ベンタスの強い奴ら
ベンタスシリーズは全てがツアープレーヤー向けに作られたシャフトで、アマチュアが使ってメリットがあるようなモデルではないのですが、なぜだか勘違いハードヒッターに大人気です。
実際私の周りのホンモノたちで使っている人も結構いますが、そういう人でもメリットを引き出せている人は少ないと思います。
今回特集するのはそのベンタスシリーズの中でもさらにハードな仕様のベンタスTRシリーズ。私が全て購入したので同じヘッドで試打比較をしていきます。
ベンタスTRのコンセプト
ベンタスTRは通常のベンタスシリーズ同様ブルー、ブラック、レッドの三色展開です。TR=Tour Ratedの略でツアーで実証された性能が売りです。スペック的にはトルクが小さく、振動数も高いのでより性能を引き出すのが難しい=難易度が高いシャフトと言えます。
ベンタスTRブルー
唯一国内展開されているのがベンタスTRブルーです。ベンタスブルーのようなフェードが打てる安定性の高いシャフトです。ベンタスシリーズの中で数少ない弾道の安定性だと私は日頃から主張しています。
スペックは幅広く、かなり選択肢が多いです。中弾道低スピンがベンタスTRブルーのコンセプトです。

ベンタスTRブラック
今後国内で発売されるかは分かりませんが、現状はUSモデルです。重量は50g台からありますがRフレックスが存在しない意味不明なスペックです。
低スピン低弾道で、重量もかなり重いのでスペック表記の一つ上の重量帯のような設定です。

ベンタスTRレッド
ベンタスTRレッドは、一般的に捕まるベンタスと評されるモデルです。中スピン中弾道なので「自分でも使えそう」と思う人もいるかもしれませんね。
スペックは他のTRと同じく50g台からあります。トルクが小さく、重量が上がっていくと中元調子になっています。

試打データ
ベンタスTRブルー
ヘッドスピード | 54.3m/s |
ボールスピード | 75.1m/s |
平均キャリー | 302y |
平均トータル | 326y |
平均サイドスピン | 256rpmフェード |
平均バックスピン | 2125rpm |
平均打ち出し角 | -2.7° |
平均打ち上げ角 | 15.1° |
最大の高さ | 44y |
落下角度 | 42° |
左右ブレ | 4y |
ヘッドは全てエピックフラッシュサブゼロで試打計測をおこなっています。平均飛距離はキャリー302yで、フェード回転ながら適度な低スピンを実現しています。
決してフェードが得意でない私でもフェードで安定させることが出来るというのはベンタスTRブルーの一つの強みだと思います。
最高キャリーは307yなので飛ばそうと思えば飛ばせるくらいの飛距離性能です。
ベンタスTRブラック
ヘッドスピード | 53.2m/s |
ボールスピード | 75.9m/s |
平均キャリー | 303y |
平均トータル | 326y |
平均サイドスピン | 466rpmドロー |
平均バックスピン | 2187rpm |
平均打ち出し角 | 0.8° |
平均打ち上げ角 | 16.4° |
最大の高さ | 49y |
落下角度 | 44° |
左右ブレ | -30y |
平均キャリーが303yで、バックスピン量が安定しないので特徴が掴みにくいベンタスTRブラック。最高キャリーは309yですがドロップ気味。
ベンタスブラックでもそうでしたが、ベンタスTRブラックはあまり方向的な特性を持っていないように思います。捕まりが弱くなるほど柔らかくもありませんし、スライスするほどの剛性分布でもありません。
距離が出るシャフトではありませんが、安定性も出しにくいです。
ベンタスTRレッド
ヘッドスピード | 54.8m/s |
ボールスピード | 77.3m/s |
平均キャリー | 310y |
平均トータル | 332y |
平均サイドスピン | 273rpmドロー |
平均バックスピン | 2276rpm |
平均打ち出し角 | -1.4° |
平均打ち上げ角 | 15.4° |
最大の高さ | 49y |
落下角度 | 44° |
左右ブレ | -28y |
最高飛距離はキャリー312yで、全体的には高初速ゆえに飛ばしやすいシャフトです。ドローバイアスが強いものの、ベンタスTRブラックほど引っ掛けたりはしないのである意味読めます。
初速は79m/sを超えることもあるのでこれは他のシャフトにも勝る特徴だと思います。


振動数の違い
他の記事にも掲載していますが、ベンタスTRシリーズの振動数は全て260cpmを超えます。
国内展開モデルが中調子でも255cpmくらいなのでいかに硬いかがわかると思います。
ベンタスTRブラックは元調子で振動数が出にくいはずなのに267cpmとなると、ディアマナやスピーダーよりも2回りほど硬いシャフトということになりそうです。
逆にベンタスTRではレッドがそこまで硬くありません。まぁこれはベンタスレッドの方がキックポイントがシャフト先端側にあるという意味でもありそうです。
ベンタスTRマトリックスチャート
ベンタスとベンタスTRをまとめるとこんな感じです。
より癖が強いのがベンタスTRの全体的な傾向ですが、こうしてみると中々面白い配置になっています。
まとめ
ベンタスTRシリーズはブルー以外はUSモデルで簡単に入手できない上に試打も出来ませんからわざわざ選択肢に入れる必要はないかなと思います。ベンタスTRブラックは扱いにくさトップクラスですし、ベンタスTRレッドは捕まり感と硬さのバランスが独特です。
そう考えるとベンタスTRブルーが国内展開されている意味もなんとなく理解できます。フェードで低スピンが打てる特異性と試打する環境が整っていることもあって価値が高いと私は思います。
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