デラマックス第三の選択肢、虹デラ
私がかれこれ2年近く愛用しているデラマックス07D。
他にもユーティリティ用の03UTも抜群の仕上がりと性能が魅力のデラマックス。ドライバー用シャフトは通称赤デラと青デラの二種類をメインで展開していました。2023年に登場したデラマックス08Dは赤デラと青デラの中間に位置するモデルとして開発されました。
今回は、ジャパンゴルフフェアでの試打と、提供して頂いたシャフトでの試打計測を元に評価していきます。
デラマックス08Dはどんなシャフト?
デラマックス08Dの位置付けは赤デラと青デラの中間です。しっかり捕まって中弾道が狙いやすいのが赤デラで、左を恐れずに振れて低弾道が狙えるのが青デラですから、その中間となると方向性はニュートラル、弾道は中低弾道と予想できます。
スペックは40g台から60g台までで、多くのフレックスを用意しています。デラマックス08Dは最初からXXやTXがラインナップされています。デラマックス08Dの特筆すべき特徴は以下の点です。
- カウンターバランス
- しなり戻りの速さ
- 手元には剛性を上げるケブラークロス
カウンターバランスは青デラも同じですが、ケブラークロスはどのシャフトにも採用されていませんでした。これが果たしてどういう効果を生むのか。
試打データ
デラマックス08D6X×エピックフラッシュサブゼロ9°
ヘッドスピード | 53.0m/s |
ボールスピード | 76.4m/s |
平均キャリー | 306y |
平均トータル | 329y |
平均サイドスピン | 105rpmドロー |
平均バックスピン | 2283rpm |
平均打ち出し角 | -0.6° |
平均打ち上げ角 | 17.0° |
最大の高さ | 53y |
落下角度 | 45° |
左右ブレ | -12y |
デラマックス08Dは青デラと赤デラの中間なので正直方向性はどちらに寄っているのか不安でした。結論から言えばちょうど真ん中で、ストレート系の弾道がどのヘッドでも出ました。
最高飛距離はキャリー313yで、低スピンです。バックスピンはかなり少なくすることが出来るので飛距離は抜群です。青デラも低スピンにしやすいですが、ここ1番の飛びはデラマックス08Dに軍配が上がるかもしれません。
弾道の高さはやや低いですが、平均で17°を超える高打ち出しでキャリーが伸びています。一見極端な試打データと見ることも出来ますが、ちゃんと考えてバランスが取られている巧みな設計です。
デラマックス08D6X×パラダイム♦︎♦︎♦︎ 9°
ヘッドスピード | 53.3m/s |
ボールスピード | 76.8m/s |
平均キャリー | 308y |
平均トータル | 330y |
平均サイドスピン | 64rpmドロー |
平均バックスピン | 2300rpm |
平均打ち出し角 | -1.4° |
平均打ち上げ角 | 16.5° |
最大の高さ | 52y |
落下角度 | 45° |
左右ブレ | -12y |
万能な新世代キャロウェイのパラダイムトリプルダイヤモンドとの組み合わせではさらに高い平均キャリー308yを記録。こちらはヘッドなりのやや低めのスピン量で初速も高いです。最高キャリーは310yでした。
サイドスピン量が小さく、2桁rpmのストレート連発です。デラマックス08Dはこの二種類のヘッドでストレート系の弾道が出るのでジアッタスのような特性です。
この組み合わせではミスをすると右に抜けてバックスピン量が増加します。曲がり幅がかなり小さいのでOBする気配は全くありません。ストレートが打ててやや右に抜けるミスは完全に初代のジアッタスです。
デラマックス08D6X×エピックフラッシュサブゼロ♦︎♦︎ 9°
ヘッドスピード | 52.3m/s |
ボールスピード | 74.7m/s |
平均キャリー | 305y |
平均トータル | 331y |
平均サイドスピン | 45rpmドロー |
平均バックスピン | 1957rpm |
平均打ち出し角 | 0.4° |
平均打ち上げ角 | 15.8° |
最大の高さ | 44y |
