数年前からあるプロトタイプ
スピーダーTRはツアー向けにデザインされたシャフトで、ヒット作ではないもののハードヒッターに好まれてきた通なモデル。そのスピーダーTRの次作と噂されていたのが今回紹介するスピーダーTR弍です。
2019年ごろから既ツアーでの使用情報が出ていましたが、実際に発売されることなく今に至ります。スピーダーTRが2018年モデルで、今現在フジクラのHPからはページがなくなっていますので新規製造は終了した可能性があります。
この記事ではスピーダーTR弍の661Xと757Xを試打計測して評価していきます。
スピーダーTR弍のデザイン
スピーダーTR弍はかなり洗練されたデザインです。そもそもかなりかっこいいスピーダーTRですが、弐は漢字で書かれており塗装も少し変わっています。
スピーダーTR弍の手元側部分は立体的な塗装になっています。ザラザラしており、特別感満載です。
スピーダーTR弍のスペック
スペックと言われても、情報が全く公開されていないので分かりませんがとりあえず振動数だけ測ってみました。スピーダーTR弍661Xは273cpmです。
特別硬いという感じはしませんね。
スピーダーTR弍757Xは282cpmでした。これは硬いですね。まぁスピーダーTRの後継と考えれば元調子のはずなので、それを考えるとこの振動数は非常に硬い部類に入るかもしれません。
試打データ
スピーダーTR弍661(X)×エアロジェットLS 9°
ヘッドスピード | 53.3m/s |
ボールスピード | 77.4m/s |
平均キャリー | 305y |
平均トータル | 326y |
平均サイドスピン | 95rpmストレート |
平均バックスピン | 2457rpm |
平均打ち出し角 | -1.0° |
平均打ち上げ角 | 16.9° |
最大の高さ | 56y |
落下角度 | 47° |
左右ブレ | -12y |
スピーダーTR弍はスピーダーTRの延長線上にあるシャフトだと思います。スピーダーTRとの違いというか変化は、方向性がより明確に右に寄るということです。この組み合わせではストレート、ドロー、フェードが全て打つことができます。
打ち始めではスライスしまくったので方向性はかなり右になると思います。バックスピン量は捕まり切っていないというのもあり中スピンになりました。最高飛距離はキャリー308yで、トータル328yです。
弾道の高さは平均するとやや高いです。スピーダーTRもスピンは低いですが打ち上げ角度は低くないのでその点は似ているのかもしれません。ただ捕まえられずに吹いているとも言えます。
スピーダーTR弍757(X)×エアロジェットLS 9°
ヘッドスピード | 53.9m/s |
ボールスピード | 77.8m/s |
平均キャリー | 299y |
平均トータル | 318y |
平均サイドスピン | 265rpmフェード |
平均バックスピン | 2757rpm |
平均打ち出し角 | -1.5° |
平均打ち上げ角 | 16.9° |
最大の高さ | 58y |
落下角度 | 49° |
左右ブレ | 9y |
スピーダーTR弍757は明らかにハードスペックで打てていません。スピン量がかなり増えてしまい、距離も落ちました。捕まえきれていない+ロフトも立てられていない状態です。
弾道は落ち着いています。なんとか左打ち出しにしているので初速は落ちずにすみました。
打ち上げ角度が3球全て同じになっていますし、バックスピンも揃っています。シャフトの動き自体は安定していると思うのですが、生憎難しすぎます。
スピーダーTR弍661(X)×エアロジェット 9°
ヘッドスピード | 53.0m/s |
ボールスピード | 77.5m/s |
平均キャリー | 301y |
平均トータル | 322y |
平均サイドスピン | 558rpmドロー |
平均バックスピン | 2504rpm |
平均打ち出し角 | -2.8° |
平均打ち上げ角 | 15.9° |
最大の高さ | 52y |
落下角度 | 46° |
左右ブレ | -54y |
スピーダーTR弍は捕まりがかなり弱いのでLSよりも捕まるエアロジェットとの相性の方が良いと思います。平均キャリーは301yで、最高飛距離はキャリー303y、トータル326yでした。
ドローが強いなりに弾道は集まっています。そこまで変な引っ掛けでもなかったので調整すればセッティングは出せそうです。曲がり幅は30y以下なので慣れれば使えます。
弾道は適正になりました。
スピーダーTR弍757(X)×エアロジェット 9°
ヘッドスピード | 53.5m/s |
ボールスピード | 77.7m/s |
平均キャリー | 304y |
平均トータル | 324y |
平均サイドスピン | 301rpmドロー |
平均バックスピン | 2582rpm |
平均打ち出し角 | -2.3° |
平均打ち上げ角 | 16.4° |
最大の高さ | 55y |
落下角度 | 47° |
左右ブレ | -34y |
LSとの組み合わせではオーバースペックでしたが、普通のエアロジェットならなんとか打てている気がしています。最高飛距離はキャリー310yで、この時のバックスピン量が2432rpmです。
全体を通して、スピーダーTR弍は方向の安定性を出すのが容易であると言えます。ただ、スペックと組み合わせでフェードもストレートもドローも出るのでコントロール性能というよりもセッティングの幅という面で他の製品との差別化になるような感じです。
また、どの試打データでも初速が高かったので飛距離を損なうことなく打つことができました。バックスピン量は低くはないですが、高くもないです。
スピーダーTR弍の良い点
- あらゆる弾道が作れる
- 初速性能が高い
- 左にはミスしにくい
- 一方向性が高い
- 安定性が出しやすい
スピーダーTR弍のイマイチな点
- スライスする
- 難易度が高い
- ほぼ入手不可能
スピーダーTR弍の振り心地
スピーダーTR弍はフェースを立てるのがとにかく難しいシャフトだと思いました。
所謂“ペラっちゃう”って言うやつですね。ハードすぎるシャフトで起こる現象ですが、比較的打てたと思われるエアロジェットと661の組み合わせでも打ち上げ角度が高いのでそう言うシャフトなのかなぁと思います。
スピーダーTR弍のセッティング
スピーダーTR弍は一番右のエリアに位置するシャフトです。
ツアーAD BBの上くらいです。
私の場合スピーダーTR弍661なら多分エピックフラッシュサブゼロくらいの位置のヘッドと組めば真っ直ぐに近づくでしょう。簡単にオーバースペックになるので覚悟して打ってください。
データチャート
スピーダーTR弍は安定性が高いシャフトだと思います。特に左のミスが嫌なのであればおススメです。しかも捕まりが弱いヘッドと組み合わせても無理な動きをしないので今現状捕まりの弱いヘッドを使っていて、さらに右に飛ばすシャフトを探しているのであれば試してみても良いでしょう。ただ、入手難易度が高すぎるのでコスパは0点です。
総合評価
スピーダーTR弍はプロトタイプとして話題になった割には発売されず、忘れられた存在でした。実際に試打した私からすれば“発売しなかった理由はいくらでも思いつく”と言うのが率直な感想です。
スピーダーTRの方が良くできています。ただこの癖満載のシャフトは好きな人には刺さるでしょうね。ちなみに聞かれそうなのであらかじめ言っておきますが、ベンタスブラックの3倍くらい難しいです。
おススメ度 (2 / 5)
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