分岐進化したからこそ
ゼクシオは2019年モデルからゼクシオ数字シリーズとゼクシオエックスの2ラインに分岐しました。これによって、数字シリーズはよりターゲットをシニアに絞って軽量で振り感の軽いドライバーを作ることができています。
一方でゼクシオエックスはややアスリート向けにシフトし、攻めた設計や素材選択をしてなんだか自由に解放された感じがしますね。私個人的にはゼクシオはとても評価しているドライバーで、ハードヒッターでも十分使えると考えています。
今回は、試打データをもとに2021年モデルのゼクシオエックスを評価していきたいと思います。



ゼクシオエックスのデザイン
2021年モデルのゼクシオエックスは大胆なクラウン形状を採用しました。まさかゼクシオでやるとは思いませんでしたが、クラウンに空力パーツを装着したのです。私は前々からゼクシオの進化は空力しか残っていないと言っておりましたが、その通りになって驚いております。それがこのアクティブウィング。
こういった空力パーツで懸念されるのはやはり風切り音なのですが、さすがゼクシオ、気配すらありませんでした。
そして見た目ですが、構えても先程のアクティブウィングは気になりません。模様が入っているなぁとは思いますが、凸凹は正直よく見ないと分からない。
さらにソール部分にも空力パーツがあります。よく考えたら、片側に空力パーツを配置したところで、1方向にばかり力がかかってそれを抑えることが出来ず大きなミスにつながる可能性があります。だから、ゼクシオエックスのように両方向から力が加わるようにすることで、安定した挙動を目指すのは合理的だと思うのです。
テーラーメイドのイナーシャジェネレーターみたいなデザインですね。カラーリングは緑と黒。2021年モデルのゼクシオエックスにはカーボンのパーツは見られませんでした。
機能面での変更
2021年モデルのゼクシオエックスのトピックといえばこの可変スリーブの採用だと思います。
本来可変スリーブにすると重量が増えて捕まりが良くなり過ぎてしまうので、これまで採用を見送ってきました。2021年モデルで採用された可変スリーブはスリクソンの物と全く同じで互換性がありますので、スリクソンユーザーも取り込むことが出来そうです。
よく見るとしっかりと肉抜きがされているあたり、抜かりないですね。
試打データ
ヘッドスピード | 54.8m/s |
ボールスピード | 77.0m/s |
平均キャリー | 289y |
平均トータル | 307y |
平均サイドスピン | 495rpmドロー |
平均バックスピン | 2976rpm |
平均打ち出し角 | -3.2° |
平均打ち上げ角 | 16.6° |
最大の高さ | 57y |
落下角度 | 49° |
左右ブレ | -47y |
それでは本命の試打データを見ていきます。平均キャリーは289yで最高キャリーは290y。平均がほぼ最高ということで、飛距離の安定感が伺えます。
バックスピン量はやや多い3000rpm弱ですが、ギリギリ許せるくらいな飛び方です。そして、捕まりは程よくスライスすることはまずないです。
この試打データで一番注目してほしいのが初速。平均で77m/sというのは中々優秀で、これまでのゼクシオには見られない進化かなと思います。決して初速が速いメーカーではありませんが、これは評価したいですね。
弾道は57yと高いものの落下角度も緩く、弾道の凹みもないため、吹き上がっているという風には言えません。
ゼクシオエックスの感動したところ
それは、振り心地です。ありきたりに聞こえるかもしれませんが、振り心地は最高に良いです。
どんな振り心地かというと“導かれるヘッド挙動”です。言ってみればこれまでの空力パーツは車で言うウィングだけ付けた状態。アンダーカバーをして初めて強いグラウンドエフェクトを得ることが出来ます。
ゼクシオエックスはまさにそれを体現していると言えるでしょう。
データチャート
初速性能の高さは誰が打っても共通して享受できるメリットだと思います。さらに、ヘッド軌道の安定感もおそらく多くの人が感じられるくらいに顕著です。ただ、このチャートにすると評価が高くないように見えます。
スピン量が抑えられるシャフトにすればキャリー300yも余裕で超えると思います。
総合評価
さすがゼクシオだなという感じです。
歴史が長くなるとどうしても守りに入ってしまいがちで魅力がなくなる物ですが、ゼクシオエックスはメーカーの攻めの姿勢を感じ取ることが出来るドライバーだと思います。
ここまですんなりゼクシオであることを打つ人に伝え、ゼクシオらしい弾道が打てるゼクシオがかつてあったでしょうか。
おススメ度
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