可変ウェイトが復活
テーラーメイドといえば、おもちゃ要素満載のドライバーを発売するメーカー。しかし残念ながら前作SIM2では全てカーボンのソールにしたことで、可変ウェイトが廃止されてしまいました。
今作ステルスプラスでは、SIM以来の可変ウェイトを復活。テーラーのハイエンドモデルとして再びおもちゃドライバーが登場しました。
さらにカーボンフェースを採用し、これまでにはないドライバーが仕上がっています。今回は試打データをベースに、カーボンフェースの是非や性能を評価していきたいと思います。







ステルスプラスドライバーのデザイン
ステルスプラスドライバーのシルエットはSIM2に酷似していると思います。
SIMとSIM2の中間のようなデザインになっていて、誰が見てもテーラーメイドのドライバーと分かります。
クラウンだけ見てもあまり分からないかも知れませんが、若干ヒール側が削られたような形状。小ぶりに見えます。ステルスプラスドライバーにはこれまでのフレームの白い配色がなく真っ黒なので、かなり締まった印象。
そしてこれがステルスプラスにも採用されたカーボンフェースです。真っ赤です。正直気持ち悪いデザインです。打感もトータルしたら気持ち悪いので後で存分にけなすとします。
最近のテーラーメイドは座りが良くて感心します。まぁステルスプラスドライバーはSIMやSIM2と形状的には大差ないので当然かも知れませんが。
さらに、前作からステルスプラスになって変更されたのはこのウェイトです。SIM2ではイナーシャジェネレーターの先端全体がウェイトになっていましたが、ステルスプラスでは丸いウェイトに変更。重量やねじについては後述。
私のお気に入りポイントがここ。すかしのステルスロゴ。まさに”ステルス”って感じで良いです。
試打データ
ステルスプラス9°×純正テンセイTM50S
ヘッドスピード | 55.9m/s |
ボールスピード | 78.3m/s |
平均キャリー | 312y |
平均トータル | 334y |
平均サイドスピン | 132rpmフェード |
平均バックスピン | 2376rpm |
平均打ち出し角 | -2.8° |
平均打ち上げ角 | 15.7° |
最大の高さ | 52y |
落下角度 | 45° |
左右ブレ | -6y |
平均飛距離は、さすがテーラー。312yのキャリーは高評価出来ます。サイドスピンは、フェード傾向でミスをするのは基本的に右です。
青が純正です。弾道の高さはそこまで極端に低くもありませんが、打ち上げ角度は前作よりも低そうです。ステルスプラスドライバーで最も注意すべきなのはバックスピン量です。これはステルスの方でも書きましたが、フェードなのにバックスピンが2300rpm程度に収まります。
確かに私のように常識はずれのヘッドスピードならまだしも、捕まえるのが得意でない一般的なレベルのアマチュアや、ヘッドスピードが45m/sに満たない人にメリットがあるとは到底思えない過激な仕様です。
ステルスプラス9°×スピーダーNX60S
ヘッドスピード | 55.4m/s |
ボールスピード | 79.3m/s |
平均キャリー | 320y |
平均トータル | 344y |
平均サイドスピン | 373rpmドロー |
平均バックスピン | 2133rpm |
平均打ち出し角 | -3.5° |
平均打ち上げ角 | 15.3° |
最大の高さ | 49y |
落下角度 | 43° |
左右ブレ | -51y |
ステルスプラスは純正シャフトでもかなりの高初速でしたが、スピーダーにしたらさらに速くなりました。最高では80.5m/sと異常です。また、スピーダーの試打データではさらにバックスピン量が減って飛距離も伸びました。
ステルスドライバーの純正シャフトの平均キャリーが320yだったので総じて飛距離性能は高いと言えますが、バックスピン量が少なすぎてこれを引き出せる人は限られるでしょう。
赤がスピーダーです。やはりカスタムシャフトにすると低めになりますね。ただ、左にぶっ飛びすぎているので実用性は0。
ステルスプラスドライバー9°×ジアッタス5S
ヘッドスピード | 56.5m/s |
ボールスピード | 77.7m/s |
平均キャリー | 309y |
平均トータル | 331y |
平均サイドスピン | 294rpmフェード |
平均バックスピン | 2367rpm |
平均打ち出し角 | -0.8° |
平均打ち上げ角 | 16.8° |
最大の高さ | 55y |
落下角度 | 47° |
左右ブレ | 16y |
