ベンタスブラックに乗り換えるプロ続出
ベンタスシリーズは比較的後発のシリーズ。ミツビシテンセイシリーズやプロジェクトXハザーダスシリーズに対抗してデザインされているように考えています。
中弾道から低弾道をカバーし、1モデルはカウンターバランスになっていることが共通しています。
一時はダスティン・ジョンソンが使用していたり、ミツビシのシャフトを長らく使っていたマキロイがベンタスブラックにシフトしたことで話題になっています。
HPを見る限りベンタスブラックはテンセイホワイト、ハザーダスブラックと似た特性を持つシャフトだと言えそうです。
試打データ
ベンタスブラック5S×エピックスピード9°
ヘッドスピード | 53.5m/s |
ボールスピード | 71.3m/s |
平均キャリー | 284y |
平均トータル | 309y |
平均サイドスピン | 155rpmフェード |
平均バックスピン | 2093rpm |
平均打ち出し角 | -4.9° |
平均打ち上げ角 | 15.9° |
最大の高さ | 42y |
落下角度 | 41° |
左右ブレ | -16y |
今回はエピックスピードの9°のヘッドで試打を行いました。しかし、ベンタスブラックの初速性能はとてつもなく低いです。まぁこれ自体はよくあること。テンセイCKプロホワイトもテンセイプロホワイト1Kも初速は純正スペックより2~5m/s下がります。ちっとも飛びません。
最高飛距離はキャリー289yでその時のスピン量が2293rpm。ベンタスブラックの方がテンセイプロホワイト1Kよりもバックスピン量は少なく捕まりは弱いです。
ドローを打つことは私には出来ませんでした。ドローを狙うと、打ち上げ角10°以下、打ち出し角7°以上左の殺人フックを量産します。打ててストレートでした。
フェードにして頑張ってバックスピンを確保しつつ、高さを出してようやくまっすぐ飛びます。思い切りアウトサイドイン(約4°)で入れてフェース角2.5°オープンにしてヒットさせてようやく2000rpmを超えます。
ベンタスブラック5S×マーベリック9°
ヘッドスピード | 54.2m/s |
ボールスピード | 73.4m/s |
平均キャリー | 283y |
平均トータル | 305y |
平均サイドスピン | 163rpmドロー |
平均バックスピン | 2599rpm |
平均打ち出し角 | -5.0° |
平均打ち上げ角 | 12.9° |
最大の高さ | 40y |
落下角度 | 42° |
左右ブレ | -37y |
エピックスピードよりも捕まるマーベリックで試してみましたが、やはり大して飛びません。
初速は多少良くなりましたが、それは打ち出し角度が大きくなったからである可能性が高いです。
こんどは打ち上げ角が非常に小さくなったために弾道が低くなりました。ベンタスブラックは、スピンも少なくするし、組むヘッドによっては角度も小さくなるということが分かりました。
どちらにせよ、飛ばないシャフトなので私にとって無価値です。
ベンタスブラック6X ×スリクソンZX5 9.5°
知り合いから借りたベンタスブラックの6Xを試してみました。
ヘッドスピード | 52.4m/s |
ボールスピード | 73.6m/s |
平均キャリー | 279y |
平均トータル | 298y |
平均サイドスピン | 199rpmドロー |
平均バックスピン | 2894rpm |
平均打ち出し角 | -1.8° |
平均打ち上げ角 | 16.6° |
最大の高さ | 53y |
落下角度 | 48° |
左右ブレ | -21y |
ベンタスブラックを試してきた中で唯一”打てた”組み合わせかもしれません。
方向性は、引っ掛けが軽減されて曲がり幅も抑えられました。ただ、試打データを見ても分かると通り、壊滅的に飛んでいませんから残念です。ベンタスブラックはどのヘッドに付けても初速が落ちることは確実。
ZX5だけは、無理なく高さが出せる仕様だったと思います。
ベンタスブラック6X × スリクソンZX7
ヘッドスピード | 52.1m/s |
ボールスピード | 73.8m/s |
平均キャリー | 287y |
平均トータル | 309y |
平均サイドスピン | 487rpmドロー |
平均バックスピン | 2420rpm |
平均打ち出し角 | -4.2° |
平均打ち上げ角 | 14.9° |
最大の高さ | 44y |
落下角度 | 43° |
左右ブレ | -54y |
割と飛びましたが、左行き過ぎです。もし真ん中に打てばキャリー260y。困ります。
最大飛距離は、キャリーで290y。まぁ悪くはないですが、この組み合わせでもベンタスブラックは初速が73台止まり。
ベンタスブラック6S×G425LST 9°
ヘッドスピード | 54.4m/s |
ボールスピード | 76.5m/s |
平均キャリー | 300y |
平均トータル | 322y |
平均サイドスピン | 17rpmストレート |
平均バックスピン | 2525rpm |
平均打ち出し角 | -2.1° |
平均打ち上げ角 | 15.6° |
最大の高さ | 51y |
落下角度 | 46° |
左右ブレ | -13y |
ようやく見つけました。ベンタスブラックとマッチするヘッド。最高飛距離はキャリーで303y、トータル325yでした。
ヘッド重量が200g近いピンG425LSTです。おそらくヘッド重量が重いことがベンタスブラックの先端の動きの遅さとマッチしているのだと考えられます。
