テンセイの新シリーズ
三菱ケミカルのシャフトは、国内でもメインで販売されるディアマナシリーズやフブキシリーズだけでなくUS三菱出身のクロカゲ、テンセイシリーズなど数多くラインナップします。
今回紹介するのはテンセイ1Kシリーズの最新モデル、テンセイプロオレンジ1Kです。1Kクロスを手元に配したマルチマテリアルのシャフト。テンセイのオレンジはカウンターバランスなので剛性感だけでないトッピングがされた味付け濃いめのシャフトであることが予想されます。
今回はテンセイプロオレンジ1Kとテンセイプロホワイト1Kを比較試打しました。これまでのテンセイCKプロオレンジとのフィーリングとも比較しながら評価していきます。
テンセイプロオレンジ1Kの特徴
テンセイプロオレンジ1Kの特徴としては以下の点かなと思います。
- 手元のしなやかさを実現する1Kクロス
- 弾性と剛性を両立した三菱ケミカル独自のMR70
- タングステンパウダー入りプリプレグ(よくわからん)
- マトリクス樹脂の架橋構造(クロスリンク)で強度や弾性を向上
- カウンターバランス
- ロートルク設計
- テンセイCKプロオレンジを超える先端剛性
まぁ簡単に言えば、テンセイプロオレンジ1KはテンセイCKプロオレンジよりも強くしなやかでありながら、ねじれ剛性を高めて安定性を向上させたモデルという感じです。簡単じゃなかった。
ベンタスに対抗したような文言が散見されるあたり、テンセイプロオレンジ1Kでフジクラのシェア拡大を食い止めたい意志が感じられます。
試打データ
テンセイプロオレンジ1K 60Svsテンセイプロホワイト1K 60S
モデル | テンセイプロオレンジ1K | テンセイプロホワイト1K |
ヘッドスピード | 56.1m/s | 54.4m/s |
ボールスピード | 78.8m/s | 76.5m/s |
平均キャリー | 311y | 314y |
平均トータル | 332y | 338y |
平均サイドスピン | 431rpmドロー | 84rpmストレート |
平均バックスピン | 2429rpm | 2044rpm |
平均打ち出し角 | -4.3° | -3.9° |
平均打ち上げ角 | 14.9° | 16.6° |
最大の高さ | 50y | 50y |
落下角度 | 45° | 44° |
左右ブレ | -56y | -16y |
こうして見ると本当に面白いです。テンセイプロオレンジ1Kはやはりテンセイオレンジなんだなと痛感しました。あくまで捕まえるのは得意なシャフトです。
テンセイプロオレンジ1Kは打ち出し角がたまに左になりすぎますが、基本的にサイドスピンはそこまでかからない綺麗なドローという印象。
弾道の高さを比較するとテンセイプロオレンジ1Kの方が打ち出し角度がやや低めでスピンでふわっと上がり、最終的にはホワイトより高弾道。それでもなお低弾道なシャフトだとは思います。
テンセイプロオレンジ1K 60Sフェード
ヘッドスピード | 55.1m/s |
ボールスピード | 78.0m/s |
平均キャリー | 297y |
平均トータル | 316y |
平均サイドスピン | 276rpmフェード |
平均バックスピン | 2912rpm |
平均打ち出し角 | -3.3° |
平均打ち上げ角 | 15.9° |
最大の高さ | 56y |
落下角度 | 48° |
左右ブレ | -3y |
テンセイプロオレンジ1Kの良い点の一つにドローとフェードが打ち分けられるということが挙げられます。
これは、実際に練習場で打った時にも感じられたポイントでテンセイプロオレンジ1KとCKプロオレンジの大きな差になってくると思います。
緑がフェードですが、やや高弾道になるのとスピン量が増えるために飛距離は落ちました。それでもストレートでキャリー313yも打てるのでフェードが上手な人ならこちらで飛ばすことも出来そうです。ただ、フェードだけで打つというのであればテンセイプロホワイト1Kの方が向いているので、そんな感じで選んであげましょう。
試打データ詳細分析
試打データを見ただけではあまり凄さが伝わらないかもしれないので、ここで詳しく解説します。
面白いのは初速性能とヘッドスピードです。テンセイの中でもホワイト系は超低スピンですがヘッドスピードと初速は出にくいです。一方オレンジはその辺りは問題なく出るのでその点で飛距離が出しやすいシャフト。
