世界トップレベルの女子プロに支持される”スチールファイバー”
スチールファイバーというシャフトを知っている人は多くないでしょう。というのも、日本での正規販売はこの記事を書いている2020年11月現在ではされていないからです。
一時期は代理店があったため、購入することも出来たのですが、今はアメリカからの輸入品を扱うショップでしか入手できません。
しかし、このスチールファイバーというシャフトは2021年からトゥルーテンパージャパンが正規代理店となって取り扱いが開始されることが決定しました。
追加情報ですが、2021年4月からピンのアイアンでスチールファイバーが選択可能になります。しかもスペックは125まで選べます。このようにメーカー各社がスチールファイバーをカスタムで用意する流れになると思います。
試打データ
フェードとドローを両方打ってみました。スチールファイバーは、基本的にはドローが強くかかりやすいので、弾道をまとめるのであればフェードが良いです。フェードにしても同重量のスチールでドローを打つのと同じくらいの飛距離は確保できます。
バックスピン量は、8000rpm前後がボリュームゾーンで、フェードでもドローでも同じくらいのスピン量がかかります。
注目すべきデータは、ドローの時の打ち出し角度と打ち上げ角度です。アイアンでドローを打つとしても、打ち出しが左になることはほとんど無いのですが、スチールファイバーは打ち出しから左でした。しかも、打ち上げ角度も20.5°と小さいです。
フェードの場合は、打ち上げ角が高くなりますが、スピンはあまり変化なしです。
フェードもドローも共通して言えるのは、弾道が集まりやすいということです。ほとんど同じ弾道しか出ないくらいです。まぁこれは、自分が好きな硬さであることはもちろんありますが、スイング中に「ミスしたな」と思ってもインパクトで結局同じになっているという感触でした。
横から見た時の弾道で見ても一目瞭然。ドローの方は弾道の始まりで凹みがあるのが分かりますね。
スチールファイバーのスペック
今回試打クラブを作ったのは、スチールファイバーi110cwのXフレックスです。シャフト単体で110gくらい。
振動数は344cpmでした。振動数自体はそこそこ硬いですね。ほかのモデルで言うと、モーダス120TXが342、105Xが345なのでだいたいそれらと同じになっています。ただ、スチールファイバーi110の方が軽いのでスチールファイバーこそ本当の軽硬なのではないでしょうか。
スチールファイバーのセッティングのポイント
スチールファイバーは重量が70Rから110Xまで(日本で展開があるかは不明だが125も)ありますので、フジクラMCIなんかと大体同じ重量帯をカバーしています。
その一番硬いスペックで振動数344cpmですから、スチールシャフトの代わりに入れるという感じではないです。
特性としては、あくまでカーボンシャフトであり、スチールシャフトで似た振り心地や方向性の物はありません。ライバルはやはりMCIやアッタス。それらと比較しても捕まり具合は変わりませんが、バックスピン量がやや少ない印象。
それゆえに、左右の打ち分けをしても飛距離のロスは最低限になります。また、先の国産カーボンシャフトに比べると、オートマチックさに欠けるところがあると思います。何も考えなくてもドローするMCIやアッタスとは違い、ある程度コントロールできるともいえるでしょう。スチールファイバーはかなりニッチな需要に応えているシャフトだと考えています。
総合評価
金属繊維を編み込んだことで剛性が著しく高くなっているとは感じませんが、スピン量や打ち分けのしやすさがそういうことなのかもしれません。
正規輸入されることにはなりますが、メーカーのカスタムオーダー表に載るかはまだ分かりません。試打する環境も限られる可能性が高いような気がします。
スチールファイバーは、カーボンシャフトらしさが強いので、スチールからの乗り換えには慎重になった方が良いとは思います。



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