これぞタイトリストの形状
タイトリストは、USPGAの選手を多く抱えているため、性能は限りなくツアーのニーズに寄せている印象です。2年おきに新作を発売しますが、クラウン含めヘッドはフルチタンにこだわっているように思います。
昨今のドライバーは、カーボンクラウンに限界まで薄肉化したフェース、中には初速を上げるための特殊な製造方法を採るメーカーまであります。
それに比べるといささか地味な印象を持つメーカーではありますが、性能は張っているのがすごいところ。2020年モデルのTSi3ドライバーはとことんタイトリストらしく、それでいて革新的なドライバーとして登場します。
TSi3のチタンフェース
TSi3ドライバーに採用されたチタンフェースはこれまでの6-4チタンよりも強度があり薄く出来るという特徴があります。薄くできるだけかよと思うかもしれませんが、これは非常に効果が高いので覚えておきましょう。
最近のドライバーは、飛距離性能をルールギリギリまで引き上げることはもちろんのこと、慣性モーメントを高めて曲がりにくくする工夫をしています。フェースが薄くなるということは、軽くもなるわけです。
ヘッドの前部分が軽くなれば、重心は後ろに下がります。重心が後ろに下がるということは深重心≒高慣性モーメントということになるのです。当然ロフトも最適な角度がこれまでと変わるので、TSi3ドライバーでは前作よりも0.5°ストロングにしています。
今回TSi3ドライバーに採用されたフェース素材は、2016年に登場したコンセプトシリーズ、タイトリストC16ドライバーのクラウンに使われていた素材。4年以上かけてようやくフェースに使えるようになったのです。
試打データ①ツアーAD DI
ヘッドスピード | 53.1m/s |
ボールスピード | 77.1m/s |
平均キャリー | 295y |
平均トータル | 314y |
平均サイドスピン | 106rpmストレート |
平均バックスピン | 2826rpm |
平均打ち出し角 | 0.3° |
平均打ち上げ角 | 17.0° |
最大の高さ | 58y |
落下角度 | 49° |
左右ブレ | -5y |
いや、初速がすごい!!
エピックフラッシュクラスの高初速です。ちなみに、歴代だとエピックフラッシュサブゼロシングルダイヤモンド(ツアー支給品)が77.6m/s、エピックフラッシュサブゼロで77.1m/s、その次はツアー支給品のRSFトリプルクローバーの76.4m/sです。ちなみに同じくTSiシリーズのTSi2は76.7m/sなのでこのフェースが優秀であることは間違いないでしょう。この素材でフラッシュフェース作ったらどうなるんだ…



今回の試打はTSi3ドライバーの9°のヘッドにツアーAD DI6Sを組んだものを使用しています。最大距離では純正でキャリー304y、DIでキャリー301yでした。
平均値としてはTSi3ドライバーの方がバックスピンが多くなってしまいましたが、こちらの方が少なくなりやすいです。弾道の高さも低くなります。
オレンジがTSi3。
弾道はストレートで、前作とほとんど同じ感触でヘッドが動きます。非常にニュートラルで安心しました。TSi3とTSi2を比較すると、打ち出し角がTSi3がストレートで、TSi2が右という特徴がありますが、最終到達地点はほぼ同じ。
オレンジがTSi3。
こうして見るとTSi3ドライバーの方が安定していますが、安心感はTSi2の方がほんの少し上かなぁ。まぁ、ほとんど差はなく限りなくユーザーに依存すると思います。
試打データ②純正シャフト
シャフト | TSP322 | TSP110 |
ヘッドスピード | 54.7m/s | 55.1m/s |
ボールスピード | 76.1m/s | 76.7m/s |
平均キャリー | 293y | 289y |
平均トータル | 313y | 308y |
平均サイドスピン | 109rpmドロー | 27rpm |
平均バックスピン | 2727rpm | 2995rpm |
平均打ち出し角 | -2.2° | -1.8° |
平均打ち上げ角 | 16.4° | 16.0° |
最大の高さ | 54y | 55y |
落下角度 | 47° | 48° |
左右ブレ | -20y | -11y |
赤がTSP322で、白がTSP110です。ちなみに、TSPはタイトリスト・スピード・プロジェクトの略です。
見てもらうと、TSP322の方は非常に安定しています。バックスピン量がTSP110よりも少し少ないです。最大値はキャリーで300yです。TSP110は最大293yでした。ボリュームゾーンで見るとバックスピン量はTSP322が110よりも350rpmくらい少なくなります。
メーカーの人には、110がより捕まって高弾道だと言われたのですが、どちらもそこまで大きな差はありませんでした。
TSiシリーズの純正シャフトについて
毎作タイトリストは純正シャフトを複数用意してくれるのですが、本当に完成度が高いです。私のようなハードヒッターに純正シャフトは関係ないと思うかもしれませんが、純正シャフトはメーカーがこれがベストだと思って組み合わせたモデルです。つまりメーカーの意図がそのまま表れるわけです。
TSi3ドライバーに対しては、TSP322の相性が抜群でした。基本的には捕まり過ぎますが、安定します。ツアーSというSの上のフレックスもラインナップされています。これが人気で品薄になっているようですが。
TSP110はやや軽いモデルです。こちらもツアーSがラインナップされています。
スペックはこんな感じです。
TSi3ドライバーの強み
顔です。
TSi3ドライバーは顔がとにかく良いです。ブリヂストンのツアーB Xも顔が良かったのは記憶に新しいですが、TSi3ドライバーの方がスクエアなのでよりかっこよく見えました。
TSi3ドライバーのフェースが多少ヒールに膨らんでるような気もしましたが、試打している時は気になりませんでした。
