中空第三世代
中空アイアンの地位は年々上がっているのを感じていますが、特に飛び系でない中空の存在が大きいのではないかと私は考えています。
オノフKUROは前々作で初めて中空構造を採用しました。前作のKUROアイアンはアイアンとしては珍しくウェイトギミックを搭載して他社との差別化に成功しました。性能的にも素晴らしく私も高評価したのはよく覚えています。
2023年に登場するKUROはそれをブラッシュアップしたようなモデルと言っても良いでしょう。根本的な部分には手を加えず、細かなところの配慮に気を配っています。
この記事ではそんなオノフKURO(2024)アイアンを試打データやデザイン分析を下に評価していきます。
オノフKURO(2024)のデザイン
オノフKUROアイアンはバックフェースのシンプルさに定評があります。
今作も素晴らしくシンプルでロゴも小さくかっこいいです。ウェイトギミックはトゥ側を維持しており、弾道調整機能として使うことも可能です。
ソールの前方にはデントソールのような削りがあり、地面へのコンタクトの抵抗を少なくしています。この削りは2022年モデルのKUROアイアンにはありませんでしたが、実は2020年の初代の中空KUROに採用していた形状です。
フェースは大きくも小さくもなくちょうど良いです。ブレードはエッジが効いていてシャキッとしたイメージを抱きます。
ブレードの厚さ自体も特別薄くはありませんが、一昔前の中空アイアンのイメージよりもかなりシャープです。
スコアラインのところは前作のように模様が入っています。構えると見えませんが近くで見るとおしゃれです。性能面への影響はありません。
ソール後方は若干肩が落とされているようにも見えます。
オノフKUROアイアン(2024)のスペック
オノフKUROアイアンは7番32°です。前作から変更はなし。
4番からPWまであって、PWが44°です。このロフトだとウェッジは3本体制が標準になりそうです。
試打データ
オノフKUROアイアン(2024)7番×モーダス105S
ヘッドスピード | 49.5m/s |
ボールスピード | 59.9m/s |
平均キャリー | 181y |
平均トータル | 190y |
平均サイドスピン | 13rpmフェード |
平均バックスピン | 6409rpm |
平均打ち出し角 | -1.5° |
平均打ち上げ角 | 24.2° |
最大の高さ | 53y |
落下角度 | 55° |
左右ブレ | -4y |
モーダス105での試打データは前作のKUROアイアンよりも良いです。バックスピンが6000rpmを超えていて、平均キャリーも181yです。私が高評価するアイアンの性能を満たしています。
初速も32°のアイアンとしてはトップクラスです。ZX7Mk2と同じくらいの高初速ですね。サイドスピンはフェードで、基本的に安定しています。ほとんどストレートで、前作のKUROよりは捕まる感じがします。
弾道の高さは高いです。ちなみに打ち上げ角度は2024年モデルのKUROも2022年モデルのKUROも大体同じ。バックスピン量で若干2024年モデルのKUROが高くなったような感じです。
オノフKUROアイアン(2024)7番×モーダス115S
ヘッドスピード | 46.6m/s |
ボールスピード | 59.2m/s |
平均キャリー | 177y |
平均トータル | 186y |
平均サイドスピン | 166rpmフェード |
平均バックスピン | 6722rpm |
平均打ち出し角 | -0.9° |
平均打ち上げ角 | 24.6° |
最大の高さ | 53y |
落下角度 | 55° |
左右ブレ | 0y |
2年前は初登場のモーダス115でしたが、もう2年も経過していて標準シャフトで設定しているブランドも少しずつ増えてきました。モーダス105よりもスピンが増えてフェードが強まるシャフトという評価をしていますが、前作のKUROアイアンでの試打データほどの違いは出ませんでした。
初速は気持ち出ませんでしたがスピンはやはり多く、サイドスピンも全球フェードなのでシャフトの違いは試打データでもちゃんと認識することが出来ます。
試打データ自体は前作と非常に酷似していて特にわざわざ解説するような点は見当たりませんでした。初速は落ちていますが、私の問題でもあるのでこのあたりは勘弁してください。
