カーボンフェースを実用化
最近のドライバーは製造技術の向上による進化が目立ちます。特に、テーラーメイドは、ステルスドライバーの前作SIM2で接着剤によるカーボンパーツだらけのドライバーを作りました。
そんなこともまだ記憶に新しいうちに、エグいドライバーを発売。それが今回紹介するステルスドライバーです。60層重ねたカーボンフェースは従来のチタンフェースよりも44%軽量化。半分とまでは言いませんが、それに近いくらいのダイエットに成功しているわけです。
今回の試打評価では、ステルスドライバーのスピン性能や初速性能に注目して、解説していきたいと思います。







ステルスドライバーのデザイン
ステルスドライバーのデザインは、SIM2と酷似したシルエット。
フレーム形状はほとんど同じように見えます。イナーシャジェネレーターの後方にはウェイトがありますがステルスではリングとネジが組み合わさったタイプになっています。
これはテーラーメイドの純正のレンチでは外れませんが、やや細い星形トルクスなら外せます。
ステルスドライバーのカーボンクラウンはこんな感じです。
ステルスの大好きなポイントはここのロゴ。エンボスみたいにしれっとデザインされているのが乙。
カーボンウッドという新しいワードが小さめに書いてあります。カーボンフェースはこれまでもありましたが、性能や耐久性の課題はありました。
構えると、赤いフェースもそこまで気になりません。
ステルスドライバーですごく気になるこの穴。前作とパーツを共有しているのでしょうか。スピードインジェクションの穴に見えます。
試打データ
ステルスドライバー9°×純正テンセイレッド
ヘッドスピード | 55.8m/s |
ボールスピード | 77.5m/s |
平均キャリー | 320y |
平均トータル | 346y |
平均サイドスピン | 187rpmフェード |
平均バックスピン | 1854rpm |
平均打ち出し角 | -2.8° |
平均打ち上げ角 | 15.7° |
最大の高さ | 45y |
落下角度 | 41° |
左右ブレ | -1y |
初速性能は、もうすでに最高レベルまで来たかなという感じです。ステルスドライバーの純正シャフトでの試打データでは平均で77m/sオーバー。
驚くべきポイントはバックスピン量です。
超低スピンです。平均で1800rpm台というのは、正直実用的とはいえず、少なすぎます。
しかも、フェードでもドロップするほどの低スピン。ただ、平均320y、最高325yという驚異的な飛距離性能はステルスドライバーの最大の強みだと断言できます。
ステルスドライバーは低スピンなだけでなく、低弾道なのも特徴。これは諸刃の剣です。ロフト選択に迷ったら大きい方を選んでください。
ステルスドライバー9°×スピーダーNX40R

ヘッドスピード | 56.0m/s |
ボールスピード | 78.4m/s |
平均キャリー | 311y |
平均トータル | 333y |
平均サイドスピン | 240rpmドロー |
平均バックスピン | 2329rpm |
平均打ち出し角 | -0.6° |
平均打ち上げ角 | 15.7° |
最大の高さ | 51y |
落下角度 | 45° |
左右ブレ | -22y |
こちらは、少しドロー傾向のセッティングにしてみました。ステルスドライバーの方向性はマイルドフェードなので、比較的色々なシャフトを組めそうです。
ドロップ気味の弾道が出ます。ステルスドライバーはシャフトを柔らかくした方が、バックスピンは増える感じがします。
弾道の高さも、40g台にすると高くなるので使える人も増えそうです。

