とうとう可変になった
アイアン型ユーティリティは、非常にニッチな市場であり需要は少ないです。
そのためどのブランドも展開しているわけではなく、話題になることも少ないわけです。特に最近ではハイブリッドでも当たり前になりつつある可変スリーブも、アイアン型ユーティリティに採用された例はテーラーメイドのギャッパーくらい。
そんな中、ピンの新しいクロスオーバーは可変式スリーブを搭載しました。2番、3番、4番をラインナップ。何が進化したのか、どんなクラブなのかを詳細に語っていきます。
ピンiクロスオーバーのデザイン
真っ黒なヘッドは前作のクロスオーバーと変わりませんが、全体的にはシャープに仕上がっているという印象です。
iクロスオーバーの「i」が何のiなのかは分かりませんがカッコいいので何でも良いです。
バックフェース部分はストレートで厚みに変化はありません。
可変スリーブの取り回しは中々興味深いものがあります。ネックは長めで、ホーゼルはフェースの前にあるような感じです。
iクロスオーバーは前作よりも艶が増えたように思います。
少しグースネックではありますが、違和感は特にありません。
試打データ
ピンiクロスオーバー3番(20°)×ピンツアー85S
ヘッドスピード | 45.6m/s |
ボールスピード | 64.0m/s |
平均キャリー | 232y |
平均トータル | 249y |
平均サイドスピン | 157rpmドロー |
平均バックスピン | 3270rpm |
平均打ち出し角 | 1.6° |
平均打ち上げ角 | 17.4° |
最大の高さ | 43y |
落下角度 | 47° |
左右ブレ | 0y |
20°のハイブリッドとしてはそこまで飛んでいると言うわけではないと思います。縦距離は若干不安定で、最高飛距離がキャリー244yと、平均からかなり離れています。
方向性はドロー先行ですが、フェードでも良い数値が出ます。最高値を除けばキャリー230yくらいにボリュームがあります。
バックスピン量は3000rpmを少し超えるくらいで安定します。フェード弾道は、2桁のサイドスピンというだけで、打ち出し角度によるフェードと言う意味合いが強いです。
ピンiクロスオーバー2番(18°)×ピンツアー85S
ヘッドスピード | 48.6m/s |
ボールスピード | 68.1m/s |
平均キャリー | 244y |
平均トータル | 259y |
平均サイドスピン | 137rpmドロー |
平均バックスピン | 3569rpm |
平均打ち出し角 | 0.8° |
平均打ち上げ角 | 17.4° |
最大の高さ | 50y |
落下角度 | 49° |
左右ブレ | -2y |
2番はロフト角18°で、キャリーはこちらも安定しているとは言い難いです。最高飛距離はキャリー251yでした。ただ、2°立っているにもかかわらず、打ち上げ角度は20°の3番と同じです。
同じシャフトなのもありますが、ほとんど同じような方向性でした。フェードも出ますし、ドローも打てます。こちらもやはりドローの方が先行します。
バックスピン量は3500rpmほどで、ロフトが立ってもしっかりスピンがかかるように設計されているのはさすがピン。弾道の高さもなぜかこちらの方が高いというのが不思議です。
ピンiクロスオーバー3番(20°)×N.S.PRO950GH neo
ヘッドスピード | 46.1m/s |
ボールスピード | 64.7m/s |
平均キャリー | 237y |
平均トータル | 255y |
平均サイドスピン | 116rpmドロー |
平均バックスピン | 3089rpm |
平均打ち出し角 | 2.4° |
平均打ち上げ角 | 17.5° |
最大の高さ | 44y |
落下角度 | 46° |
左右ブレ | 5y |
スチールシャフトで組んだらどうなんだろうと気になったのでとりあえずN.S.PRO950GH neoで試打してみました。iクロスオーバーはスチールシャフトの方が良いと思います。
ほぼストレートです。1球はサイドスピン0rpmになりました。2球は2桁のサイドスピンです。最高キャリーはピンツアー85と同じ244yです。
打ち上げ角度はスチールシャフトであっても同じです。
ピンiクロスオーバーの良い点
- 打感が格段に良くなった
- ストレート弾道が打てる
- 可変スリーブ
- デザインがカッコいい
ピンiクロスオーバーのイマイチな点
- ダフる
- セッティングの幅は広くない
- 縦距離が安定しない
iクロスオーバーは打感が良くなった
アイアン型ユーティリティで打感が良いモデルはほとんどありませんが、iクロスオーバーは中々良い線行っていると思います。
カタログを見る限りは樹脂は入っていないようですが、それにしては心地良いです。サウンドリブだけでそんなに打感が良くなるものでしょうか。こっそり樹脂を入れているように思えてならないほど上手く出来た打感です。
iクロスオーバーの欠点
コンセプト的にも低重心化はiクロスオーバーのトピックではありますが、これが良い方に働いているとは感じませんでした。
とにかくダフりが止まりません。しかもライ角がやたら立とうとします。つまりトゥダウンを誘発するということですが、この症状はカーボンからスチールにして軽減したことで確信に変わりました。
トゥ側が潜るのでアップライトにしようとしましたが、そもそもアップライトでフラットにしか出来ないので扱いにくいです。セッティングにおいてスリーブでどうにかすると言うのは難しいかもしれません。
ピンiクロスオーバーのセッティング
シャフトは柔らかくない方が良いです。トゥダウンしないようにセッティングするのが先決です。
カーボンであっても硬いスペックにしましょう。ちょっと重心低すぎるんじゃないかと言うくらいのヘッドなので、アイアン型ユーティリティが苦手な人にはメリットに働くかもしれません。
データチャート
飛距離性能は高くないし、安定性だって出すのは難しい。スピン量は下手すると低くなりすぎるし取り扱いは注意です。ただ、シャフトをうまく選ぶことが出来れば化ける可能性は十分にあります。
総合評価
打感が良くなったのと、デザインがより洗練されたのは高評価です。
難易度は高めで、特に捕まえるのが楽ではないと思います。硬いシャフトと相性が良くて捕まえにくいとなるとターゲットは一気に狭くなってしまいます。もちろんアイアン型ユーティリティに生ぬるいやさしさなんていらないのでこれで良い気もします。
おススメ度 (3.5 / 5)
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