形のウェイトがソールのフェース側に配置されています。デザインとしては、TS2というよりTS4のドライバーに似ています。
形状は丸っこくて平均的なハイブリッドのスタイルです。
TS3は一回り小さく四角いデザインです。
上がTS2、下がTS3です。
TS2はフェアウェイウッドのようにトゥ側までスコアラインが伸びていますが、TS3は四角いフェースです。前作の818H1と同じスタイルです。
フェースの長さはやや短めです。
TS2はベーシックな大きさ、形状という印象です。
一方で、TS3は構えてみるとグースネックに見えます。
TS3のクラウンのヒール側は絞ってありコンパクトなデザイン。易しそうには見えません。
ギミック
この秤が合っているかあまり信用していませんが、7gでした。ホームページにも書いていないので、とりあえずこの数値を参考までに。
TS3にはSURE FIT®CGが搭載されています。ノーマルで変更は必要ないと思いましたが、一応アクセサリーパーツとして購入できるようになるでしょう。
これは約14gでした。818と同じ重量です。
スリーブは互換性がありました。おそらく同じものです。左が818用、右がTS2&3用です。
データチャート
飛距離はまずまずで、可もなく不可もなくの8点の評価。
安定性とスピン量がこのクラブの優れたところだと思います。これだけ安定していれば、グリーンを狙えますがら、17°などの飛距離の出る番手を入れても面白いかもしれません。
易しくは無いので、そこは評価が少し低めですが、TS2に関してはオートマチックです。TS2のドライバーとほぼ同じ動きを見せるのでドライバーと合わせてセットすると良いでしょう。
総評
個人的にはかなり好みのハイブリッドです。
見た目はTS2の方がかっこいいと思っていますが、TS3の性能は抜群なので魅力的です。
シャフトは、純正で十分満足のスペックですから、私のようなハードヒッターであってもカーボンでいいと思いました。
一応、950neoが吊るしでラインナップされているのでアイアンに合わせてスチールにするのもアリでしょう。
818のハイブリッドはトゥルーテンパーのAMTホワイトが吊るしで用意されていましたが、今作のTS2&TS3ではカスタムスペックになるようです。
アイアンを620シリーズでAMTを組むなら、シャフトは同じAMTでも良いと思います。818とスリーブの互換性があるので試打クラブも店舗に残っているハズです。
ぜひ試打してみてください。
おススメ度













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