このように見てもかっこいいです。カラフルにしなきゃ気が済まない某メーカーや、ウェイトギミックがスイングの邪魔をしてしまうほど張り出している某ドライバーとは大違いでとにかくシンプル。
悪く言えば特徴が無い訳ですが、何も違和感を感じさせないデザインが一番難しいと私は考えているので、感心しております。
TSi3ドライバーのデザイン考察
TSi3ドライバーは後方に特徴的なウェイトギミックがあります。
相変わらずヘッド形状に影響を与えないようにしているのは空力のためでしょうか。某MAXドライバーは形状が最悪だったのでさすがタイトリスト。
TSi3ドライバーだけに搭載されたウェイトギミックですが、FWやHYにはソール中心の内部に仕込んでいるのが馬鹿な男子にはたまらなく魅力的に感じてしまいます。
形状で言えば、917D3くらいのイメージです。TS4を気持ち大きくした感じにも見えますが、印象としては「小さめ」。
TSi3ドライバーはシャローバックというほどでもなく、オーソドックスな形状。ソールのトゥとヒールのカラーリングはTSi3の方が2よりも濃いです。
何と言っても特徴的なフェースです。センター部分は網目模様になっていて、触るとざらざらしています。これがとにかくボールを削ります。
下手がばれるのであまり公開したくないですが、こんな風になります。ウレタンカバーボールですが、拭いても取れません(笑)
購入する人にとってはちょっとネガティブな特徴です。
TSi3ドライバーのウェイトギミックの効果
TSi3ドライバーのトピックは、フェース素材とこのウェイトギミック、SureFitCGトラックでしょう。前作では、マグネットの棒を内蔵していましたが、TSi3ドライバーではヘッド後方にスライドするウェイトをプラスチックのパーツで挟み込む方式に進化?しました。
私は前作までのウェイトギミックの位置がヘッドの真ん中と最後部の中間くらいの位置にありました。それゆえに14gというかなり重いウェイトを仕込むことになっていました。ウェイトギミックにこれだけの重さを使うとなると、他のパーツを軽くしなければならなかったり、ヘッドサイズに制限が出てきたりするためやや難があったと考えています。
TSi3ドライバーのウェイトギミックは、シンプルです。ブリヂストン、キャロウェイ、ピンなどが採用しているタイプと似ています。TSi3のウェイトギミックの優れている点は、
- 邪魔にならない
- ウェイトの移動が楽
- 重すぎない
案外、ウェイトの場所を変えるのが煩わしいものが多いです。ピンとブリヂストンはネジを回して外さないといけないので時間がかかってしまいます。TSi3ドライバーとキャロウェイのペリメーターウェイトはそういった意味で秀逸なつくりをしていると思います。
TSi3ドライバーのウェイトギミックは、標準のNを含めて5つのポジションが選択できます。表示はTとHで、それぞれトゥとヒールを意味しています。まぁ、本音を言うとドロー、フェードの方が多くの人に分かってもらえるとは思いますが、それがタイトリストらしさとも言えます(笑)
試打データ
白が普通のポジション、赤がT2、青がH2です。
青が非常に見ずらいですが、データと一緒に見てみてください。TSi3ドライバーのウェイトギミックの効果は、かなり大きいと感じました。こうして一球ずつ見てもイマイチ理解しにくいかもしれませんね(笑)
TSi3ドライバーでHポジションとTポジションに変更することのポイントは、逆球が出なくなることです。TSi3ドライバーはかなりニュートラルなヘッドなので、逆球の心配が残っていました。しかし、このギミックさえあれば、安定性も出せるため、敵なしでは無いでしょうか。
TSi3ドライバー・各種重量
TSi3ドライバーのヘッド重量は、194g強ですから、スリーブ込みで202g程度となります。
可変のウェイトの重量は8gです。これはおそらく重量違いの替えウェイトを販売すると思います。
他社製品との比較
TSi3ドライバーのポジションはTS3とほとんど同じと言って良いと思います。
バックスピン量は少なくなりましたが、打ち上げ角が高いので弾道の高さはあまり変化なしです。
ですから、組み合わせるシャフトは何でもオッケーです。このマトリックス図を作るのにニュートラルなヘッドが無いと困るのでとりあえずTSi3ドライバーがこのポジションで安心しました。
チャートはこちらから見ることが出来ます。
注意点
TSi2の記事でも言及しましたが、TSi3ドライバーもカタログカスタムがDIの5Sと6Sのみになりました。ですから、ディアマナTBなどを組むと若干高くなるようです。逆に、納期が短くDIが手に入るのでファンの人には好都合でしょう。
また、TSi3ドライバーはロフト角8°がカスタムオーダーなので店頭には並びませんからこちらもご注意ください。
データチャート
やさしくはないです。それだけは言っておきます。難易度で言えば、TS3とTS4の中間、やや難しいという感じでした。それでも、スピン性能、安定感、ギミックの巧みさなど評価したいところはたくさんあり、TSi3ドライバーがとても魅力的なドライバーであることは間違いありません。
総合評価
自分が欲しいかどうかは別にして、上級者に人気が出そうな良いドライバーだと確信しています。TSi3ドライバーの初速はエピックフラッシュに匹敵するわけですから、例えば、特注の8°のロフトにしてあげることでエピックフラッシュ以上の飛距離性能を実現できる可能性は十分にあります。
TSi3ドライバーは、これまでタイトリストを使っていたけど今ピンやキャロウェイー、テーラーに乗り換えている潜在的なファンを取り戻すのに十分な性能を秘めています。数か月後に発売されるテーラーとキャロウェイ(エピフラの後継なので期待大)の新製品とTSi3ドライバーがどれだけ張り合えるか、見ものです。
おススメ度






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