中空アイアン2世代目
オノフのアスリートモデルであるKUROシリーズは、2020年モデルで初の中空構造を採用しました。2022年モデルは中空構造になってから2世代目となります。それゆえに、多くのフィードバックが見込めますからかなり変更点も多かったように思います。
32°というロフトは変更なしで、ライバルはZX7やブリヂストンX-CB、ピンi210あたりかなと思いますので、ある程度のレベルの人が選ぶアイアンになるかなと思います。
オノフKUROアイアンのデザイン
最もわかりやすいデザインの変更点はバックフェースです。
センターよりも少しトゥ側に可変ウェイトが配置されました。最近ではキャロウェイAPEX MBでフェースセンター真裏にこのようなネジウェイトがありましたが、s打感が最悪になるだけの謎ギミックでした。
このウェイトが搭載されたことで気軽にバランス調整が可能なのと、トゥ側なので重くすれば右に、軽くすれば左に弾道を変えられるというメリットもあります。
前作との比較をすると、ソールのカットが違います。左が2020のKUROで、右が2022のKUROです。
2022年モデルのKUROアイアンではソールはまっ平になりました。ソール幅はそこまで変化なし。
構えた印象は、フェースの柄が変わっただけで、ブレードの厚さやネック形状、フェースアングルに違いは感じられません。
試打データ
KUROアイアン(2022)×モーダス105 vs KUROアイアン(2020)×モーダス105
モデル | 2022KURO | 2020KURO |
ヘッドスピード | 46.1m/s | 45.0m/s |
ボールスピード | 60.1m/s | 57.1m/s |
平均キャリー | 187y | 181y |
平均トータル | 197y | 192y |
平均サイドスピン | 181rpmドロー | 36rpmストレート |
平均バックスピン | 5649rpm | 5210rpm |
平均打ち出し角 | -0.8° | 1.4° |
平均打ち上げ角 | 23.8° | 24.0° |
最大の高さ | 53y | 48y |
落下角度 | 54° | 48° |
左右ブレ | -6y | 3y |
まずは前作との比較です。端的に言えばバックスピン量が増えました。そして、なぜか2022のKUROシリーズ全てに当てはまるのですが、ヘッドスピードが変に速いです。
白が2020のKURO、赤が2022のKURO
モーダス105は基本的にスピン量があまり増えないのでこんなもんかなぁという感じです。弾道の高さは2022年モデルのオノフKUROアイアンは高くてこれはどのシャフトでも共通でした。
オノフKUROアイアン(2022)×モーダス115
ヘッドスピード | 47.4m/s |
ボールスピード | 61.1m/s |
平均キャリー | 184y |
平均トータル | 192y |
平均サイドスピン | 187rpmストレート |
平均バックスピン | 6833rpm |
平均打ち出し角 | -1.7° |
平均打ち上げ角 | 23.2° |
最大の高さ | 54y |
落下角度 | 54° |
左右ブレ | -9y |
新登場のモーダス115がストックとして採用されました。モーダス115自体は2022年の初旬に発売予定で、ピンなどを含む数メーカーで先行販売されることになっています。
赤がモーダス105、黄色がモーダス115
試打データとしては、バックスピン量が格段に上がり、バランスの取れたものになりました。まだモーダス115の特性を完全に理解している訳ではありませんが、おそらく少し捕まりが弱くてスピン量が多いと考えています。
とにかく縦距離の安定感が良くて、誤差1yです。上級者が喜びそうな試打データと振り心地です。シャフトの振動数については後述します。
オノフKUROアイアンのフィーリング
打感は、“悪く無い”です。私は打感に対して非常に細かい基準を持っているので、打感が良いと表現するには難があります。ですが、前作と比較すると改善したのは間違いありません。
もともとオノフKUROアイアンの魅力は中空でありながら軟鉄ベースで作られていることにあります。それに加えて、2022年モデルのKUROアイアンは樹脂を充填しました。