赤い弾道がベンタスブラックです。バックスピン量は、平均で2525rpmとなり、弾道の高さは50yを超えました。こうして見ると、ベンタスブラックが低弾道というよりもうまく組めないと低弾道になっているようにも考えられます。
ベンタスブラック6S×G425MAX 9°
ヘッドスピード | 53.6m/s |
ボールスピード | 75.4m/s |
平均キャリー | 291y |
平均トータル | 311y |
平均サイドスピン | 120rpmストレート |
平均バックスピン | 2715rpm |
平均打ち出し角 | -2.0° |
平均打ち上げ角 | 14.5° |
最大の高さ | 48y |
落下角度 | 45° |
左右ブレ | -17y |
これまた相性の良いヘッドです。ベンタスブラックにマッチする絶対条件はやはり”重ヘッド”なのでしょう。
先ほどのLSTよりもドローが強くなりましたが、バックスピン量も増えました。それでも平均でキャリー290yを超えています。最高飛距離はキャリー294y、トータル317yとなりました。
結論としては、ベンタスブラックはヘッドを著しく選ぶが、マッチする組み合わせを見つけられたら強い味方になるでしょう。ただ、それでもヘッドスピードが上がったり、初速が著しく上がることはないので、総じて飛ぶシャフトということではありません。
ベンタスブラック6S×ローグST MAX LSドライバー9°

ヘッドスピード | 53.7m/s |
ボールスピード | 75.8m/s |
平均キャリー | 311y |
平均トータル | 338y |
平均サイドスピン | 128rpmストレート |
平均バックスピン | 1897rpm |
平均打ち出し角 | -3.1° |
平均打ち上げ角 | 15.0° |
最大の高さ | 42y |
落下角度 | 39° |
左右ブレ | -29y |
完璧なセッティングです。
平均飛距離はキャリー311y、最高キャリー314yでトータル342yでした。ベンタスブラック自体は非常に苦手なシャフトでありながら、かなり上手く打てたと思います。しかも、一発目からキャリー300yオーバーという飛距離性能を見せました。
何より、低スピンになるのがこの組み合わせの良さ。ローグST MAX LSドライバーは2500rpm付近なので、そこから600rpmほど少なくなっているとなるとベンタスブラックとの相乗効果超低スピン領域に突入しています。
こうしてみると本当に低いですね。ローグST MAX LSドライバーは、そこまで重ヘッドではないのに、ベンタスブラック6Sとの組み合わせが良かったのは意外な結果でした。
ベンタスブラックの特性
このチャートで言えば、ベンタスブラックは、中央線上でPTと同じ高さあたりになるかなと思います。あまりにピーキーで方向性を持っているとは思えません。重いヘッドと組み合わせればストレート、そうでなければ引っ掛けます。
ベンタスブラックのスペック一覧
項目 | 重量 | トルク |
5S | 57.5g | 3.7 |
5X | 58.5g | 3.3 |
6S | 64g | 3.4 |
6X | 65g | 3.1 |
7S | 77g | 3.1 |
7X | 78g | 2.8 |
8X(USのみ) | 85g | 2.8 |
国内向けは70g台の7Xまでです。重量を見ると、やはりベンタスブラックは重めだというのが分かります。60Sというより65Sというイメージですね。
一応、US仕様だと8Xまで存在するようなので一緒に掲載しておきました。
よくUS仕様と日本仕様でスペックが同じなのかと聞かれるのですが、ベンタスブラックのようなUS発モデルは6Sや6Xで異なるものになっていることは考えにくいです。単純に、日本向けには軽量の50g台がラインナップに追加されているだけであり、製品自体に差があるわけでは無いでしょう。
ベンタスブラックの振動数は6Xで278cpmでした。テンセイプロホワイト1Kの50TXが281cpmでしたので、かなり硬い部類に入るかと思います。まぁベンタスブラックはXが最高フレックスなのでまぁこんなもんかなと。総じてベンタスブラックはUSらしい低トルク高振動数のシャフトと言えそうです。
フィーリング
今回試打したベンタスブラックは5Sでしたが、どこがしなっているか分かりにくいシャフトだと思いました。癖がないかと言われればそうとも言えず、突然左に飛んでしまう生意気さがあります。
正直ベンタスブラックがどんな球を打つのに適しているのかは分らず、とりあえずまっすぐ飛ばすことだけを考えることしか出来ませんでした。つまり何が言いたいのかというと、私程度のゴルファーではベンタスブラックを打ちこなすことは不可能であるということです。
デザイン
ベンタスブラックのデザインはベンタスブルーの色違いで、チップ側のベロコアも同じです。
構えると、シンプルでかっこいいです。
シルバーの部分の模様がやはりかっこいいです。
データチャート
はっきり申し上げますが、ベンタスブラックは最低評価だと思います。話題になっているから取り上げているだけで、全くおススメしたくありません。飛距離性能の低さ、扱いにくさを考慮すれば到底褒められたものではありません。
総合評価
ベンタスブラックは誰のためのシャフトなのでしょうか。このシャフトを適切にしならせ、最適なスピン量、角度で飛ばせる人はどれだけいるのでしょうか。
おススメ度











コメント