小ぶりヘッドの定番
定期的に小ぶりなヘッドを出してくれるブランドが少なくなってきているので存在だけで価値があると思います。個人的に小ぶりなヘッドは好きではありませんが、おもちゃとしての面白さがあるので評価するのは好きです。
今回試打評価するタイトリストTSR3ユーティリティメタルは、年によってかなり評価が分かれている系譜のモデルです。同時に発売されるもう一つのライン(2系)との兼ね合いもあるのでその辺りも含めた総合的な評価をしていきます。
タイトリストTSR3ユーティリティメタルのデザイン
TSR3ユーティリティのソールは、前作と比べてやや広くなったように見えます。
埋め込みタイプの可変ウェイトが仕込まれていて、ニュートラルを含めて5つのポジションから選ぶことが可能。
ソール後方はかなり独特な形状になりました。センターに一本ラインが入っていて、肉抜きが強調されています。デザイン的な美しさもありますし、TSR3ドライバーとの整合性、そして性能的な合理性が期待できます。
TSR3ユーティリティの最大のトピックはフェース形状とスコアラインにあるかなと私は考えています。これまで割と長方形に近いフェースでしたが、前作からだんだん滑らかになってきていて、TSR3でかなり丸みを増したように感じます。
フェースアングルはこれまでほどは開いておらずほぼスクエアになったかなと思います。このクラウン形状もだいぶ丸くなりましたね。これだけで“やさしそう”などという安易なワードチョイスはしませんが、一つの大きな変化であることは間違いありません。
試打データ
TSR3ユーティリティメタル21°×テンセイプロ1K 70S
ヘッドスピード | 51.1m/s |
ボールスピード | 64.7m/s |
平均キャリー | 219y |
平均トータル | 233y |
平均サイドスピン | 27rpmストレート |
平均バックスピン | 4147rpm |
平均打ち出し角 | 3.2° |
平均打ち上げ角 | 21.3° |
最大の高さ | 55y |
落下角度 | 52° |
左右ブレ | 13y |
21°のハイブリッドとしての飛距離性能と考えると、さほど飛んでいません。TSR3ユーティリティのような小ぶりなヘッドは割と飛ぶモデルが多いですからある意味差別化ポイント。ハイブリッドはドライバーと違って番手が存在するので飛ばなくても価値を演出することができます。
弾道は全体的には右に寄っていて左を防ぐ能力に長けていると思いました。ただ、捕まえようとした時に抵抗するようなことはないので素直な中に引っ掛けにくさを持つフィーリング。
コントロールショットも自在です。バックスピンもかかるのでキャリーの安定感、グリーンでのグリップも悪くないでしょう。
TSR3ユーティリティメタル21°×モーダスGOST S
ヘッドスピード | 51.7m/s |
ボールスピード | 66.1m/s |
平均キャリー | 228y |
平均トータル | 242y |
平均サイドスピン | 432rpmドロー |
平均バックスピン | 3955rpm |
平均打ち出し角 | 0.9° |
平均打ち上げ角 | 19.9° |
最大の高さ | 54y |
落下角度 | 51° |
左右ブレ | -12y |
もっとフェードするかと思いましたが、硬さのおかげかドローで集まりました。距離的にはこちらの組み合わせの方が飛んでいます。バックスピン量は4000rpmを切っているのでやや低スピンなのかもしれません。
弾道の安定性は素晴らしいです。重量が増えてシャフトの難易度も上がっているので誰でもこうなるとは考えにくいですが、そもそもハイブリッドを高いレベルで打ちこなせる人以外がTSR3ユーティリティを検討するとも思えないのであまり心配していません。
ヘッド形状がどれくらい影響したかを厳密に比較するのが難しいですが、確実にこれまでの3系とは違うと感じます。
TSR3ユーティリティの良い点
- 弾道の打ち分けがしやすい素直なヘッド
- バックスピン量が適度で距離が読みやすい
- デザインがかなりかっこいい
- 安定性が出せる
TSR3ユーティリティのイマイチな点
- 決してやさしいわけではない
タイトリストTSR3ユーティリティはこう使え!
TSR3ユーティリティはどんな人のどんな要望に応えられるか。
まず前者ですが、ハイブリッドでセカンドショットを多用する人や左右の打ち分けを多用する人です。
もちろんセッティング次第で飛ばし屋ならティショット用にもなるでしょう。あなたが思うようなクラブに仕上げるベースとして、必ず助けてくれるはずです。
データチャート
TSR2ユーティリティも高評価でしたが、TSR3ユーティリティも負けず劣らず高評価です。TSRシリーズの完成度の高さは凄まじいです。性能などの特徴を総合して考えるとTSR3ユーティリティは小ぶりなユーティリティにありがちな欠点がほとんど解消されています。偶然とは思えませんね。
総合評価
正直TSR2ユーティリティが無ければもっと際立って印象的だったと思います。
ですが同じ世代で両方がそれぞれキャラクター付けがされていて、両方が完成されているというのは尋常ならざることです。カーボンクラウンでないハイブリッドとしては珍しく高評価となりました。
おススメ度 (5 / 5)
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