40年前のシャフト
ダイナミックゴールドは未だに大人気のシャフトで、多くのプロゴルファーに愛用され続けているスチールシャフトです。かつては、ドライバー用の長尺なダイナミックゴールドもありましたが、今はアイアン用がメインです。
しかし、実態は40年前に設計されたシャフトであり、今や常識となっている剛性設計や重量設計をせずに作られたスチールシャフトです。それが今でも使われているというのは驚きです。
近年では、ロゴも刷新しただけでなく数多くのラインナップを展開しており、ライバルたちの追随を許すつもりはなさそうです。今回は、ダイナミックゴールドの重量級2タイプと同じくトゥルーテンパーから販売されているAMTツアーホワイトを比較試打していきます。
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ダイナミックゴールドとは
実用化されたスチールシャフトとしては初期のモデルで、重さと振動数の関係からか「粘る」と形容されるシャフトですが、ただ硬いだけだと私は思います。
トルクは1.2とも1.5とも言われていますが、製品精度が低かったりほとんどの個体が曲がっていたりと性能以外の要素が多すぎるので真相は不明です。
ダイナミックゴールドは、Sフレックスのうち重量が数グラム違うものを選別してS200、S300、S400に分類しています。要は、製造誤差を名前を変えて打っているだけ。
この分類したものをセットで組む際に、重量フローがキレイになるように揃たものが”ツアーイシュー”です。しかし、これにもまだ問題がありました。
それは同じS200のツアーイシューでもセット①とセット②では混ぜるとバラバラの重量フローになってしまうということ。仮に欠損した場合に、代わりとして同じツアーイシューを入れたとしても別物が入ってしまうということになります。
そんな問題を解決するために、2019年に登場したのが「ウェイトロック」というものです。ネーミングはツアーイシューEXになります。これでセット間誤差も少なくなったということです。まぁモーダスならスパイン位置も重量も揃うので高い金を払わないと重量がバラバラな製品を買う義理は無いかなと言うのが私の意見です。
ダイナミックゴールドのスペック
一応、ダイナミックゴールドはメーカー公表の振動数がありますので参考までに。ただし、ヘッド重量が、私が使用している718CBよりも3g重いため、振動数が少なく出ています。
フレックス | 重量 | トルク | 振動数 |
R300 | 127g | 1.6°? | 不明 |
S200 | 129g | 1.5°? | 330~338cpm |
X100 | 130g | 1.5°? | 354cpm |
ダイナミックゴールドX100の振動数
公式の値とはやや異なりますが、まぁ誤差モリモリなので仕方ないです。振動数は、それぞれ10ずつくらい変化するように設計されているみたいですね。
ダイナミックゴールドが合う人とセッティングのポイント
そんなものありません。打ってよかったら使えば良いです。
ダイナミックゴールドX7とは
長年使われてきたダイナミックゴールドですが、そのしなやかな挙動をもう少し硬くしてほしいという需要が生まれてきます。
そこで、ダイナミックゴールドの重さをそのままに、さらに硬くしたシャフトの開発がされます。そして誕生したのがダイナミックゴールドX7です。フレックス「XXXXXXX」を意味しているため、超硬いシャフトであることを示しています。
このダイナミックゴールドX7はジェイソン・デイやブライソン・デシャンボーが使用している(していた)シャフトです。アメリカでは、カスタムオーダーで装着してくれるメーカーも多いものの、日本ではその存在すら知られていないシャフトです。デザインとしては、ツアーイシューと同じラベルですが、X7の文字が羅列されています。
ダイナミックゴールドX7のスペック
フレックス | 重量 | トルク | 振動数 |
X7 | 133g | 1.4 | 373cpm |
ダイナミックゴールドX7の振動数
トルクは海外のサイトでこの数値をよく見るため記載していますが、数値よりは柔らかく感じます。X7が硬く感じるのは、地面に着地した後です。
ダイナミックゴールドX7が合う人とセッティングのポイント
とにかく硬いので基本的には”仕方なく使うもの”です。ここまで硬くすることに何の意味があるのか私には分かりません。
ダイナミックゴールドで満足できない人と言うよりは、アタックアングルが鋭い=ダウンブローが強すぎる場合に地面とヒットしてあまりにもしなってしまうのを防ぐために使うというイメージです。
ヘッドスピードはトラックマンで50m/sは確実に超えている必要があり、スイングレベルも相当高いものが求められます。でないとしなりません。
