あまりにも異端なヤマハVD40アイアン
ヤマハのアイアンはこれまで、3種類のラインナップを続けてきましたが、2021年のVDシリーズは、かなり攻めたアイアンを発売しました。それが今回試打評価するヤマハRMX VD40アイアンです。
VD40の「40」は慣性モーメントが4000g・㎠を意味します。ドライバーでは5900がルール上の最大値ですが、アイアンってどうなんでしょうかね。他のアイアンの慣性モーメントを知らないので、比較が難しいですが、その辺りは試打データで評価していきます。
それでは早速デザインから見ていきましょう。






VD40アイアンのデザイン
非常に巨大なヘッドです。構造としてはポケットキャビティだと思うのですが、フレームが薄いのでキャビティと言えなくもないですね。
なんと言っても特徴的なのはこのVD40のロゴが書かれているネック部分。
この部分に肉厚を持たせるという画期的なデザインは、両端に重量を持たせて慣性モーメントを増やそうという意志が現れていますね。
ソールデザインもかなり奇抜で、トゥ側にかなりボリュームがあります。これも先に述べた慣性モーメントのためのデザインでしょう。
VD40アイアンはオフセットされたフェースになっていて、ソールのカットも大胆。フェース側もバックフェース側も削ってあることから、ソールをいかに薄くするかを考えていることが分かります。
構えると、グース具合はそこまで極端ではありませんが、ヘッドが長いです。あのネックの肉厚は全く見えないのが絶妙ですよね。
試打データ
ヘッドスピード | 45.3m/s |
ボールスピード | 57.9m/s |
平均キャリー | 189y |
平均トータル | 201y |
平均サイドスピン | 233rpmドロー |
平均バックスピン | 4673rpm |
平均打ち出し角 | -2.6° |
平均打ち上げ角 | 22.6° |
最大の高さ | 47y |
落下角度 | 52° |
左右ブレ | -15y |
シャフトは軽量スチールですが、あまりヘッドスピードが速くなっていませんね。初速もそこまで高くはなく、平均で58m/sくらい。ロフトが30°と意外と普通なので、平均的な初速性能ということになります。
ここからも、VD40アイアンが飛び系アイアンではないということがわかると思います。
ヤマハVD40アイアンの最大の利点はこれです。方向の安定感ですね。同じ弾道しか出ないと言っても過言ではなく、感動しました。
実は左右だけでなく縦の安定感もピカイチ。横ぶれは3y、縦ぶれに至っては1yという脅威の安定性。ヤマハVD40アイアンは見掛け倒しではなく、オーバーキルするほどの実力を備えたアイアンです。
バックスピン量は平均で5000rpmを下回っているので、スピンで止めるタイプではありませんが、それに対しては落下角度が大きいので無理なく止まるでしょう。これはロフトの設計が絶妙ということです。
ヤマハVD40アイアンの打感
VD40の打感は独特でした。まず一つ言えることは”金属を打っている気がしない”ということです。
スナッグゴルフのプラスチックのクラブで打っているのに近い感触でした。ペチペチという感じでもなく、「パスっ」みたいな音がします。
気になる抜けは?
ここまで巨大なヘッド、長いソールだと気になるのは抜けですよね。
結論から申し上げますと、抜けは最悪です。抜けません。逆に言えば、同じところに通すしか選択肢がないために一定の弾道で打てるわけです。そりゃ安定するよなぁとしてやられた感が残ります。
データチャート
安定性はこれまで試打したアイアンの中でもダントツだと思います。T100アイアンなども安定性の評価は高かったですが、VD40アイアンは同じ弾道以外打てないということでそれを超える評価ということになりました。
これだけ安定した弾道が打てるのであれば、スコアアップにもつながりそうです。
総合評価
本当に面白いアイアンだと思います。自分が使いたいとは思いませんが、おススメはしやすいですね。デザイン的に気になっている人もいるかもしれませんが、ヘッドサイズ以外は普通なので、むしろ変な形のフェースをしているアイアンの方が不快感を覚えるくらい。
是非とも試打してこの脅威の安定性を体感してみてください。
おススメ度
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