カーボンシャフトにゴム
フジクラは今となってはフジクラコンポジット社と呼ばれていますが、一昔前にはフジクラゴムでした。フジクラトラヴィルはゴムの層をシャフトに入れてしなやかな動きを目指しました。
MCIのように金属の層もあるのでMCI+ゴム層を採用したのがトラヴィルということですね。今回はトラヴィル115Xを実際に購入していつも通りタイトリスト718CBのヘッドに装着して試打計測を行いました。
フジクラTRAVILのスペック
TRAVILの意味はTR=Tour Rated+Abilityの造語だそうです。AbilityのbをVictoryのvに変更したとのこと。複雑すぎます。
重量は85からで、カーボンシャフトとしては重量級に分類されると思います。ラインナップからもMCIとの棲み分けが見て取れます。全て中元調子で、トルクも小さいです。おそらく先端剛性が高いシャフトだと考えられます。
試打データ
フジクラTRAVIL 115X ×718CB
ヘッドスピード | 47.6m/s |
ボールスピード | 59.9m/s |
平均キャリー | 175y |
平均トータル | 183y |
平均サイドスピン | 370rpmドロー |
平均バックスピン | 7314rpm |
平均打ち出し角 | -3.0° |
平均打ち上げ角 | 24.9° |
最大の高さ | 55y |
落下角度 | 55° |
左右ブレ | -15y |
カーボンシャフトの比較対象が少ないですが、例えば同重量帯のスチールファイバーと比べてみるとトラヴィルは打ち上げ角度が非常に高いです。スチールファイバーが低いとも言えますが、トラヴィルは弾道が高くなる要素が全て詰まっています。
バックスピン量は安定して7000rpmを超えていて、落下角度も非常に大きいです。フジクラのHPでも落下角度の大きさを強調していましたが、確かにそれは正しいと思います。
初速はスチールよりは高いですが、カーボンシャフトとしては普通だと思います。先ほどのスチールファイバーはドローでは60m/sを軽く超えます。これは中元調子だというのも影響しているかもしれません。打ち出し角度は強めの左ですが、これはシャフトが硬いためだと感じます。
フジクラTRAVILのデザイン
デザインパターンで言えばスピーダーよりもシンプルなベンタスの系統だと思います。緑色のトランスフォーマーみたいなマークがトラヴィルのエンブレム。よく見ると凝っていてカッコいいです。
構えてみると異様なほどに真っ黒です。カーボンシャフトは様々な色が作れますが、トラヴィルは光を吸い込むような艶消し黒です。
シンプルで良いですね。
フジクラTRAVILの良い点
- 高い剛性感
- 一方向性が高い
- 高い落下角度
- 超高弾道
- ミスしたらショートする
フジクラTRAVILのイマイチな点
- 飛ばない
- たまに引っ掛ける
フジクラTRAVILのフィーリング
コンセプト的にはゴムを入れているのもあって“しなやか”だということでしたが、トラヴィル115Xでは剛性感の方を強く感じました。これはスチールに対して、カーボンのパリパリした感じがあるということです。
そもそもしなやかさを求めるなら、カーボンよりもスチールの方が向いていますのでコンセプトの時点でミスマッチです。
フジクラTRAVILの振動数
振動数は331cpmでした。Xでこれなら柔らかいと思いますが、先に述べた通りフィーリングは硬めで360cpmくらいありそうだなぁと打ちながら思うほどです。
スチールファイバーが344cpmだったのでそれと比べても柔らかいです。これがしなやかさなのか?
他社製品と比較
アイアンのシャフトマトリックスチャートではモーダス115Rの左当たりです。このエリアは穴なのでライバル不在です。

大型ヘッドのストロングロフト(30°くらい)の方が合うかもしれませんね。
データチャート
スピン量は素晴らしいですし、弾道が高いというのは多くの人にメリットになります。難点としては、コントロールするのが一筋縄ではいかないことと、決して安くないということでしょう。やはりカーボンはその価格で普及してこなかったのもあると思いますから、これは今後も課題になり続けるでしょう。
総合評価
私はMCIと比較をしませんでしたが、比較するまでもなく全く違うシャフトでした。トラヴィルはMCIよりもかなりゆっくりローテーションするシャフトであり、カーボンらしさはMCIの方があります。
トラヴィルはその独特な剛性感とそれに相反する超高弾道が今までにない組み合わせだと思います。ターゲットをやや上級者に設定していることが、この特異性を受け入れる理由になるでしょう。
おススメ度 (3.5 / 5)
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