ピン初の軟鉄鍛造マッスルバック
ピン初の軟鉄鍛造マッスルバックアイアンが登場しました。
その名はブループリント(BluePrint=青写真)。
カーボンスチールを削り出して作られるこのマッスルバックは、超上級者が求める操作性、打感を実現するとのこと。
ブループリントのスペックは以下の通りです。
番手 | ロフト角 | バウンス角 |
---|---|---|
2 | 17° | 4° |
3 | 20° | 5° |
4 | 23.5° | 6° |
5 | 27° | 7° |
6 | 30.5° | 8° |
7 | 34° | 9° |
8 | 38° | 10° |
9 | 42° | 11.5° |
W | 46° | 13° |
ピンのアイアンらしく、バウンス多めです。ライ角は変更可能なので表記していません。
私個人的にはマッスルバックアイアンの良さを感じたことは無いので、懐疑的ですがいつも通りデータメインで検証してみましょう。
さっそく試打データを見てみましょう。
試打データ①GC2
#7
ヘッドスピード | 43.5m/s |
平均キャリー | 171y |
平均トータル | 180y |
平均サイドスピン | 965rpmドロー |
平均バックスピン | 6828rpm |
平均打ち出し角 | 1.3 |
平均打ち上げ角 | 20.8° |
左右ブレ | -11y |
#5
ヘッドスピード | 45.6m/s |
平均キャリー | 196y |
平均トータル | 209y |
平均サイドスピン | 307rpmドロー |
平均バックスピン | 5007rpm |
平均打ち出し角 | 4.6 |
平均打ち上げ角 | 18.0° |
左右ブレ | 8y |
#4
ヘッドスピード | 46.3m/s |
平均キャリー | 209y |
平均トータル | 221y |
平均サイドスピン | 99rpmドロー |
平均バックスピン | 5076rpm |
平均打ち出し角 | 3.9° |
平均打ち上げ角 | 16.7° |
左右ブレ | 12y |
今回はブループリントの試打クラブをセットでレンタルしたので、4番からPWまで打つことが出来ました。
ブループリントはマッスルバックでロフト角も7番34°とかなり寝ていますので飛距離はそれ相応です。特に飛ばないというわけでは無く度数なり。
7番の距離ではタイトリストMBであったり、スリクソンZ-Forgedと同じキャリー。どんなに頑張っても最大飛距離はキャリーで174yでした。
青が7番、赤が5番、黄色が4番です。
試打データ②トラックマンレンジ
せっかくブループリントの試打クラブを借りたので、練習場に持っていきました。
そこで、数少ないトラックマンレンジを導入しているフルヤゴルフガーデンで計測をしてみました。
#7
トラックマンレンジの方が少しだけ距離が出ますが、どちらにしろそんなに飛んでいません。
#5
#4
ブループリント4番、マン振り。 pic.twitter.com/R3VM1geqPd
— リキ@短尺推進委員会⛳️ (@golf90players) 2019年7月13日
試打データ分析
少し画像や表がが多いのでここで整理してみます。
バックスピンは7番で7000rpm近い数値を示し、スピン性能の高さが分かると思います。
また、落下角は3球全て51°。
全体的にドロー回転なのは、ドローでないと全く飛ばなかったからです。フェードだとバックスピンが8000rpmを超えてキャリー165yほどに落ちます。
もちろん、それでも使えないことは無いのですが、ドライバーのヘッドスピード50m/sの私がこれだけ飛距離が落ちるので、平均的なヘッドスピードの人は気を付けてください。
さらに、番手が上がるにつれて右に寄っていくのもブループリントの一つの特徴だと感じました。
まぁ、単純にオーバースペックと言えばそれまでですが、練習場で打っていても油断すると右にプッシュする特徴的な弾道が見られました。
アイアンが割と得意ですので、これには違和感を覚えます。
ただ、右に飛ぶとはいえ、サイドスピンが多いスライスではありません。
操作性とは何か
このブループリントは、ピン初の軟鉄鍛造マッスルバックです。
一般的にマッスルバックは操作性が高いとか、スピンが良くかかるとか言われていますが、本当にそうなのでしょうか。
操作性ってなんですか?