組み合わせるヘッドはスピンが減り過ぎなければ特に変にはなりませんが、バウンスは多めがおススメ。
ダイナミックゴールド120とは
新生ダイナミックゴールド(85,95,105,120)の中で最も重量級であり、唯一ツアーイシューが存在する(USのみ)のがダイナミックゴールド120です。今回はそのツアーイシューの120を仕入れて組んでみました。
TeamTrueTemperの略でTTと書いてあるのがツアーイシュー
コスメが新しくなった新生ダイナミックゴールドは軽量でもしっかりダイナミックゴールドらしい粘り感を再現しているのが特徴。これまで廃版になってきた軽量モデルの重量帯でDG感を出したものだと思ってください。
そうなると特筆することもありませんが、新しいモデルなので精度は改善してたらいいなと期待しています。
ダイナミックゴールド120 X100のスペック
フレックス | 重量 | トルク | 振動数 |
R300 | 116g | 1.9° | 不明 |
S200 | 118g | 1.9° | 不明 |
X100 | 120g | 1.9° | 350cpm |
ダイナミックゴールド120 X100の振動数
振動数は、普通のダイナミックゴールドよりも一回り柔らかめで、トルクも多いので少しソフトになっています。実際振った感じもDGをそのまま軽く柔らかくしただけです。
ダイナミックゴールド120が合う人とセッティングのポイント
(後述の試打データから)スピンの入り方を見る限り、ストロングロフトにも合わせられるシャフトだと考えています。振動数は普通なのとトルクの多さから難易度はそこまで高くありません。
ダイナミックゴールドがきつくなってきた人の乗り換えとしては最適だと思っています。単純にダイナミックゴールドR300のさらに柔らかいシャフトという感じです。ただ、バット径が分かるくらい太いのでそこだけは注意。
性能で唯一普通のダイナミックゴールドと違うのは120がフェード向きだという点だと思います。
ダイナミックゴールド105とは
新生ダイナミックゴールドの中でX100がラインナップされている最軽量モデルになります。
基本的には、ダイナミックゴールド120同様、振り心地をそのままに、打ち出し角を大きく、初速を速くすることを狙ったシャフト。スピン量は減るようになっているため、基本的には飛距離が出るようになっています。
ダイナミックゴールド105 X100のスペック
フレックス | 重量 | トルク | 振動数 |
R300 | 101g | 不明 | 不明 |
S200 | 103g | 不明 | 不明 |
X100 | 105g | 不明 | 341cpm |
振動数はダイナミックゴールド120よりもさらに一回り柔らかい341cpmでした。重量が105gですから、モーダス105Sと同じくらいなのですが、それで振動数が330cpmくらいなので固め。同じXフレックスになると、モーダス105で345cpmですから、硬さはだいたい同じくらいに。重量に対してはモーダス105よりも硬いと思います。
ダイナミックゴールド105が合う人とセッティングのポイント
試打データは後で見るとして、最大の特徴はスピン量の少なさであることは間違いないでしょう。ですから、アイアンに飛距離を求める層、130gのダイナミックゴールドを使っていてさすがにしんどいという人に合うと思います。
スピンが少ないので、選ぶヘッドはあまりストロングにしない方が良いでしょう。30°くらいのロフトが目安だと思います。ちなみに、方向性はドロー系ですから、それが120との違いです。
AMTツアーホワイトとは
短くなるにつれて3gずつ軽くなる「アセンディング・マス・テクノロジー」の略がAMTです。ロングアイアンの難易度を下げつつ、ショートアイアンの重量を増やしてコントロールしやすくするというコンセプトです。
AMTシリーズには、今回紹介するツアーホワイトの他にレッドとブラックがあります。ネーミングからも分かる通り、ホワイトだけはツアーとなっています。レッドが最軽量で、100gくらいです。ブラックはもう10gくらい重く、さらに10g重いのがツアーホワイトです。
ウェイトフローなので、やや慣れが必要ですが慣れれば楽なシャフト。イメージ的には、ダイナミックゴールドよりも一回り柔らかく捕まるという感じ。ダイナミックゴールドのまとめ記事に入れていますが、厳密にはダイナミックゴールドシリーズではありません(笑)
AMTツアーホワイトのスペック
フレックス | 重量 | トルク | 振動数 |
R300 | 118g | 2.0° | 不明 |
S200 | 120g | 1.9° | 328cpm |
X100 | 121g | 1.8° | 341cpm |
AMTツアーホワイトの振動数
