30g台のシャフト
軽量シャフトといえば40g台ですが、もはやそれすら時代遅れにしようとするシャフトが登場しました。私が日頃から使っているオノフが展開しているラボスペックシリーズのシャフトから新たな重量帯が登場しました。
その名もラボスペックTATAKI30とHASHIRI30です。30g台のシャフトはマミヤのマジカルアッタスやグランバサラ、30gを切るゼロスピーダーくらいです。大手が各社1種類ずつしかないのですが、オノフは純正カスタムとして30g台を追加。
ゼクシオのRシャフトが30g台なのでカスタム以外ではかなりレアではないかと思います。この記事は情報公開前にメーカーさんからご依頼がありましたのでそれで試打を行いました。セッティングについても深く考察しますのでぜひ最後までお読みください。
TATAKI30&HASHIRI30のデザイン
デザインは非常にかっこいいです。オノフらしい色合いで高級感もあるデザインなのが素敵です。
TATAKI30はターコイズブルーのような青緑色で、LABOSPECのロゴが大きくあしらわれていて純正カスタムの野暮ったい感じは全くなくオノフらしさもあるおしゃれなシャフトですね。通常のTATAKIは濃いめの青なのでカラーでも分かるようになっていますね。
HASHIRI30は少しオレンジがかった赤で光沢のある高級感のある仕上げ。通常のHASHIRIよりもかっこいいです。ラボスペックのシャフトはロッディオなどでも装着出来るはずなのでそちらのユーザーも取り込む予定なのでしょう。
スペック
TATAKI30もHASHIRI30もワンフレックスです。
シャフト | TATAKI30 | HASHIRI30 |
重量 | 38g | 37.5g |
トルク | 5.6 | 5.9 |
キックポイント | 中元調子 | 先中調子 |
軽量シャフトで中元調子と先中調子と言うラインナップです。今後はSHINARIも展開するのでしょうか?
試打データ
TATAKI30×KURO10.5°ノーマルポジション
ヘッドスピード | 55.9m/s |
ボールスピード | 78.6m/s |
平均キャリー | 296y |
平均トータル | 314y |
平均サイドスピン | 265rpmドロー |
平均バックスピン | 3051rpm |
平均打ち出し角 | -4.5° |
平均打ち上げ角 | 14.4° |
最大の高さ | 53y |
落下角度 | 48° |
左右ブレ | -41y |
ノーマルではかなりバックスピン量が多くて困りました。サイドスピンはドロー強めで引っ掛けも出やすいです。ファーストインプレッションはお世辞にも褒められたものではありませんが、オノフが作っているわけですから、セッティングでなんとかしようと思いました。セッティング後の試打データは下にあります。
平均飛距離がキャリーで300yくらいなので、KUROのセッティングとしてはとんでなくもないです。
やはりTATAKI30は超軽量シャフトなのでヘッドスピード、初速共に速いですね。初速は79m/sが2回出ているので、相当スピードは出しやすいシャフトです。TATAKI30の走り感は通常のTATAKIと大体同じくらいかなと思います。特に軽いからどうということはありません。
HASHIRI30×KURO10.5°ノーマルポジション
ヘッドスピード | 55.7m/s |
ボールスピード | 78.5m/s |
平均キャリー | 299y |
平均トータル | 320y |
平均サイドスピン | 977rpmドロー |
平均バックスピン | 2442rpm |
平均打ち出し角 | -3.3° |
平均打ち上げ角 | 14.9° |
最大の高さ | 47y |
落下角度 | 45° |
左右ブレ | -82y |
かなり意外な試打データになりました。先調子のHASHIRIが何故か低スピンなんですね。まぁサイドスピンはかなり左に偏っているのでこちらも私的にはノーマルで使うには無理があるという印象です。
ヘッドスピード、初速共にTATAKI30と同程度のレベルです。
青がTATAKI30、赤がHASHIRI30
左に80yとなると、流石にOBなのでこれは実用レベルに達していません。正直TATAKI30であれだけ左に集まってしまうので、HASHIRI30はかなり心配になる曲がり幅。ただし、安定性の高さが目立っていてここはなんとか活かせそうだとも考えていました。
TATAKI30×KURO10.5°最終セッティング
ヘッドスピード | 56.7m/s |
ボールスピード | 78.7m/s |
平均キャリー | 310y |
平均トータル | 332y |
平均サイドスピン | 64rpmドロー |
平均バックスピン | 2504rpm |
平均打ち出し角 | -3.3° |
平均打ち上げ角 | 15.0° |
最大の高さ | 50y |
落下角度 | 45° |
左右ブレ | -25y |
流石に私はセッティングのプロなので、この程度のことはそんなに難しくはありませんでしたが経験がなければ自由度が高すぎるので困難だとは思います。
結果から言うと大満足。
黄色がTATAKI30、オレンジがHASHIRI30
飛距離は平均でキャリー310yと、カスタムの高飛距離の基準をクリアしていますし、軽量シャフトにありがちなバックスピン量過多も全くありません。なんなら低スピンと言えるくらいに抑えることができました。
最高飛距離はキャリー323y、トータル351y。
サイドスピンも見事に減らすことが出来て、多くても300rpm以下になりました。セッティングは後述。
初速は振りやすさが向上したことでさらにレベルアップしました。30g台と言う攻めた超軽量シャフトがセッティングでここまで変容するのも稀なのでコンセプト以上によく出来たシャフトだと思います。
HASHIRI30×KURO10.5°最終セッティング
ヘッドスピード | 56.0m/s |
