チッパーの長い歴史
チッパーと言うと「お助けクラブ」というイメージが先行して使っていると冷ややかな目で見られがちですが、ルール上使うことが認められているクラブです。
ピンのチッパーは1970年代に始まった長い歴史を持ちます。スタイリングはアイアンの延長線上にあり、パターベースのチッパーではありません。
今回試打評価するピンChipRはそれの最新版と言って良いでしょう。定番になると長く作るブランドなのでこのChipRがそれになるのか楽しみです。
ピンChipRの特徴
スペックは1つだけで、ロフト角は8番アイアン相当の38.5°、ライ角はルールギリギリの70°、クラブ長はパターと同じ34インチです。
数値だけ見れば特に変なところはなく、チッパーとしては普通です。バウンス角が表記されているのが珍しいかもしれませんがそれくらいです。
ピンChipRのデザイン
ピンChipRは普通のアイアンと見まごうほどのデザインです。バックフェースを掘った所謂ポケキャビスタイルでこれがバッグに入っていてもチッパーだとバレないかもしれませんね。
最も、そんな罪悪感を抱く必要は全くありませんが。
ソールもG430のアイアンと言われたら疑問を持たないほどにアイアンライクにしてあります。やや分厚いソールはチッパーには必要な要素でしょう。
ピンのアイアンはグースが多めなものが多いですが、ChipRはこの度数としてはストレートだと思います。
フェース形状にもなんの変哲もありません。言ってみれば8番アイアンをベースに作れなくもなさそうなスペックのチッパーと言うことですね。
ピンChipRの振り心地
ウェッジに近い振り感を覚えましたが、ダウンブローに入れすぎると勢い良く転がってしまうのでその塩梅が難しかったです。地面を掘ることが出来ない分縦の運動を極力小さくする努力が必要です。
ライ角70°ですが極端に立てるとトゥ側が潜るので、このあたりにパターから派生したチッパーとの違いを認識できます。
ピンChipRを上手く打つには
距離によってライ角を変えて打つと上手く行きました。具体的には短い距離(5m~8m)ではライ角を立ち気味にして、10m以上ではクラブのライ角よりも気持ち寝かせるイメージです。
特に、深い芝でライ角を立てていると突っかかるので寝かせてヒットさせる方が良いです。高さは腰くらいまで出せますが上り傾斜にはやはり向きません。パターから派生したチッパーと違ってピンChipRは20yでも普通に打てます。流石にそこまで長い距離だと寄せやすさはウェッジと比べてそこまで秀でているわけではありません。
細かい仕様
ピンChipRはウェッジ用のシャフトZ-Z115が装着されています。
やや重めのシャフトで、ピンのウェッジにはよく刺さっています。
信じられないほどブレていますが、グリップはダイラウェッジが入っています。チッパーは太いグリップが主流なので若干細い感じもしましたが、逆に言えばこれが打ち分けを可能にしているのかもしれません。
ピンChipRはどんな人におすすめ?
単純にランニングアプローチ専用のウェッジないしアイアンと思えば良いです。
なので今9番アイアンでやっている人がこれにして特段メリットがあるとも思えません。では、ウェッジでのアプローチが苦手な人はどうかというと、そもそも弾道が違って比較にならないと私は思います。
ウェッジが苦手な人の中で「ランニングアプローチなら良いかな?」と思っている人は決して多くないと思うのでかなり限定的な需要に思えてなりません。その辺りが少し中途半端に仕上がっていると感じました。お助けクラブ要素少なめです。
総合評価
チッパー度合いは少ないです。なのでステルスチッパーとでも言いましょうか。
バッグに入っていて邪険に扱われることはないでしょう。ただ、その分チッパーとしての活躍も少なくなってしまう可能性はあります。単純にライ角を立ててシャフトを少し短くしただけのアイアンです。
特別、ChipRじゃないと手に入らない性能や工夫はほとんどないと言って良いと考えます。
おススメ度 (2.5 / 5)
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