困った時はジアッタスですね。ステルスプラスは正直どう使用もないヘッドだなと感じていましたが、ジアッタスとの相性が良いことで多少救われたかもしれません。個人的には、軽量の50g台の方がしっくり来ました。
黄色の方がジアッタス5Sです。ちなみに赤はジアッタスの6Sです。
方向的には、ストレート打ち出しのフェードですから、安定性に優れています。そして、フェードでもスピン量が増えないステルスプラスらしい低スピンな弾道になっていますね。
飛距離性能も高く、最高で316yのキャリーを記録しました。フェードとしてはかなりすごいです。
ステルスプラスドライバー9°×ジアッタス6S
ヘッドスピード | 57.5m/s |
ボールスピード | 79.8m/s |
平均キャリー | 313y |
平均トータル | 334y |
平均サイドスピン | 269rpmドロー |
平均バックスピン | 2490rpm |
平均打ち出し角 | -3.2° |
平均打ち上げ角 | 15.8° |
最大の高さ | 54y |
落下角度 | 47° |
左右ブレ | -38y |
同じジアッタスでも6Sだとなぜかドローします。重い方がフェードしやすい私としては意外な結果となりました。ステルスプラスは左にはかなり大きく曲がってしまう傾向があるので個人的にはお勧めしませんが、スピーダーよりはましなセッティングだと思います。
面白いことに、通常ドローの方が減りやすいバックスピン量が、ステルスプラスドライバーではドローの方がバックスピン量が多いという結果に。
最高飛距離はキャリーで320yでした。
セッティングについて
結論から述べると、ステルスプラスドライバーのセッティングが成功することはほとんどないでしょう。
理由は方向性とスピン量にかなり癖があるからです。方向性の癖は試打データに現れません。ステルスプラスの方向性はかなり右です。私でもスライスが出るほど。捕まえようとすればたちまち左に飛んでいきます。
このピーキーさは前作SIM2では皆無だったので、ステルスプラスは方向性において退化したと言って良いでしょう。
ではせっかく復活したこのウェイトを使えば良いかと思うかも知れませんが、残念なことにこれもピーキーさを助長してしまうだけの無用の長物。
いつもなら、こういうシャフトを選ぶと良いなど偉そうなことを言いますが、ステルスプラスには少しもビジョンが見えません。
各種ウェイト
ステルスプラスドライバーのヘッド重量は少し重くなった197g弱。カーボンでフェースを軽くした分は後方に移動したのでしょうが、結果は功を奏していません。
先ほど紹介したウェイトはこのように外せます。テーラーのトルクレンチでは無理ですが、さらに細ければ中央にピンも無いので比較的簡単です。
このウェイトはネジを含めて6gと控えめ。SIM2では20g前後のウェイトがそれぞれのモデルに装着されていましたがステルスシリーズはプラスもHDも全て6g。
ヘッドの前=フェースが共通だとしたら、ヘッド後方のウェイトも同じ重さなので、ソール中央付近で違いを出しているはずです。つまり、そこまで変化をつけられないとも言えます。
おそらく分解すれば答えは分かるでしょう。
カーボンフェースのフィーリング
皆さんも気になるのがカーボンフェースのフィーリング。当然、良いわけではありませんが、思ったより全然マシです。
このカーボンフェースは、表面にPU=ポリウレタンの層があります。これが少し柔らかさを演出したり、音に影響しているとは思います。ボールのフィーリングがヘッドスピードによって違うように、このフェースもヘッドスピードによって感触は変わるでしょう。
ヘッドスピード55m/sで打つ限りステルスプラスは打感の奥底に硬さを感じます。ただ、ずっと打っていたいとは到底思えません。
他社製品と比べて
このチャートだとM5ツアーの右下あたりに当たります。誰も使いこなせない曲者です。全て網羅したチャートはこちら↓

データチャート
正当に評価したらこうなると思います。優しさは少しも感じず、ドM出なければ買わないでしょう。そして、私がおすすめすることも今後数年はないでしょう。
総合評価
ステルスプラスドライバーは歴史を変える名器の予感はしますが、ユーザーに愛される故の名器ではなく、これまでのトレンドを変えるゲームチェンジャーとしての名器です。
おススメ度
私の話が参考にならなかった人はUSモデルでも買ったら良いでしょう。必ず損しますが。

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