オノフKUROアイアン(2024)5番×モーダス105S
ヘッドスピード | 48.2m/s |
ボールスピード | 61.4m/s |
平均キャリー | 204y |
平均トータル | 216y |
平均サイドスピン | 120rpmフェード |
平均バックスピン | 4662rpm |
平均打ち出し角 | 0.4° |
平均打ち上げ角 | 20.0° |
最大の高さ | 47y |
落下角度 | 51° |
左右ブレ | 4y |
今度はKUROアイアンの5番です。ロフトは25°です。オノフのアイアンはロングアイアンまでしっかりと繋がりを感じるのが好きですが、KUROアイアン2024年モデルもそれは健在です。
平均キャリーは204yで、バックスピン量は4662rpmです。前作の5番のデータを撮り忘れていましたが、このスピン量と飛距離のバランスは良いですね。番手間の距離の違いも悪くないです。
方向性をみても、同じシャフトで打った7番より少しだけ右に寄っており自然な差を生んでいます。最近のアイアンはハイテクになって、5番で7番と同じ方向性をつけているものもありますが、そもそも7番と5番は長さが違って打ち方も変わるので方向性は手を加えない方がシンプルだと感じました。
オノフKUROアイアン(2024)の良い点
- 試打データは相変わらず良い
- 上まで滑らかに繋がった重心設計
- 更に良くなった打感
- ウェイトギミック
オノフKUROアイアン(2024)のイマイチな点
- 買い替えが必要なほどの違いが無い
オノフKUROアイアン(2024)の打感
オノフKUROアイアン2024年モデルの最大のトピックだと思っているのが内部の樹脂の使い方です。
前作ではフェースの下側だけに樹脂を入れていましたが、2024年モデルではそれを前面に配置変更。これにより確実に分かるレベルでの打感の向上に成功しています。金属感が薄くなり、不自然にはなりましたが完成度は上がっていると私は考えます。
オノフKUROアイアン(2024)でも健在のPW
オノフKUROアイアンは先に述べた5番アイアンの完成度に加えて、PWも忘れてはいけません。捕まりすぎないPWです。KUROアイアンと同じ32°のモデルだと、PWだけ軟鉄鍛造になっていたりして、突然違うクラブが組み込まれたようなセッティングになっている物も少なくありません。
しかし、KUROアイアンはPWも繋がりが適切で自然。アスリートアイアンと呼んで良いと思います。昨今はロフトだけでアスリートアイアンだとか言う頭の悪い評価をしている人がいますが、安直です。KUROこそ正当な32°のアスリートアイアンに相応しいでしょう。
オノフKUROアイアン(2024)のセッティング
アイアンマトリックスチャートでは前作のKUROのやや右あたりです。形状の割には操作感の良いカテゴリーに属すと思います。

シャフトへの反応はしっかりと出ますので、自分が気に入っているシャフトがあればそれに差し替えてカスタマイズしても良いでしょう。今回の試打ではモーダス105が扱いやすかったです。ストックのシャフトなのでそれがマッチしていると言うのも良いですね。
データチャート
オノフKURO2024年モデルはもちろん高評価のアイアンです。飛距離とスピンのバランスは高次元ですし、打感を更に良くした判断も素晴らしいです。一方で、操作感が増した反面安定性がやや損なわれた感じはするのでこの辺りは考え方次第だと思います。前作と極めて似ていますが2024年モデルの方が少しだけ捕まったりスピンが増えていたりします。モデルチェンジというよりもバージョン違いと考えた方が良いかもしれませんね。
総合評価
名器と評した2022年モデルがあるからこそ、2024年モデルのKUROアイアンは霞んで見えてしまいます。客観的に考えれば試打データが良くて打感が良い中空アイアン。しかもロングアイアンからPWまで見事に繋がった方向性と距離を有しています。
順当に判断すれば星は5つの満点ですが、新規性の無さというくだらない判断材料で私は0.5ポイントだけ減点したいと思います。次作の躍進に期待です。
おススメ度 (4.5 / 5)
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