軽量ラインと言いつつ…
2022年7月に投入される新モデル、三菱ケミカルのヴァンキッシュは“軽量”というコンセプトを掲げたモデルです。表記はバンキッシュだったりヴァンキッシュだったりすると思いますが、この記事ではヴァンキッシュで統一します。
まぁ単純にゴルファーが高齢化していることをストレートに言わず、軽量の時代と釘打ってマーケティングしているだけです。私のようなハードヒッターやこの記事の読者の皆さんには関係のない話だとは思いますが、食わず嫌いはよくないので今回試打評価する運びになりました。
この記事では試打データ、デザイン、コンセプトも分析して評価していきます。
三菱ヴァンキッシュのデザイン
ヴァンキッシュというとアストンマーティンしか思い浮かびませんが、意味は「打ち負かす」みたいなニュアンス。
ツアーAD VRが「Vanquish all rivals」の略なのでシャフト業界では割とよく使われるネーミングなのかもしれません。シャフトのVANQUISHの文字はミステリアスなホログラムでなんとなくKUROKAGE感があります。
ちなみに1枚目の画像は裏側で、構えた時に見えるのがこちら側。なんと、ヴァンキッシュは両サイドにモデル名を書いているんですね。通常は模様や柄が入っていて、裏側にモデルロゴが描かれることが多いです。
総じてUSモデルっぽいデザインだなと感じました。
試打データ
ヴァンキッシュ5S×ブリヂストンB1 9.5°
ヘッドスピード | 54.5m/s |
ボールスピード | 76.2m/s |
平均キャリー | 287y |
平均トータル | 306y |
平均サイドスピン | 85rpmドロー |
平均バックスピン | 2996rpm |
平均打ち出し角 | -1.2° |
平均打ち上げ角 | 16.0° |
最大の高さ | 55y |
落下角度 | 48° |
左右ブレ | -12y |

まぁ普段の私の試打データを見ていると全然飛んでないなと思うかもしれませんが、B1ドライバーが飛ばないのでそれと比較をするのが良いと思います。
ヴァンキッシュを装着した試打データでは初速が76m/sを超えていますが、ノーマルでは75.4m/sなので、初速アップはしています。B1は純正シャフトが重いので軽量化による初速アップとも言えますが、実際ヴァンキッシュ5Sで57.3gあるのでそんなに軽くもないんです。
また、バックスピン量はかなり多くて、3000rpmをギリギリ切っています。ただこれも純正シャフトの試打データと比べるとやや少ないので、この試打データだけでヴァンキッシュが高スピンと評価するのは早いです。
最大飛距離はキャリーで293y、トータル312yです。この時のバックスピン量は2564rpmで、キャリー290yを超える試打データはどれも3000rpmを切ります。B1純正で3100rpmほどなのでやや減っています。
低スピンとは言えませんが、中スピンくらいにはなっていると思います。
ヴァンキッシュ5S×B3SD 9.5°
ヘッドスピード | 53.1m/s |
ボールスピード | 74.0m/s |
平均キャリー | 279y |
平均トータル | 298y |
平均サイドスピン | 386rpmドロー |
平均バックスピン | 2906rpm |
平均打ち出し角 | -2.5° |
平均打ち上げ角 | 17.4° |
最大の高さ | 56y |
落下角度 | 49° |
左右ブレ | -35y |

最新のブリヂストンB3SDドライバーとも組んでみました。このヘッドは軽量モデルとしては珍しく捕まりが弱いので(捕まりはする)、ヴァンキッシュとの組み合わせはどうかなと思いましたが、悪くないです。
このヘッドはまぁ飛ばないのでこんなもんです。
こちらもバックスピン量に着目してみると、純正とほとんど同じ数値なので、ヴァンキッシュ自体のスピン特性は純正と比較してバックスピンを増やさない中スピンと結論づけたいです。
両方のヘッドで組み合わせてみて、ヴァンキッシュが捕まりを増強することもなく、バックスピンを増大することもない癖の少ないシャフトであることが理解できました。
ヴァンキッシュの特性まとめ
三菱VANQUISHの特性をまとめると以下のようになります。
- スピンは純正と同じくらい
- 安定性がかなり高い
- ミスをした時は右に吹ける
- 引っ掛けは出にくい
- 適度に捕まる
- 打ち出しのコントロールが可能
結構良くないですか?軽量という中途半端な嘘を除けば特性は私が好きなタイプです。
特にミスをした時の挙動が穏やかなのと、思い切り振っても適度についてきてくれるので扱いやすいと思いました。ただ、ヴァンキッシュは飛びに関して有利な要素は少ないのでどちらかというとジアッタスのような安定性重視なモデルだと思います。
他社製品と比較して
ヴァンキッシュは軽量モデル(自称)なので比較するのも難しいですが、マトリックスチャートで言えばダイヤモンドスピーダーの右上くらいかなと思います。
スピン量は中程度と言いましたが、それでもカスタムシャフトの中では多い方なのでその位置です。
データチャート
ヴァンキッシュの飛距離性能は低くはないので評価は普通。スピン量は特にサイドスピンで高評価に繋がったと思います。また、安定性の高さはどのヘッドでも確認できましたし、ミスをした時の挙動がOBになりにくいという点も私としては評価したいです。
総合評価
軽量ラインなので大して期待はしていませんでしたが、良いシャフトだと思います。イメージ的にはスピンが減りにくいジアッタスです。
方向の安定性は抜群なので、スコアアップのためのクラブ作りには役立つはずです。ヴァンキッシュは決してシニア向けという印象はなく、多くのユーザーに訴求できるモデルだと考えています。なんなら、ハードじゃないけどTXを使えるっていう捉え方も出来るのではないでしょうか。
おススメ度









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