ジアッタスを超えるなど畏れ多い
私が人生で最も評価しているシャフトがジアッタスです。ド派手なカラーリングでチャラい印象ですが、中身は非常に堅実で癖のない仕様というのがギャップ萌えです。
そんなジアッタスの登場からもう4年が経過し、なんとその後継モデルが登場しました。それが2022年12月に発売されたジアッタスV2です。ジアッタスをまた名乗るということはそれなりの覚悟があるわけですから、私も身構えてしまいます。メーカーのいうことは少しも信じていませんから試打データをもとにジアッタスV2にジアッタスの血が流れているのか、しっかりと分析していきたいと思います。
ジアッタスV2のスペック
ジアッタスV2は40g台から70g台までラインナップしています。トルクは小さくなりました。トルクの多さもジアッタスの魅力だと思っていたのでここは評価に影響しそうな気もします。
SRやSXがあるのがマミヤらしいですね。
試打データ
ジアッタスV2 6S×エピックフラッシュサブゼロ9°
ヘッドスピード | 51.9m/s |
ボールスピード | 75.0m/s |
平均キャリー | 301y |
平均トータル | 324y |
平均サイドスピン | 424rpmドロー |
平均バックスピン | 2134rpm |
平均打ち出し角 | -0.0° |
平均打ち上げ角 | 16.5° |
最大の高さ | 48y |
落下角度 | 44° |
左右ブレ | -31y |
ジアッタスV2のジアッタスらしさを試打データから読み取ることはかなり難しいと思いますが、案外低スピンで飛距離性能も高いことが分かりました。最高距離はなんとキャリーで309y、トータル334yです。
この球の集まり方はジアッタスらしいですね。ジアッタスV2はドローバイアスが強いわけではなく確かに癖は少ないです。弾道の高さもあまり傾向はないと思います。
ジアッタスV2の方がやや低弾道になるような気がします。特にミスをしたときに吹きにくくなったのがジアッタスV2での改善点かと思います。
ジアッタスV2 6S×マーベリックサブゼロ9°
ヘッドスピード | 52.9m/s |
ボールスピード | 75.4m/s |
平均キャリー | 292y |
平均トータル | 312y |
平均サイドスピン | 191rpmドロー |
平均バックスピン | 2645rpm |
平均打ち出し角 | -1.1° |
平均打ち上げ角 | 16.8° |
最大の高さ | 54y |
落下角度 | 47° |
左右ブレ | -18y |
マーベリックサブゼロとの組み合わせではややスピン量が増えました。この方がジアッタスっぽい気もしますが、初速も良く出ていて素晴らしいです。最高初速は77.1m/sで、キャリーは297yでした。
ジアッタスV2はドロー弾道とストレートが出ます。基本的にフェードは出ないのですが打てなくもないです。サイドスピンは一球を除いて200rpm以下です。
弾道の高さは若干高めになりました。ジアッタスV2とマーベリックサブゼロの組み合わせでは中スピン&高初速となりました。
ジアッタスV2 5SR×エアロジェット9°
ヘッドスピード | 53.3m/s |
ボールスピード | 75.6m/s |
平均キャリー | 303y |
平均トータル | 327y |
平均サイドスピン | 214rpmドロー |
平均バックスピン | 2162rpm |
平均打ち出し角 | -1.4° |
平均打ち上げ角 | 15.9° |
最大の高さ | 47y |
落下角度 | 43° |
左右ブレ | -24y |
知り合いに借りたジアッタスV2の5SRで試打計測を行いました。割と捕まるエアロジェットと組んで穏やかなドローです。
計測したすべての弾道でキャリー300yを超え、最高値はキャリー306yでした。そして見事な方向安定性はやはりジアッタスです。
初速はバラつきましたが最高で77.5m/sです。流石の汎用性を発揮しています。
ジアッタスV2 5SR×エアロジェットLS 9°
ヘッドスピード | 53.8m/s |
ボールスピード | 76.5m/s |
平均キャリー | 301y |
平均トータル | 323y |
平均サイドスピン | 403rpmドロー |
平均バックスピン | 2324rpm |
平均打ち出し角 | -0.9° |
平均打ち上げ角 | 16.3° |
最大の高さ | 51y |
落下角度 | 45° |
左右ブレ | -34y |
2023年上半期1位候補のエアロジェットLSとジアッタスV2の組み合わせも素晴らしく、スピン量も適切です。
こちらの組み合わせはストレートではなくドローです。より高い初速は相性の良さを示しています。というか、ジアッタスV2に合わないヘッドを探す方が難儀です。
バックスピン量はエアロジェットとエアロジェットLSで逆転することがよくあるのでこんなもんかなと。
ジアッタスV2 5SR×LTDx 9°
ヘッドスピード | 53.5m/s |
ボールスピード | 77.5m/s |
平均キャリー | 300y |
平均トータル | 320y |
平均サイドスピン | 362rpmドロー |
平均バックスピン | 2662rpm |
平均打ち出し角 | -1.9° |
平均打ち上げ角 | 15.3° |
最大の高さ | 52y |
落下角度 | 47° |
左右ブレ | -35y |
