ベンタスTRブラック爆誕
ベンタスといえば勘違いハードヒッター御用達のシャフトですが、その新シリーズがベンタスTRです。最初はベンタスTRブルーが登場しましたが、2022年9月にベンタスTRブラックとベンタスTRレッドが同時発売。
私もシャフトコレクターとしてベンタスTRブラックを脳死状態で購入しましたので、所有者という大変フラットな目線で評価して行きたいと思います。一部刺激の強い内容になっている可能性があるので注意してご覧ください。
ベンタスTRブラックのコンセプト
ベンタスTRブラックは、超ハードなイメージが強いベンタスブラックをさらに強化したバージョンのようなコンセプトで、剛性分布と素材によって低打ち出し低スピンを実現。
スペックは50g台から80g台ですが、50g台と言ってもほぼ60gなのでかなりマッチョな感じがします。トルクは非常に小さく6Sでも3.1です。
ベンタスTRブラックのコンセプトには「たわませることを好まない人向け」「たわみを最小限に抑えたい人向け」のような記載もあり、既に吐きそうです。
ベンタスTRブラックのデザイン
流石にかっこいい。ベンタスのデザインはそもそもシンプルでカッコよかったわけですがベンタスTRブラックはさらに高級感が増したように感じます。
ベンタスのロゴは変わりませんが手元側の模様に変更が加えられています。
なにこれかっこいい!惚れちゃう!
そして私が信頼していないベロコアテクノロジーもベンタスTRブラックに搭載されています。原理はもう忘れたんで自分で調べてください。調べても効果ないので意味はありませんが。
試打データ
ベンタスTRブラック6S×エピックフラッシュサブゼロ9°
ヘッドスピード | 53.2m/s |
ボールスピード | 75.9m/s |
平均キャリー | 303y |
平均トータル | 326y |
平均サイドスピン | 466rpmドロー |
平均バックスピン | 2187rpm |
平均打ち出し角 | 0.8° |
平均打ち上げ角 | 16.4° |
最大の高さ | 49y |
落下角度 | 44° |
左右ブレ | -30y |
合わないシャフトはほとんどないと言っても過言ではないエピックフラッシュサブゼロとベンタスTRブラックを組みました。平均キャリーは303yとそこまで伸びず、バックスピン量はかなりブレましたが2500rpmと1800rpmにボリュームがあります。
こんなに性格が分かりにくいシャフトは稀です。最高飛距離はキャリーで309y、その時のバックスピン量が1834rpmなのでこれがクリーンヒットでもないような気はします。一番初速が高かったのが78.7m/sでこの時はバックスピンが2686rpmかかってキャリー302yでした。どちらも個人的にクリーンヒットではないのかなと。
この通り2種類の弾道なんです。そしてもう一つ面白いのが、打ち上げ角度です。このあと別のヘッドの試打データも見ますがこの傾向があるので注目です。
ベンタスTRブラック6S×エピックMAX LS10.5°(-1°ポジション)
ヘッドスピード | 53.8m/s |
ボールスピード | 75.5m/s |
平均キャリー | 281y |
平均トータル | 300y |
平均サイドスピン | 559rpmドロー |
平均バックスピン | 2949rpm |
平均打ち出し角 | -0.8° |
平均打ち上げ角 | 16.8° |
最大の高さ | 55y |
落下角度 | 48° |
左右ブレ | -38y |
エピックフラッシュサブゼロよりも捕まるヘッドですが、やはり引っ掛けが出ました。突然全く違う弾道になるのがベンタスTRブラックの不思議なところです。合うヘッドはグラデーションではなくはっきりと分かれています。
ベンタスTRブラックとエピックMAX LSの組み合わせでは、とにかくフェースが逃げる感じが強いです。それも右に逃げるのではなく上に逃げます。バックスピン量が4000rpmを超える弾道が定期的に出ます。
一球だけ飛んでいるのがキャリー297yの弾道。まぁこれでも全然飛んでません。ベンタスTRブラックは、捕まりが悪いモデルで捕まえに行かないと飛距離は期待できないどころか、真っ直ぐすら飛んでくれませんでした。
ベンタスTRブラック6S×G425LST9°
ヘッドスピード | 53.8m/s |
ボールスピード | 76.3m/s |
平均キャリー | 305y |
平均トータル | 327y |
平均サイドスピン | 202rpmドロー |
平均バックスピン | 2307rpm |
平均打ち出し角 | -1.2° |
平均打ち上げ角 | 15.9° |
最大の高さ | 50y |
落下角度 | 45° |
左右ブレ | -21y |
これまでも相性が良いと感じていたピンG425LSTを組んで試打データを取ってみました。平均初速は76.3m/sなので、ベンタスTRブラックは初速性能が低い感じはしませんでした。そもそもベンタスブラックはピンでは初速が落ちにくかったのでそれは継承しているようです。
方向性はサイドスピンの少ないストレート気味の弾道。ドローを打つのはほぼ不可能で、サイドスピンこそ左になっていますが打ち出し角度が右になることが極めて稀なので左打ち出しドロー(ドローとは言いたくないが)か、ストレートがベストな弾道だと考えています。
ベンタスTRブラックの平均飛距離はキャリー305yで最高キャリーは310yでした。この時大体2000rpmなのでやはり低スピンなのだとは思います。ただ、打ち上げ角度が低いという感じはせず、弾道の高さも十分でます。
ベンタスTRブラック6S×G425MAX9°
ヘッドスピード | 53.5m/s |
ボールスピード | 75.1m/s |
平均キャリー | 269y |
平均トータル | 299y |
平均サイドスピン | 1191rpmフック |
平均バックスピン | 1656rpm |
平均打ち出し角 | -3.3° |
平均打ち上げ角 | 13.5° |
最大の高さ | 30y |
落下角度 | 33° |
左右ブレ | -87y |
さてここからが問題です。ベンタスTRブラックと高慣性モーメントであり、比較的捕まるG425MAXを組んでみました。今の市場にはこのようなヘッドが多いのでこれに合わないと大変なわけですが、大変です。
ベンタスTRは右に打ち出すのが困難だと言いましたが、これがこのような悪影響になるとは思いませんでした。右に打ち出せなくてもフェードがかけられれば問題なかったのですが、この組み合わせではどう頑張っても無理でした。
私の力不足ですが、もっと詳細に分析してみようと思います。
ベンタスTRブラックの本当の特性
平均データなんて見てもあまり意味がないと思うので今回は特別に詳細データも公開します。上手く当たったデータを見ても仕方ないので“上手く当たっていそうで上手く飛んでいない”試打データを用意しました。
ヘッド軌道がほぼストレート、それに対して1.1°クローズドフェースでヒットしています。打点はセンターの少しトゥよりのやや上側。本来なら左にストレートが出そうなものですが実際の弾道が下の画像。
結果は引っ掛けのドロップショット。凄まじい勢いで左に飛んでいくので現実的に使えるとは言い難いです。ベンタスTRブラックの試打データは単に分析しても簡単に嘘をつくことが出来ますし、読者を騙すことも可能です。
私のこのデータで何か得ることが出来たなら幸いです。