ボールスピード | 77.7m/s |
平均キャリー | 307y |
平均トータル | 329y |
平均サイドスピン | 173rpmドロー |
平均バックスピン | 2475rpm |
平均打ち出し角 | -3.8° |
平均打ち上げ角 | 15.3° |
最大の高さ | 51y |
落下角度 | 45° |
左右ブレ | -33y |
もっと意外だったのがHASHIRI30の方でした。1000rpmのサイドスピンは見事に抑えられただけでなく、安定性がさらに向上しました。こんなに軽量なのに、振っている時は50g台くらいの安心感があるのがとても不思議です。
HASHIRI30での最高飛距離はキャリー313y、トータル338yです。バックスピンはノーマルセッティングと変わりませんでしたし、初速も落ちてしまったのですが、滞空時間が伸びて平均飛距離はアップ。
個人的にはHASHIRI30のこのセッティングが好きかもしれません。
TATAKI30とHASHITI30の振動数
TATAKI30の振動数は213cpmでした。TATAKI30にはフレックスがない(ワンフレックス)ため、基本的に硬さの選択は出来ません。
この213cpmがどれくらいかというと私が短尺で組んだアッタスKING4Rが215cpmだったことを考えると重量やキックポイントに対しては剛性は高いです。元調子は振動数が低くなりやすいので超軽量シャフトが柔らかすぎることを心配しているならそれは問題ありません。
一方のHASHIRI30は216cpmでした。振動数的には3cpmという小さな差ではありますが、これはキックポイントによる違いと考えられます。こちらもワンフレックスなので、CBTウェイトでヘッド重量をコントロールすることで多少の変化は出来ます。
セッティングのポイント
基本的にオノフのヘッドに組むのでいつも私が使っているKUROでのセッティングを解説します。TATAKI30もHASHIRI30も手順は同じ。
手順としては簡単です。いま既にKUROを別のシャフトに組んで使っている場合も出来れば純正ポジションに戻して試打をしてください。
右寄せにする場合はトゥのウェイトを増やします。左寄せはヒールを重くします。弾道の高さを低くしたい、バックスピンを減らしたい場合はソール後方のウェイトを軽くします。
そして次に大事なのが打点のチェックです。GC4など打点が正確に見れる計測器の方が向いているとも言えます。打点が高い場合は、グリップウェイトを軽くしてください。打点が低くトップ気味の場合はグリップウェイトは重くしましょう。
正直、グリップウェイトの影響をかなり受けるシャフトなので、方向性に問題がなければグリップウェイトだけ調整しても良いと思います。
最終的にはこのセッティングになりました。トゥに7g、ソール後方に2g、ヒールに1gです。さらに、グリップエンドのウェイトは通常の3gから12gに増やしました。最初は9gで試打をしましたが、12gにしただけでかなり安定したのでこれはおススメ。TATAKI30もHASHIRI30もこのセッティングで先程の試打データを計測しています。
振り心地
TATAKI30の振り心地としては、動的な剛性感が高いです。それはスイング中にヘッドがどこにあるかがわかりやすく、自分がしたい動きにコンタクトしてくれるイメージ。
スイング中のヘッドの存在感で言えば短尺ドライバーも良いのですが、TATAKI30は通常尺でもしっかりと分かるのが評価したい点です。同じくらいの振動数である私のアッタスKING4Rの短尺セッティングよりも癖はなく扱いやすいです。
一方のHASHIRI30はインパクトの瞬間の強さと、オートマチックな感触が高評価。オートマチックなシャフトが好きな私としてはHASHIRI30の方が印象は良かったです。そもそも、AKAの試打記事やYouTubeでも言いましたがオノフラボスペックのTATAKI、SHINARI、HASHIRIってヘッドや重量帯によってどれも良さがあるので、この重量帯ならこれってくらいアバウトなんです。
だから、今回30g台と言う重量帯になるとこれまでベストセッティングがなかったHASHIRIが突然良く感じたりするわけです。
他社製品と比較して
組むヘッドがオノフにほぼ決定されることを考えるとTATAKI30もHASHIRI30もピンポイントに設定するのは困難。ですが、本来の性質であったり、セッティング時の反応を考慮するとTATAKI30はディアマナDFの左上、HASHIRI30はアッタス11の左下くらいに位置すると思います。
どちらもフェードセッティングは作りにくいので、あくまでドローセッティングを目指す人にのみおススメします。
データチャート
TATAKI30のデータチャートはスピン量が最高評価。これは、低スピンに一気に持っていけたと言う所と、サイドスピンが減らしやすいと言う所で判断しています。
一方で安定性を出すのは正直レベルが必要なので、ここは厳しく評価しました。
HASHIRI30は、安定性が最高評価です。全体的にはこちらの方が高評価なシャフトと言えます。スピン量はセッティングを変更してもあまり反応しないので、そういう面白さには欠けます。ただ、誰でもこの性能を引き出せて、スコアにも貢献してくれそうなので私としてはHASHIRI30をより強くおススメしたいですね。
総合評価
純正シャフト大好きな私には大変面白い製品でした。
オノフのラボスペックやホンマVIZARD、ピンツアーのように低価格のアップチャージで高性能、性格付けがされているシャフトを選べるのはユーザーにとってメリットが大きいです。
TATAKI30もHASHIRI30もスピードを追い求めるゴルファーの強い味方になることは間違いないので是非試打会や店舗に足を運んでみてください。展開店舗はオノフのLABOショップです。
TATAKI30のおススメ度
HASHIRI30のおススメ度
コメント