落下角度 | 41° |
左右ブレ | -1y |
デラマックス08Dで私が激推しする組み合わせがこれです。かなり低スピンのダブルダイヤに08Dはドロップするかと思いましたが、シャフトとヘッドが見事に同調してくれる感覚が強いです。
ちなみに、この組み合わせではフェードでもキャリー300yを超えているので、光るものを感じます。デラマックス08Dは確かに青デラと赤デラの中間であり、私のマトリックスチャートでもセンターに来そうです。
ただ、この劇薬なヘッドとの組み合わせでは打ち出し角度に安定性がなくミスをすると大きく曲がってしまいます。
最高キャリーはこちらも310yです。打ち上げ角度が小さかったために低弾道になりました。バックスピン量もドロップギリギリを行ったり来たりするのでご注意ください。
デラマックス08D6X×マーベリックサブゼロ 9°
ヘッドスピード | 52.1m/s |
ボールスピード | 74.3m/s |
平均キャリー | 300y |
平均トータル | 325y |
平均サイドスピン | 406rpmドロー |
平均バックスピン | 1980rpm |
平均打ち出し角 | -2.4° |
平均打ち上げ角 | 16.2° |
最大の高さ | 45y |
落下角度 | 41° |
左右ブレ | -45y |
パラダイムトリプルダイヤと割と似た方向性だから合うかと思いましたがちょっと左打ち出しが大きいですね。バックスピンはドロップすることもあり安定しているとは言えません。
ただ、飛距離性能が他のヘッドと比べて優れているとは言い難いこのヘッドで平均キャリー300yを超えているのは注目ポイント。デラマックス08Dは「このヘッドフィーリングと見た目だけで性能が…」みたいなドライバーを開花させる可能性を秘めていると思いました。
デラマックス08D6X×パラダイム 9°
ヘッドスピード | 52.9m/s |
ボールスピード | 75.9m/s |
平均キャリー | 304y |
平均トータル | 329y |
平均サイドスピン | 77rpmフェード |
平均バックスピン | 2069rpm |
平均打ち出し角 | -2.9° |
平均打ち上げ角 | 14.5° |
最大の高さ | 42y |
落下角度 | 40° |
左右ブレ | -12y |
個人的に嫌いなパラダイムも試打してみました。案の定お尻を擦るので打ち上げ角度はヘッドに依存しています。流石に中調子なので打ち上げ角度を抑えて穏やかにすることはできませんでした。
このセッティングのミソは方向性です。デラマックス08Dは基本的にドローだと思っていましたが、先のエピフラSZ♦︎♦︎でも見られたようにフェードが打てます。パラダイムでのフェード弾道はキャリー300yオーバーでありながらバックスピン量は2200rpmに抑えることが出来ます。
しかもプッシュする感覚でフェースが開かずに突っ込んでくれるので飛距離も安定して出せます。フェースの押し具合の意識はある程度雑でも弾道はまとまるので、意識のしやすさはすごく好印象です。
パラダイムなのでドローセッティングではちゃんとドロップします。
デラマックス08D 6X×パラダイムトリプルダイヤモンドS 8.5°
ヘッドスピード | 53.6m/s |
ボールスピード | 77.8m/s |
平均キャリー | 309y |
平均トータル | 331y |
平均サイドスピン | 127rpmドロー |
平均バックスピン | 2397rpm |
平均打ち出し角 | -1.1° |
平均打ち上げ角 | 15.9° |
最大の高さ | 52y |
落下角度 | 45° |
左右ブレ | -16y |
フェードバイアスのパラダイムトリプルダイヤモンドSと組んでみました。
高さは安定しませんでしたが、飛距離はよく出ます。最高キャリーは323yで、トータル350yです。バックスピンはドロップギリギリの1775rpmなので、ドロップには注意。
バックスピン量はやはり2400rpmくらいで落ち着きます。
デラマックス08Dの良い点
- 低スピンに打ちやすい
- 凄まじいしなり戻り