スティンガーショットを打てるのが操作性と仮定するなら、要素を分析してみてください。スティンガーショットを打つには技術とクラブ、どちらの貢献度が高いでしょうか。
例えば、タイガーウッズやゲーリーウッドランドなどスティンガーショットをツアーで多用する選手がゼクシオを使ってスティンガーショットが打てないのでしょうか。
そんなことは無いでしょう。厳密には、曲がり幅を変化させやすいのは直進性の低いマッスルバックですが、それは慣れで解決できてしまいます。
ボールの記事でも時々言いますが、スピンがかかるから良いのではなく、そのスピンに慣れていて転がりが予想できれば良いんです。
また、操作性を当て方による距離の変化やバックスピンのかかり方を変えることと仮定してみたらどうでしょう。
距離は番手変更で解決できますし、スピン量も先ほどと同じ論理で技術に依存していますのでこれも成立しているとは言えません。
つまり、操作性とは非常に曖昧で不確定な言葉なのです。
まず、自分がそれを引き出せる技術を持っているのか考え直してください。シングルハンデやスクラッチプレーヤの中でも、限られた人しか恩恵は受けられないと、私は思います。
重量
私がレンタルしたブループリントはモーダス120Sを装着していたので7番では総重量426g。カタログ値430gです。たぶんこの秤が間違っています(笑)
5番で414g。
4番で407gでした。
ピンの他のアイアンは、ステンレススチールで出来ていますのでこれよりも15gほど軽く仕上がります。
例えば、同じモーダス120Sを装着してもi210は414gですから、16g軽い訳です。
正直、i210で重めのシャフトにした方がヘッドが相対的に軽くなって操作性が上がるのではないかと思います。
ブループリントはヘッド重量だけでピンの他のモデルよりも5~7%重いので、シャフトもそのくらい重くしないと似たような振り心地にはならないでしょう。
感覚的な部分
まずは、見た目。
ピンらしいつや消しの仕上げですが、フェース面はよく見るとミーリングが見えます。
確かに薄い。ピンの他のアイアンはこうやって見るとバウンスが付いているのが良く分かるのですが、ブループリントは良くも悪くもイマイチ分かりにくいです。
単独で見ても分かりにくいので、他のメーカーのマッスルバックと比べてみました。
左からブループリント、タイトリストMB、Z-Forged、ミズノMP5。
ほぼタイトリストMBと同じサイズ感でした。
構えると左のブループリントの方が薄く見えますが、ヘッドの長さに差は感じません。
次に打感です。
軟鉄の売りはその打感の良さ。鉄はどれだけ炭素を混ぜるかで靭性が変わります。なので同じ軟鉄でも使っている鉄の炭素含有量が違えば打感も変わります。
ブループリントの打感は確かに良いです。が、スイートエリアが激狭なので再現性は低く一般レベルの人からしたら打感が悪いクラブになるでしょう。
9割センターに当てられなければ打感が良いとは思えません。
スイートエリアにヒットした時の打感はまぁそこそこ。タイトリストMBやZ-Forgedよりは打っていて気持ち良いですが、自分が使っている三浦技研やキャロウェイAPEX MB、オノフラボスペックMB247Dほどではありません。
データチャート
あくまで客観的にまとめると、飛距離、安定性は高い技術を要するので易しさに連動する形で評価は下がります。
ただ、スピン量は誰が打とうがおそらく多くなるので評価しました。
また、1本32000円(税抜)で最大2割引きまでしかされないので高いです。それだけ払うならオノフのMBを買います(笑)
総評
私個人としてはこういうクラブは好きです。
とにかく見た目がかっこよくて、芯に当てた時の打感の良さも抜群。
ただ、誰がこのクラブを使いこなせるのでしょうか。このサイトでは、私が他の人におススメできるかを軸に評価しています。
ほんの一握りのエリートゴルファー以外にこのクラブを進めることは出来ません。
マッスルバックの中でもハードコアなクラブですから、一度打って体感してみるのも良いかもしれませんね。
おススメ度



マッスルバックならこれが高評価でした↓


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