ユーティリティ専用モデル
スチールシャフトと、カーボンシャフトの両方が混在するUT/HY用シャフトですが、正直どちらも専用モデルが少なく選ぶのが難しいです。
アイアン系のMCHやディアマナサンプはハイブリッド用ではありますが、あくまでアイアンの延長にあるので専用シャフトにはなり得ないと考えています。逆に言えば、アッタスMBのようにハイブリッドやFWに専用で作られているモデルはヘッドの特性を考えて設計されているので良いシャフトが多いです。
今回紹介するのはデラマックスのUT/HY用、03UTです。49g〜89gという広い重量帯を持つターゲットの裾野が広いモデルであり、デラマックスユーザーだけでなく全ゴルファーに向けて作られたシャフトです。
まずはデザインやコンセプトから解説していきます。
デラマックス03UTのデザイン
デラマックスのロゴはやや大きくシンプルになったものです。MAXの文字が透けているので、カーボン柄が見えます。
私個人的な見解として、このカーボンの網目を剥き出しに出来るのは相当な自身の現れではないかと思います。シャフトの抜き差し、加工、グリップ交換をするので、塗装されていないところ=カーボンの網目が見えるところを見る機会が多いのですが、デラマックス03UTのように細かくて整っているシャフトは非常に少ないです。
カーボンの種類が違うものを比較するのは適切ではありませんが、デラマックス03UTほど美しい配列になっているのはオーダーメイドのセブンドリーマーズなど超高額製品くらいです。
デラマックス03UTのスペック
デラマックス03UTは非常に面白いラインナップをしています。重量帯としては3種類ですが、その中でも03UT-50は全て49gでこれは女性やシニア向けに作っているのでしょう。
実際、アイアンの純正シャフトの重量は60g付近に集中していますし、女性用でも50gくらいが多いのでそれの両方に対応させるとなるとこうなるはずです。
また、その次に03UT-75というスペックがあり、さらに上は03UT-90と、やや開きがあります。おそらく100g以上のカーボンを作ってもカーボンの良さが出ない、金属系の繊維を混ぜなければならないなどの懸念でこの最大重量なのだと思います。
私はつくづくハイブリッドに100g以上を入れる必要がないと言ってきましたが、デラマックス03UTはその点も抑えてあって私の好みです。細かいことを言えば、こういうスペックの数字と実際の重量が近い“正直なスペック表記”は好印象を受けます。

振動数
デラマックス自体はセンターフレックスで設計しているはずなので振動数が最重要ではありませんが一応参考程度に。
ドライバーで言えば6Xや7Xくらいの硬さです。短いことを考えるとデラマックス03UT-90Sで、ドライバースペックは60S〜70Sくらいのユーザーに合うかなと思います。
試打データ
ヘッドスピード | 50.5m/s |
ボールスピード | 62.7m/s |
平均キャリー | 221y |
平均トータル | 237y |
平均サイドスピン | 10rpmストレート |
平均バックスピン | 3606rpm |
平均打ち出し角 | 0.8° |
平均打ち上げ角 | 19.5° |
最大の高さ | 47y |
落下角度 | 49° |
左右ブレ | 2y |
今回は私のエピックフラッシュハイブリッド(US)の24°で試打計測を行いました。通常の試打データは一つ上の番手(22°)で行うので基準が分からないかもしれませんが、飛距離はよく飛んでいると思います。
ご覧の通り、引っ掛けはほとんど出ませんしストレートに近い弾道が多いです。バックスピン量は3600rpmほどで、24°のストレートフェードとしてはやや少ないと思いますが、困るほどではありません。
高さはしっかりと出ていますし、安定もしているのでスピンは問題ではありません。正直デラマックス03UTの特性は試打データだけ見てもよく分からないと思うのでフィーリングに重点を置いて解説します。
デラマックス03UTの振り心地
デラマックスといえば、振り心地の良いシャフトが多いブランド。性格が分かりやすい上にマイルド。デラマックス03UTにもそれは継承されていますが、ドライバー用シャフトとはやはり大きく違います。違って当然です、違うヘッドに使うんですから。
デラマックス03UTはもっちりした動きで、特にダフり気味の時に“引っこ抜ける”粘り強さを感じます。実際ダフってもチョロするのではなく右ストレートで前に進んでくれますから、実を伴ったフィーリングだということです。
硬いか柔らかいかで言えば柔らかい部類に入るシャフトだと思います。デラマックス03UTは強くしなる瞬間があって、しかもそれを“待ちたくなる香り”がします。
デラマックス03UTのセッティング
そもそも選択肢の少ないUT/HY用カーボンシャフトですし、ハイブリッドのヘッド自体も特別な方向性の違いはありませんからセッティングでどうこうしようということがしにくいことは承知です。
今回の試打計測でのセッティングは捕まりの弱いヘッドに装着しています。ですからそれでストレートなので、捕まるヘッドなら普通に捕まるはずです。
ただし、引っ掛けにくさはおそらくどのヘッドにつけても同じだと思います。これはフィーリングの所でも書いたように、強くしなる瞬間があるからです。この強くしなるというのはしなりの最大点が長く(時間的に)それが急激なローテーションには繋がらないからです。
デラマックス03UTはこんなシャフト
- 引っ掛けにくい
- しなりを感じやすい
- 重量設計が絶妙で選びやすい
- 真っ黒で美しいカーボンのテクスチャー
- アイアンやウッドのシャフトと干渉しない素性の良さ
- なんかよく分かんねぇけど気持ち良い
デラマックス裏話
デラマックスのシャフトは切りやすいんです。加工する時に抵抗が少なく、真っ直ぐ切ることが容易なのは高級シャフトの中でも少ない方です。それはこの画像が表しています。デラマックスは非常に美しく積層されています。
カーボンシートの間に空気があったり、シートがよれていると折れやすくなったり、不規則な動きを発生させます。
データチャート
デラマックス03UTは、独特なフィーリングがクセになるシャフトです。ハイブリッド用として作られているため、硬さにも剛性設計にも無理がなく極めて自然。
今回はデラマックス03UT-90Sを試打しましたが、私としてはちょうど良かったです。長らくセッティングから外していたハイブリッドを入れようと思える素晴らしい製品です。実際かなり安心感があるので、入れます。
総合評価
デラマックス03UTは、デザインがシンプルで番人受けすると思いますし、「ハイブリッドにカスタムシャフトを入れたい層」にとって絶対条件である引っ掛けにくさを備えています。
多すぎず少なすぎないラインナップは選びやすさに貢献していますのでその点も評価したいです。デラマックス03UTが、選択肢の少ないハイブリッド用シャフト界を席巻する存在になるかもしれませんよ?
おススメ度 (5 / 5)









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