私がよく表現している「中空充填系アイアン」に進化したということですね。
フェース下部に充填されていますが、これの影響かハーフトップしても打感が硬くなりません。やや不自然ではあるものの、フェアウェイバンカーでハーフショットを多用する私にとっては好印象です。
また、音は打感以上に改善されたと感じます。中空のキンキンする音は0ではありませんが、打っている人も周りの人もわかるくらい静かになっています。
オノフKUROアイアンの魅力
中空で32°という組み合わせは、P770(33°)以外であまり見かけません。
そうなってくると、純粋なライバルはほぼいないことになるでしょうから、比較すべきは同程度のロフトの他の構造のモデル。ZX7やi210などです。
これらと比較した時にオノフKUROアイアンで突出する魅力は、飛距離の出しやすさにあると思います。まぁ「アイアンは飛距離じゃ無い」と言われればそれまでですが、“届かないグリーンには絶対に乗りません”。しかも、シャフトでスピンを増やすことは簡単なので、アマチュアが使うアイアンなら若干低スピンなくらいがちょうど良いです。
つまり、シャフトの選択肢が多いので多くの人にリーチできるということになります。
細かい配慮
私が初めてKUROアイアンを打った時に感じたのが、細かい配慮の数々です。
まずは、ネジウェイトです。はみ出ない12gまでルール上装着可能になっていますが、これの裏側をみて欲しいです。
このネジウェイトの裏にはゴムのワッシャーが付いています。キャロウェイに付いていたウェイトはそういった物はありませんでした。このゴムワッシャーがあることで振動を吸収し、打感や打音の向上に繋がっていると感じました。
しかも、このネジウェイトがフェース真裏にないというのも大変評価しています。真裏に無いからこそ打感が悪くなる心配もないし、弾道調整の役割も果たします。私はギミックが大好きなのでこういう“よく考えられた”ギミックには興奮します。
極上のPW
私はオノフKUROアイアンを初めて打たせてもらった時から、PWの完成度に感激していました。
飛び系アイアンはPWがやたら飛んだり、やたら弾道が高いだけでスピンがかからないことが多いです。しかし、KUROアイアンのPWはわざとらしいほど低めの弾道になって、スピンが結構かかります。これならロフト間隔を詰めなくても4°刻みでウェッジにつなげてOKです。
しかもこのPW、全然左に引っ掛けないんです!
私の周りではPWが捕まるから抜いてウェッジを入れる人もいるくらいなので、これは大きな価値だと思います。
シャフトについて
今回初採用となるモーダス115について少しお話しておきましょう。
モーダス10周年で登場した黒いコスメのモーダス115の通常デザイン版です。KUROアイアンでは105と115がストックなので、これの違いと選び方を解説します。
試打データを見てもらってわかる通り、
- モーダス115の方が捕まりが弱い
- モーダス115の方がバックスピンが多い
- 弾道の高さは同じ
これだけで選んでください。モーダス115の振動数はSシャフトで328cpmでした。
これはモーダス105Sと全く同じです。
私的にはモーダス115とモーダス105でかなりの範囲のユーザーを取り込めると感じたのでハードヒッターでも普通のヘッドスピードの人でもうまく打てるアイアンに仕上がっていると思います。
カスタマイズ
同じ重量でドライバー用のCBTグリップが選択可能。
これでカウンターバランスにも出来ますし、やりたい人はバランス調整も可能です。
データチャート
シャフトが2種あるのでそれを考えるとかなりターゲットが広いです。私の基準であるキャリー180yとバックスピン量6000rpmを高次元で両立している上に縦距離の安定感が抜群なのでこれは高評価間違いなしです。
総合評価
私がYouTubeで最高評価したホンマTR21Xと似た特徴を持ちながら、独自のウェイトギミックやグリップのオプションもあるので差別化がしっかり図られていること、ロフト設定やPWのセッティングが絶妙である点から、かなり良いのではないでしょうか。
全体のランキングでも確実にトップ5に入るくらい評価しているアイアンです。
おススメ度





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