名器コブラLTDxはジアッタスV2と最高の組み合わせです。スピン量は少し多かったですがなんとか平均キャリー300y超えを確保。一球目からバシバシ当たってくれました。3月の情報では原英莉花プロがLTDx LSとジアッタスV2を組んでテストしているそう。さすが我が同期、分かってるね。
方向安定性が優れています。ジアッタスV2自体がそこまでスピンを増やさないので組み合わせ的に中スピンヘッドが良いのかなと思います。
美しい弾道です。ジアッタスV2の美しさです。
ジアッタスV2 6S×パラダイムトリプルダイヤモンドS 8.5°
ヘッドスピード | 54.7m/s |
ボールスピード | 79.3m/s |
平均キャリー | 308y |
平均トータル | 328y |
平均サイドスピン | 82rpmフェード |
平均バックスピン | 2681rpm |
平均打ち出し角 | 0.3° |
平均打ち上げ角 | 15.9° |
最大の高さ | 56y |
落下角度 | 48° |
左右ブレ | 6y |
とりあえず素性の知らないヘッドはジアッタスV2を組んでおけば良いということでトリプルダイヤモンドSにもジアッタスV2 6Sを。
フェードでの最高キャリーは305yで、ドローでは314yでした。ドローで打つ限りは平均でキャリー310yを超えますのでかなり飛距離は出ます。
パラダイムトリプルダイヤモンドSの試打データでは、ジアッタスV2が最も安定して高い初速を記録しました。平均でも79m/sを超えています。バックスピン量は最高飛距離の時でも2400rpmくらいなのでこれは抜群の相性です。初速が出るというのはジアッタスV2がジアッタスから進化した点ですね。
ジアッタスV2 6S×パラダイムトリプルダイヤモンド9°
ヘッドスピード | 54.1m/s |
ボールスピード | 78.2m/s |
平均キャリー | 299y |
平均トータル | 318y |
平均サイドスピン | 176rpmドロー |
平均バックスピン | 2829rpm |
平均打ち出し角 | -1.7° |
平均打ち上げ角 | 16.4° |
最大の高さ | 58y |
落下角度 | 49° |
左右ブレ | -21y |
この記事を書いている人は頭が悪いので何にでもジアッタスを組むのですが、パラダイムトリプルダイヤにも組み合わせてみました。少し調子が悪かったのでジアッタスV2での最高のデータが取れた感触はありません。
方向性も一定で安定しています。スピン量がやや多いのは先ほどのシャフトと共通していますが、それと同時に初速性能の高さも共通しています。平均で78.2m/sで、最高値は78.8m/sでした。特に強く振ったわけではないし、1週間ぶりにクラブを握って探りながらの試打だったので驚きました。
平均キャリー299yというのは特別褒めるほどでもありませんが、実際の数値は299y、299y、300yなのでキャリー300yを狙うのは容易です。とにかく初速が出るので簡単に飛距離を出すことができると思います。
ジアッタスV2の良さ
- 極めてジアッタスである
- 方向の癖が少ないなりに微ドロー
- スピンは低中スピン
- デザインが画期的にシンプルになった
- ミスをしても小さい曲がり幅
ジアッタスV2のセッティング考察
ジアッタスV2の位置はジアッタスの真下だと思います。ちょうどスペースが空いているのでライバルも少ないということでもあります。
セッティングは比較的柔軟で、ジアッタスほどの汎用性があるかはまだ分かりませんが、今回の二つでまずまずの結果なのでフェードが出るヘッドでもストレート系でも問題ないでしょう。
エピックフラッシュサブゼロとマーベリックサブゼロの位置が右下なのでこのエリアはマッチすると思います。スピン量が多少増えても大丈夫だと思うのでそう言った意味ではジアッタスV2の方が様々なヘッドと相性が良い可能性があります。
ジアッタスV2の振動数
ジアッタスV2の6Sの振動数は260cpmでした。結構硬いです。トルクも小さいのでなんとなくハードなイメージになっているかもしれませんが振り心地は別に普通です。
ジアッタスはXフレックスになると270cpmを超えたりしますのでジアッタスV2でこれくらいの振動数なのも特に驚きません。
ジアッタスV2のデザイン
ジアッタスV2は何と言ってもこのモノクロなデザインが素晴らしいです。
アッタスシリーズは常に良いシャフトを作っていますがカラーリングなどで人気を失っていたのでこれは売れそうです。
ジアッタスV2の手元側は他のアッタスと同じグレーの紗々みたいな模様。つまりジアッタスV2の固有の色は黒ということになるのでしょう。
ジアッタスV2はアッタス唯一の弱点を克服していると言えます。
データチャート
ジアッタスV2に弱点はありません。飛距離性能も高いですし、安定性も高い。この二つが相互に補い合っているので誰が打っても上手く打てると思います。少しハードな仕様になった気もしますがSRフレックスなどもあるのであまり心配する必要はありません。スペックを下げてください。
総合評価
打つ前は「容易くジアッタスの名前を名乗るんじゃねぇよ」と思っていましたが、ジアッタスV2は間違いなくジアッタスです。でもちゃんとジアッタスとの差別化がされていてそれがまた絶妙。
ジアッタスV2とジアッタスを比較するのが適切か分かりませんのでここで競うのはやめておきます。個人的にはハード目なジアッタスV2が、テンセイやベンタスなどのハードヒッター向けシャフトたちに風穴を開ける存在になることを心から期待しています。
おススメ度 (5 / 5)
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