- 方向性はストレートが基本
- フェードも打てる
- 初速性能が高い
デラマックス08Dのイマイチな点
- しなり戻りが速すぎる
- オートマ感が強いので意識と喧嘩する
デラマックス08Dの独特な振り心地
初めてデラマックス08Dを試打したのはジャパンゴルフフェアでした。一振り目で強く感じたしなり戻りの速さ、もっと正確に言うと“強さ”はデラマックスの中でも随一です。
これはもちろん良い方に働いてほしいですが、ストレートが打てる方向性と若干喧嘩していると思います。ストレートが打てるシャフトでしなり戻りが速いとコントロールが難しいです。
ジアッタスのダルさが無くなった感じなので、飛距離が出しやすい反面安定性を出すことには長けていないと考えています。また、ケブラークロスによる手元剛性の高さはそこまで顕著に感じません。ただし軽量帯になるとこれが安心感につながっているのでやはりデラマックス08Dの良さを引き出すなら思い切って軽くするのが賢明。
デラマックス08Dの選び方&試打での注意点
デラマックス08Dを選ぶときはハードヒッターであっても50g台から考えてほしいです。
50g台のスペックの選択肢の多さももちろんですが、かなりしっかりしたシャフトなのでオーバースペックでは百害あって一理なし。青デラなんかはそこまで硬くは無いから迷ったら硬い方を選べと言ってきましたがデラマックス08Dは「まず軽くする」方がおすすめです。
軽めにすることで、ヘッドスピードが上がってしなり量が確保出来ます。デラマックス08Dはしならせ続けることが出来て初めて操作する権利を得ることが出来るシャフトなのでそれが出来るスペックを目指してほしいです。
武市プロに「スペックを見ずに打ってみて」と渡された5Xは剛性、重量感ともにしっかりしていて手に余るような挙動もなく自然でした。
デラマックス08Dの振動数
デラマックスは振動数基準で剛性設計をしているわけではありませんから参考まで。
デラマックス08Dは6Xで261cpmなので1フレックス分柔らかいです。ディアマナWSやベンタス系が大体260cpm、国産ラインのスピーダーNXやディアマナGTの60Sが255cpmですから決して硬くは無いです。
デラマックス08Dのセッティング
デラマックス08Dはマトリックスチャートの中心からほんの少しだけ左の下の方、ツアーAD IZの左下です。
組み合わせるヘッドは、捕まりが弱いモデルの方が良いです。
エピックフラッシュサブゼロやXD-3Cのエリアです。低スピンヘッドを少し寝かせたロフトにするとドロップは防げると思います。中スピンのパラダイムトリプルダイヤもマッチしていたのでスピン量は真ん中のエリアでも問題ないでしょう。そこまでヘッドを選り好みするシャフトではないと思います。
フェードセッティングを作るのであれば確実に左のエリアのヘッドを選んで逃しながら打ちましょう。安定性はフェードの方が出せますし、低スピンフェードも作れるのでぜひチャレンジしてみて欲しいです。
データチャート
飛距離性能は高く、スピンバランスの絶妙さはさすがデラマックス。ただ、ややピーキーであると言うのが懸念点です。ストレートが出ると言うことはどちらにも曲がり得るのでそこをうまくセッティングするなり、スイングでコントロールする必要があります。そのためセッティングの難しさと一方向を出す難しさを考慮してやさしさの評価も少し下がりました。
総合評価
デラマックス08Dは慣れに時間がかかります。
確実に一球目は引っ掛けるので、覚悟してください。普段の感覚にないクラブの動きを引き出すシャフトです。デラマックス08Dはストレートの低スピンが得意なシャフトではありますが、しなり戻りの速さは本当にすごいので取扱注意。
残念ながら青デラからの乗り換えはしませんが、デラマックスのドライバー用シャフトのラインナップの穴を埋める貴重な存在になることは間違い無いでしょう。
試打データが良いのでもちろん高評価です。
おススメ度 (4 / 5)


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