ツアーAD PTの限定シャフト
ミツビシやフジクラのように毎年何種類も発売するわけではないグラファイトデザイン社の珍しい限定シャフト。2006年に発売されたツアーAD PTは石川遼選手や上田桃子選手など数多くのトッププロに愛用されてきたシャフト。
シャフト全長に高弾性カーボン、先端にはトレカT1100Gを使用した高剛性シャフトです。元々のツアーAD PTは先端剛性があまり高くないことで知られていますが、その感じは残しつつねじれ剛性を高めているようです。
ちなみに、ネーミングのHigh Modulusはハイモデュラスな気がするのですが、ネット上ではハイモジュラスという表記が多いので不本意ながらそちらに合わせます。
ツアーAD PTハイモジュラスのデザイン
ツアーAD PTハイモジュラスはオリジナルのPT同様青系のデザインになっていますが、ややフレークの入ったキラキラした塗装。最近でいえば、ベンタスTRブルーと似た色ですが、ベンタスTRの方が高級感はあります。

割とかっこいいデザインで、暗めの色なのでどんなヘッドとも喧嘩しない良いカラーリングだと思います。
初期のカラーリングに似ています。ただ、デザインが変わった後の色を反転させたようにも見えます。
6万円払ってこれだとちょっと高いなと感じてしまいます。
試打データ
ツアーAD PTハイモジュラス6S×ステルスドライバー9°
ヘッドスピード | 54.5m/s |
ボールスピード | 78.0m/s |
平均キャリー | 307y |
平均トータル | 329y |
平均サイドスピン | 395rpmドロー |
平均バックスピン | 2415rpm |
平均打ち出し角 | -4.4° |
平均打ち上げ角 | 14.5° |
最大の高さ | 47y |
落下角度 | 44° |
左右ブレ | -53y |

まずはテーラーメイドのステルスドライバーに組んでみました。結果的にはツアーAD PTと似た捕まる弾道でした。
ツアーAD PTハイモジュラスはステルスドライバーをここまで左に飛ばすくらい捕まりが良いということです。
弾道はやや低いので特性としては普通のPTと対して変わりませんね。この試打データで分かるのは初速の速さです。かなりの高初速で、これがハイモジュラスのパワーでしょうか。
ツアーAD PTハイモジュラス6S×ステルスプラスドライバー9°
ヘッドスピード | 55.8m/s |
ボールスピード | 76.3m/s |
平均キャリー | 312y |
平均トータル | 340y |
平均サイドスピン | 228rpmドロー |
平均バックスピン | 1842rpm |
平均打ち出し角 | -4.0° |
平均打ち上げ角 | 13.8° |
最大の高さ | 38y |
落下角度 | 37° |
左右ブレ | -42y |

最も良い組み合わせがステルスプラスドライバーだと思います。
ツアーAD PTハイモジュラスは、こういう慣性モーメントがそこまで大きくないドライバーの方が上手く当たるなと思いました。1球目から上手く飛んで、最高飛距離はキャリー314y、トータル341yでした。
超低弾道です。スピン量は2000rpmを切るほど少なく打ち上げ角度も異常に低いです。スピンは少ないヘッドではありますが、ここまで低い弾道になることはないのでこれはツアーAD PTハイモジュラスの特性だと考えられます。
ツアーAD PTハイモジュラス6S×SIM2 9°
ヘッドスピード | 54.2m/s |
ボールスピード | 76.1m/s |
平均キャリー | 302y |
平均トータル | 325y |
平均サイドスピン | 204rpmフェード |
平均バックスピン | 2378rpm |
平均打ち出し角 | -4.8° |
平均打ち上げ角 | 14.6° |
最大の高さ | 46y |
落下角度 | 43° |
左右ブレ | -12y |
ステルスプラスが合うならSIM2もアリなんじゃないかと思ったので組んでみましたが、最悪の結果に。
なぜかフェードしました。一応、このストレートに近い弾道がキャリー312yなのですが、ミスをするとスライスするという始末。
ツアーAD PTハイモジュラスは捕まると思った途端にこんな弾道が出てしまうので特性を表現するのが難しいですね。
ツアーAD PTハイモジュラスのフィーリング
フィーリングは正直あまり好きではないかなと思いました。ハイモジュラスは通常のツアーAD PTと比べて特別剛性感が高いかと言われれば所々で感じる程度でした。
基本的に私の中にあるツアーAD PTのイメージの中から飛び出るほどの違いは感じられません。単純に硬いかと言われれば、若干硬いですけど、それは普通にPTのスペックを上げるだけで良いような気もするんですよね。
一方で、ツアーAD PTハイモジュラスには強烈にロフトが立つ特性と、それに伴って初速がポンっと上がる瞬間があるのが唯一にして圧倒的な違いなのかなと考えています。
ツアーAD PTハイモジュラスのスペック
見ての通り、ツアーAD PTハイモジュラスのスペックは50g台からのみ。中調子なのは普通のPTと同じです。
トルクは少し低くなっています。また、ハイモジュラスはSとXのみのラインナップになっていて、いかにもハードな感じを演出していますね。しかも、50g台と言っても50g台の後半なので、誰でも打っていいよというメッセージはなし。
セッティングについて
ツアーAD PTハイモジュラスの特性は、マトリックスチャートで言えばPTの真下かなと思います。方向性に特別な差はなく、上手く当たった時のスピン量と角度の小ささはPTを超えると思います。
そしてツアーAD PTハイモジュラスに合うヘッドはどんなものかというと、やや捕まりが弱くて、慣性モーメントが最大レベルでないモデルだと思います。
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小ぶりで右側にあるヘッドなんかがそれに当てはまるでしょう。M5やM5ツアー、XD-3Cあたりは相性が良い可能性が高いです。基本的にはドローセッティングにするのがおススメです。
データチャート
ツアーAD PTハイモジュラスの評価は高くありません。高い割にツアーAD PTと特別な違いはあまり感じられず、残念な仕上がり。それに無駄に硬い、硬いポイントがある、硬い瞬間があることによって異様にピーキーであり扱い難いシャフトです。
総合評価
なぜグラファイトデザインはやたら高い素材を使って、1フレックス上げただけのようなツアーAD PTの焼き直しを作ったのか理解に苦しみます。ツアーAD PT自体の評価が低いわけではないので、別にハイモジュラスの性能やフィーリングを否定するわけではありません。ただ、誰がこういうシャフトを欲しがるのかという疑問が残る結果です。
おススメ度









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