テンセイプロオレンジ1Kは、引っ掛けない方向性はテンセイプロホワイト1Kに似ていますが、ヘッドスピードと初速が高いのはオレンジ系の特徴を持っています。また、テンセイプロオレンジ1Kはトルクが低くてハードな印象が加わったテンセイCKプロオレンジとも言えますね。
テンセイプロオレンジ1KとCKプロホワイトの違い
私は何点か感じたのでまとめてみます。
- 捕まりはテンセイプロオレンジ1Kの方が弱い(捕まりはする)
- テンセイプロオレンジ1Kの方が低弾道
- テンセイプロオレンジ1Kの方が安定する
- よりマニュアルなテンセイプロオレンジ1K
正直どちらが優れているという比較は不可能だと感じました。ただ、安定性の高さとミスをした時の挙動はテンセイプロオレンジ1Kの方が賢明だと思います。スコアを出しやすいとも言えますね。
最も左に打ち出したクラブデータでも軌道に対してはやや開くのもテンセイプロオレンジ1K独自の試打データかもしれません。
テンセイプロオレンジ1Kのデザイン
テンセイプロオレンジ1Kはホワイトの色違いという感じ。当初テンセイが発売された時はダサいなぁと思っていましたがホログラムのおかげで“ややダサい”くらいになっています。
1Kクロスのグレーっぽい色がCKとの違いですが、構えるとほとんど気にならなりません。
先端部分にクロスリンクテクノロジーのマーク。内容を考えてもベンタスのベロコアテクノロジーと似ています。
1Kクロスは布感強め。テンセイプロオレンジ1Kの安定性と手元の柔らかさの要因でしょう。
テンセイプロオレンジ1Kのスペックと振動数
テンセイプロオレンジ1Kのスペック
基本的にテンセイプロオレンジ1Kはトルクが低いです。同重量内ではほとんどトルクがフローしないのも大きな特徴。スピーダーNXのバリアブルトルクテクノロジーみたい。やはりフジクラを意識している気がします。
テンセイプロオレンジ1Kのスペックは50TXや80S、80XなどCKには無かったものも追加されています。
テンセイプロオレンジ1Kの振動数
振動数はテンセイプロオレンジ1K 60Sで265cpmでした。
以前計測したテンセイプロホワイト70Sが266cpmで、三菱のシャフトは60Sと70Sが大体同じ振動数になっていることを考えると、テンセイプロオレンジ1Kも同じくらいの振動数ということになりそうです。
テンセイプロオレンジ1Kのイマイチな所
褒めちぎっているように感じるかもしれませんが、そうでもありません。
テンセイプロオレンジ1Kには2つのデメリットがありました。一つはマン振り出来ないということです。マン振りした時にスピードが上がりにくく、あくまで“普通に打った時にスピードが出る”だけです。
もう一つは、トップ気味になりやすくその時に飛距離のロスがあることです。カウンターバランスのシャフトでも、三菱だけに現れる特徴だったりします。テンセイプロオレンジ1Kは同じ1Kのホワイトと比較すると明らかに打点は低いです。ですから、低スピンで打つのはコツが必要。
他社製品と比較して
テンセイプロオレンジ1KはレジオフォーミュラM+の真下でツアーAD PT並みの超低弾道になるかなと思います。
試打データを見る限りはそこまで低弾道に思えないかもしれませんが、ミスをした時にドロップする点、実際の弾道をみた感じで判断しました。
データチャート
テンセイプロオレンジ1Kは飛距離性能と安定性が抜群のバランスで両立していると思います。何より、ミスをしても曲がらない、変にフェース角度が変化しないというところは上級者、スコアを追い求めたい人に刺さるポイントだと思います。
総合評価
どんな人に打てるのかを想像しましたが、やはりハンデキャップ5以下で、これだけのロートルクのシャフトをコントロール出来る人に限られるかなと思います。
テンセイプロオレンジ1Kは、確実にCKプロオレンジから進化していますし、買い換えるほどの違いを感じるシャフト。ただ、あくまで好みなのでオートマチックに動いてくれるシャフトで安定性を出したいのか、ミスしてもドロップしてショートすることを選ぶのかで決めましょう。
おススメ度









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