ベンタスTRブラックの特徴
- 方向はドロー以外(万能だが暴れるとも言える)
- スピン量は少ない
- 引っ掛けが止まらないセッティングがある
- 右に打ち出そうとすると無理が出る
- 飛距離は出しやすくない
- ある意味安定はする(OB)
ベンタスTRブラックのフィーリング
これまた独特なので解説します。
ベンタスTRブラックの特徴の一つに“硬さ”があると思います。これまで打ってきた最もハードなカテゴリーにはテンセイCKプロホワイト、LA TRONO、アルディらRIP X、ローグホワイトリミテッドがあります。結果的にどれもUSモデルですが、ベンタスTRブラックは間違いなくその中に入ります。
ベンタスTRブラックは全方位高剛性の無敵のフィーリングだと思います。つまり、柔らかいポイント、しなやかなポイントが存在しないということです。TRONOやRIP Xにはねじれ方向でまだしならせるスキがあるのですがベンタスTRブラックにはありません。
振動数は6S(45.25inch)で267cpm。かなり硬い。
私はこれまでその柔らかいポイントを探すことが得意で、それだけであらゆるシャフトを打ちこなしてきた自負がありますが、通用しません。初めて6Sでオーバースペックだと思いました。
切り返しでは思ったよりもしなっていないと感じるため、どんなに自己暗示しても“もっとしならせないと”と思ってしまい、スイングが崩れます。結果的に私は50球ほど打って右の首と脇腹を痛めました。通常左側が筋肉痛になるのですが、ベンタスTRブラックを打って完全にバランスを崩しました。
ベンタスTRブラックのセッティング
マトリックスチャートで言えばベンタスTRブラックはエボTSの真下の一番低いところかなと思います。正直まともにセッティングするのであればフェードなので本当は右側に載せたいです。ですが引っ掛けの特性を無視すると分かりにくくなるとも考えているのでそんな結論です。
合わせるヘッドは絶対に左に行かないモデルがいいと思います。ベンタスTRブラックでドローを作るのは相当な腕が必要なので別のシャフトでやれば良いです。
マーベリックサブゼロよりも右側が確実なフェードラインかなと考えています。エピックフラッシュサブゼロが境界線で、それより左のヘッドだと絶望的。しかも、捕まらないヘッドでドローさせないと吹くので大変難易度が高いです。





データチャート
ベンタスTRブラックは、硬さだけでなくしなるタイミング、しなり戻る強さの癖がかなり強いです。これまでベンタスシリーズで感じなかった安定性をたまに感じましたがそれでも高評価というほどではありません。
総合評価
ベンタスTRブラックに需要はないと思います。
私が気になったのはセッティングにおける境界の鮮明さと打ち上げ角度の謎です。セッティングはヘッド次第で使えなくはないのですが、これ以上硬くしたらとんでもなく扱いにくくなると思います。
打ち上げ角度が高い要因ですが、色々試した結果アタックアングルがかなりアッパーになっていたのが直接的な原因だと分析しています。ただこれが硬いから起こるのかしなるタイミングがこうさせているのかまでは理解出来ません。
大抵のシャフトは当たったら飛ぶのですが、ベンタスTRブラックはそもそも当たらないので飛ばないと言う感じです。
おススメ度 (0.5 / 5)






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