ステルスドライバー9°×ディアマナPD40S

ヘッドスピード | 55.5m/s |
ボールスピード | 77.3m/s |
平均キャリー | 300y |
平均トータル | 320y |
平均サイドスピン | 503rpmドロー |
平均バックスピン | 2574rpm |
平均打ち出し角 | -1.6° |
平均打ち上げ角 | 16.1° |
最大の高さ | 53y |
落下角度 | 47° |
左右ブレ | -43y |
ステルスドライバーのカスタムの可能性を探るために、ディアマナPDの組み合わせでも打ってみました。
ステルスドライバーにディアマナPD40Sを付けてみると、ドロー回転が強めになりました。PDの特性はしっかり出るみたいですね。
ステルスドライバーとディアマナPDの相性はそこまで良いとは言えませんが、飛距離はそこそこ出ていますね。
ステルスドライバー9°×ディアマナPD60S
ヘッドスピード | 54.9m/s |
ボールスピード | 78.4m/s |
平均キャリー | 303y |
平均トータル | 322y |
平均サイドスピン | 72rpmドロー |
平均バックスピン | 2752rpm |
平均打ち出し角 | -2.7° |
平均打ち上げ角 | 16.2° |
最大の高さ | 57y |
落下角度 | 48° |
左右ブレ | -20y |
重量を60g台にしてみました。バックスピン量は他のモデル同様硬い方が増える傾向にあるのがステルスドライバーの特徴かなと思います。
方向性はストレートに極めて近いドロー。平均でも300yを超える良いセッティングではあるものの、純正シャフトを超えることは無さそう。
スピン量は2700rpmを超え、ややロスがありそうな感じ。ステルスドライバーは軽量セッティングの方が向いています。
ステルスドライバー9°×ベンタスTRブルー6S
ヘッドスピード | 53.1m/s |
ボールスピード | 75.2m/s |
平均キャリー | 294y |
平均トータル | 314y |
平均サイドスピン | 5rpmフェード |
平均バックスピン | 2582rpm |
平均打ち出し角 | -6.9° |
平均打ち上げ角 | 15.0° |
最大の高さ | 48y |
落下角度 | 45° |
左右ブレ | -37y |
この組み合わせが気になっている人も多いかと思いまして、試してみました。結果から言うと、ステルスドライバーにベンタスTRは合いません。飛距離も初速も、もっと言えばヘッドスピードも出ません。
そして異常に左に打ち出すのは何か悪さをしている感じが否めませんね。ステルスドライバー自体はフェードバイアスがあって、カスタムしたらフェードの方が集めやすいのかと思っていましたが、全然違いました。
まだまだ分からないことだらけですね。ただし、硬いシャフトでバックスピンが増えると言うのはステルスドライバーの特徴だと言うのが確信に変わる試打データでもありました。

カーボンフェースの是非
ステルスドライバーのトピックと言えばカーボンフェースだと思います。
この真っ赤なフェースですが、60層のカーボンシートで出来ています。実物を見ると、表面に樹脂の層があるのが分かります。これはPUと表記されています。
調べてみると、ポリウレタンのことでゴルフではお馴染みのエラストマーもポリウレタンに含まれるようです。この層はしっとりしていて、食い付き感があります。実際、カーボンだけのフェースではあまりに低スピンになるため、この層が存在するとのこと。
さて、ステルスドライバーのカーボンフェースですが、とてもよく出来ています。打感は金属とはまるで違いますが、不快ではありません。昨今の硬いチタンでも真芯では柔らかさを感じることが多かったですが、ステルスのカーボンフェースはそれがありません。表面と潰れた先ではまるで違う打感なので、ヘッドスピードによって感想は様々でしょう。
各種重量
ステルスドライバーのヘッド重量は、約195gでした。前作のSIM2MAXは194gだったので少し重くなりました。
フェースを44%軽くしても同重量となると、いかに後方に重量が分配されているかが理解出来ます。
後方のウェイトはこんな風に外せます。
ウェイトは6gでした。ステルスシリーズの他のモデルも同じ重量でした。
ステルスドライバーのフィーリング
フェースが軽くなればフィーリングは激変します。
ステルスドライバーのフィーリングのポイントは以下にまとめてみます。
- フェース向きが分からない
- 打点が分からない
- 感覚と弾道の不一致
ステルスドライバーの振り心地は、これまでの常識には当てはまりません。なので、必ず試打しましょう。
カスタムの可能性
ステルスドライバーは、まだ打ちやすいのとマイルドな方向特性から、さまざまなシャフトがア合うと思います。
個人的には以下の点に注意すれば良いと思います。
- シャフトは極端な方向性出ないもの
- スピン量が確保できるシャフト(マトリックスチャート参照)
- ロフトは10.5°をベースに考える
- スリーブポジションを最初にきめる
シャフトの硬さは、柔らかい方が綺麗に動いてくれます。
データチャート
ステルスドライバーは、難易度高めでスピン量少なすぎ、飛距離性能バグです。
中々癖がある気もしますが、なぜか購入しました笑
総合評価
性能は間違いなく高いです。あとは、フェースの耐久性がどうなのかです。私も購入しましたので、この辺りはまた随時更新していこうと思います。
ステルスドライバーはカーボンフェース時代の幕開けに火蓋を切らした歴史的モデルになることは間違いないでしょう。是非とも体験して欲しいです。
おススメ度
ステルスドライバーを買うならUSモデルが圧倒的に安いです。純正シャフトがVENTUSのデザインなのも良さげ。


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