こちらも私が計測したものの方が硬くなりましたがヘッド重量の差でしょう。比較的新しいモデルなので、そこまで製品誤差が大きくはないですし、なにより曲がっている個体が少ないです(なくはない)。
AMTホワイトが合う人とセッティングのポイント
ウェイトフローは使ってみると違和感を覚える人が一定数いまして、割合として小さくはありません。ですから、まずそこがネックです。確かにロングアイアンが簡単でウェッジがコントロールできると聞くと良さそうなんですけどね。
注意してほしいのはヘッド選びの中でも「重心設計しているか」どうかです。最近のアイアンは番手別重心設計と言って、ロングアイアンで球を上げ、ショートアイアンでスピンがかかるようにしてあります。これと組み合わせるとややこしいことになるんです。
ヘッドもシャフトも同じことをしようとしているわけですから、かなり味が濃くなります。ロングアイアンとショートアイアンが同じモデルとは思えないほど違う性格に感じてしまうのです。
つまり、AMTホワイトと組み合わせるヘッドは出来る限り単純で古典的なものが良いです。キャビティとかマッスルとかが理想的。
試打計測
ダイナミックゴールドX100
スピン量は7500rpm前後でやや多めです。球筋は基本的にフェードですが、ドローを打つことも可能。ドローヒッターの私的にも捕まえやすくはないですから、フェードが作りやすいです。
私はダイナミックゴールドが得意ではありませんのでとてもばらつきます。
打ち上げ角度のボリュームゾーンはやや高めの23°付近。
ダイナミックゴールドX7
赤の方がX7の試打データです。若干捕まる感じがするのは剛性の高さ故かなと思います。バックスピン量はメーカー公表のコンセプトに反して普通のDG X100よりも多くなってしまいました。が、これはもうすでに5回の同日試打を行って一度も覆らなかったのでこれが私の結論です。
やや左に打ち出していますがサイドスピンに性格があるわけではなく、ストレート。
普通のダイナミックゴールドX100よりも安定するというのもX7の大きな特徴であり最大の利点だと考えています。
ダイナミックゴールド120 X100
ダイナミックゴールド120等の”DG数字”シリーズはこれまでダイナミックゴールドの名を冠した軽量モデルの重量帯でダイナミックゴールドらしい振り心地を再現した物。その中でも私が一番DG感を感じるのが120です。105や95と比較しても捕まりが弱く安定したフェードが打ちやすいです。
バックスピン量は、常に8000rpmを超えるためストロングロフトのアイアンでも相性は良いです。
比較的弾道は高く、試打データも含めて普通のダイナミックゴールドと似ています。約10g軽くてそれだけの振り心地、性能ということは、同重量帯のKBSツアーV120やモーダス120よりもハードだと私は考えています。
ダイナミックゴールド105 X100
まず大きな特徴はヘッドスピードの速さとスピン量の少なさ、キャリーでしょう。公式ページに書かれているような初速性能の高さは確認できませんでしたが、飛んでますね。
正直、ばらつきはあります。が、逆球が出る心配がないので、ダイナミックゴールド105はダイナミックゴールドシリーズの中でも特にオートマチックな動きをするシャフトだと思います。
弾道は低めで、前に飛んでいる感じがすごくあります。
AMTツアーホワイト X100
白のデータがAMTホワイトです。黄色のDG X100と比較してドローバイアスが強く、バックスピンも少なめ。それでも弾道の高さは高いというのが面白いですね。
かなり捕まります。引っ掛けるミスも出るためスライスする人には良いかもしれません。捕まりの良さで言えばKBSツアーVやモーダス105が近いです。
まとめ
まぁこんな感じです。
重量級のDG X100とX7に対して軽量な120とAMTホワイトがあり、その中でも硬さ(振動数)に違いがあるので試打しつつ今使っているモデルと比較してみて頂けると良いでしょう。
他社は別の記事でまとめています。
ウェッジ用ダイナミックゴールド
ダイナミックゴールドは、アイアン用だけでなくウェッジ用シャフトも展開しています。アイアンにモーダスやKBSを入れている人でなくても、ウェッジにDG X100を入れている人はよく見ます。
ですが、ダイナミックゴールドシリーズにはちゃんとウェッジ用が存在するので、是非そちらも候補に入れて欲しいと思っています。早速見ていきましょう。
ダイナミックゴールドS200
まずは基準となるダイナミックゴールドS200から見ていきます。
平均キャリー | 91y |
平均サイドスピン | 642rpmドロー |
平均バックスピン | 8440rpm |
平均打ち出し角 | 0.9° |
平均打ち上げ角 | 36.5° |
最大の高さ | 29y |
落下角度 | 54° |
試打データはこんな感じでした。基準なので、これをもとに他のDGウェッジ用シャフトを見ていきます。
バックスピン量は、8550rpmで落下角度は平均で54°ですが、ボリュームゾーンは55°。打ち上げ角度は他のメーカーと比べても普通くらいでした。
黄色がダイナミックゴールドS200です。
ダイナミックゴールドウェッジS200のスペック
振動数は、351cpmでした。このあたりも、普通です。
重量は468g。ダイナミックゴールドがあくまで基準ですが、今回用意したウェッジ用シャフトの中では重めです。
ダイナミックゴールドS200が合う人&合うシャフト
まぁ基本的には、アイアンにダイナミックゴールドを入れている人が使うことが前提です。重量的には、モーダス120のXとTX、モーダス125、プロジェクトX6.0以上が対象かと思います。
相性で言えばモーです125とDGが良いと思いますが、モーダスとは太さが違うので注意。
ダイナミックゴールドSPINNER+
シャフト | DG S200 | DG SPINNER |
平均キャリー | 91y | 89y |
平均サイドスピン | 642rpmドロー | 1378rpmドロー |
平均バックスピン | 8440rpm | 7814rpm |
平均打ち出し角 | 0.9° | -0.4° |
平均打ち上げ角 | 36.5° | 35.5° |
最大の高さ | 29y | 26y |
落下角度 | 54° | 52° |
データは普通のDGと比較してみました。SPINNERと名乗っている割には、バックスピン量は少ない上に落下角度も低いです。
要因ははっきりしています。アタックアングルです。
DG SPINNERは、ウェッジ用シャフトでは唯一ダウンブローを通り越してレベルブローになりました。おそらくヘッドスピードが速すぎるか、単純に合っていないかです。
白がDG SPINNERです。
感触としてもすくい上げるようなヘッド軌道になっているのは分かりました。
DG SPINNERの大きな特徴は、手元側のステップ。この細くなっているところには樹脂が入っており、独特な剛性感を与えます。しなる量よりしなり戻る量の方が多くなるような感じです。これがマッチするとスピンは爆増でしょう。
ダイナミックゴールドSPINNER+のスペック
振動数は意外にも高かったです。DG SPINNER(+じゃない)ならもう少し柔らかく、DG S200と同じくらいになっていたかもしれません。
重さはダイナミックゴールドS200と全く同じでした。
ダイナミックゴールドSPINNERが合う人&合うシャフト
個人的には、重い割りにしなり戻り量は大きいので、アイアンに軽量なシャフトを入れている人が振り心地は柔らかめで、重くしたいという場合に良いと思います。
具体的には、DG105、DG120あたりを入れている人に合いそうです。
ヘッドスピードが速すぎても良くないので、プロジェクトXやDG X7、モーダス125、KBSツアー、C-TAPERの人は他のシャフトが良いです。
ダイナミックゴールド115 S300
シャフト | DG S200 | DG 115 |
平均キャリー | 91y | 88y |
平均サイドスピン | 642rpmドロー | 290rpmドロー |
平均バックスピン | 8440rpm | 9469rpm |
平均打ち出し角 | 0.9° | 1.5° |
平均打ち上げ角 | 36.5° | 35.8° |
最大の高さ | 29y | 27y |
落下角度 | 54° | 54° |
DG115は割と新しいウェッジ用のダイナミックゴールドです。新生ダイナミックゴールドに合わせてやや軽量に仕上げたウェッジ用シャフトです。
黄緑がダイナミックゴールド115です。バックスピン量はかなり多くて、弾道の高さは抑えられているけど落下角度は大きいので、スピン性能を求めるならダイナミックゴールド115はおススメ。
ダイナミックゴールド115 S300のスペック
振動数を見ると、DG120よりも柔らかいのでやはりターゲットは105や95なんだと思います。まぁ私はウェッジ用を硬くする必要があるとは思っていないので、振り心地で決めてもらえば良いと思います。
重量は449gで、普通のDGよりも約20gも軽いです。
ダイナミックゴールド115が合う人&合うシャフト
順当に行けばDG105、95あたりでしょうけど、個人的には振り心地はDG120にも合うと思います。他社だと、モーダス120R、105R、KBSツアーのS以下。
スピン性能が高いため、合うアイアンシャフトはスピン系のモデルが良いと思います。そうしないと、距離感がずれてしまいますので。
また、ホームページにも書かれていましたが、AWをこの115、SWをDGにするというセッティングもアリだと思います。
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