ステルスは一つの完成形か
カーボンフェースを採用して話題になったステルスの登場からもう一年が経過したことに驚きを隠せません。かなり売れたドライバーでしたが、かなり“売られた”ドライバーでもあります。
理由は単純、“私が言った通り”あまりにピーキーで方向の安定感が出しにくいから、捕まえるのが難しいから、高さを出すのが難しいからです。ステルス2シリーズになったのでその辺を改良していることは当然だと思いますがそれがどのくらいの仕上がりになっているのかが楽しみですね。
この記事ではステルス2シリーズの中でもセレクトストア品のステルス2プラスドライバーを試打評価していきます。
ステルス2プラスドライバーのデザイン
ステルス2プラスドライバーはソールに可変ウェイトを持ちます。
スライドする方向はトゥ⇄ヒールの位置方向で左右の弾道調整機能です。ステルス2プラスの形状は基本的にステルスプラスとさほど違いはありません。
細かい変更点としてはイナーシャジェネレーターの部分にレールのような形状が見られます。
ステルス2プラスもステルス2同様艶ありの真っ黒クラウンです。ステルスの文字が艶消しで描かれています。
ステルス2プラスドライバーもディープバック形状になっています。後方のウェイトの張り出しが大きいので座りも良いです。
ステルス2プラスドライバーの面構えは真っ直ぐで良いですね。ソール形状が座りに貢献していますがそれだけでスクエアフェースになるわけではないので、このあたりの配慮を感じます。
カーボンフェースには大きな変更点はありません。色も同じなのである意味攻めてますよね。
試打データ
ステルス2プラスドライバー9°×純正ディアマナS
ヘッドスピード | 53.6m/s |
ボールスピード | 76.6m/s |
平均キャリー | 307y |
平均トータル | 328y |
平均サイドスピン | 31rpmドロー |
平均バックスピン | 2348rpm |
平均打ち出し角 | -0.8° |
平均打ち上げ角 | 17.1° |
最大の高さ | 55y |
落下角度 | 46° |
左右ブレ | -6y |
ステルス2プラスドライバーの試打データの特徴は初速の高さとスピン量にあると思います。ステルス2と比べてステルス2プラスの方が初速が高いです。スピン量はおそらく多くの人の予想に反して中スピン。ミスの傾向を考えても、ステルス2プラスドライバーが低スピンであるとは言えません。
平均キャリーは307yですが、最高キャリーは316yと飛距離性能もまずまず良いです。前作のステルスプラスよりも穏やかなクラブですが、飛距離性能は損なわれていないので上手く作っていますね。
方向性は極めてストレートで、平均サイドスピンが2桁になっていますが、それぞれの数値を見ても3桁のサイドスピンがかかることはありません。
スピン量もそうですが、打ち上げ角度も高いので弾道は割と高い方だと思います。この高弾道を考えると、スピン量を低いと判断しても間違いではないでしょう。
ステルス2プラスドライバー9°×ベンタスTRレッド6S
ヘッドスピード | 54.1m/s |
ボールスピード | 76.9m/s |
平均キャリー | 299y |
平均トータル | 319y |
平均サイドスピン | 60rpmフェード |
平均バックスピン | 2631rpm |
平均打ち出し角 | -1.1° |
平均打ち上げ角 | 16.5° |
最大の高さ | 55y |
落下角度 | 48° |
左右ブレ | -2y |
カスタムシャフトの中で一番色がピッタリだという安易な理由で2023年から国内展開が始まるベンタスTRレッドを入れてみました。初速性能は純正と比べても遜色ないのでカスタムへの反応も良さそうです。
サイドスピンはこれまた少ないですが、フェードしたりドローしたりとあまり方向の安定性は感じられません。捕まり自体は強くないステルス2プラスドライバーに捕まるベンタスTRレッドを組むのはイマイチでした。
バックスピン量はやはり多めで、2500rpmを超えています。もしステルス2プラスドライバーを低スピンだと思って試打を検討しないのであれば非常に勿体無いといえます。
最高キャリーは308yなのでやはりそこまでマッチしていないように思います。少なくとも、ステルス2プラスに捕まるシャフトを組んでも左に引っ掛ける可能性が増えることはないということだけ覚えておきましょう。
ステルス2プラスドライバー9°×ベンタスTRブラック6S
ヘッドスピード | 53.5m/s |
ボールスピード | 76.5m/s |
平均キャリー | 301y |
平均トータル | 322y |
平均サイドスピン | 113rpmフェード |
平均バックスピン | 2463rpm |
平均打ち出し角 | -0.1° |
平均打ち上げ角 | 17.0° |
最大の高さ | 54y |
落下角度 | 46° |
左右ブレ | 4y |
ステルス2プラスドライバーに低スピンのベンタスTRブラックを組みましたが、スピン量が下がることはありませんでした。サイドスピンは安定してフェードなので完全に左を消すことに成功しています。
平均キャリーこそ301yですが、1球だけキャリー312yで他はキャリー300yを超えていないのでこれといっておススメな組み合わせではありません。ベンタスTRブラックなので方向の安定性はもちろんありません。
初速こそ落ちていませんが、スピン量や角度を見ると少し捲れてヒットしている感じがしますね。
ステルス2プラスドライバー9°×ジアッタス6S
ヘッドスピード | 53.4m/s |
ボールスピード | 76.9m/s |
平均キャリー | 306y |
平均トータル | 329y |
平均サイドスピン | 266rpmドロー |
平均バックスピン | 2258rpm |
平均打ち出し角 | -1.2° |
平均打ち上げ角 | 16.5° |
最大の高さ | 51y |
落下角度 | 44° |
左右ブレ | -28y |
ステルス2プラスドライバーにジアッタスを組んで試打してみました。万能なジアッタスですが初代ステルスプラスには合わなかったので心配していました。ステルス2プラスとの組み合わせは抜群に良いです。
やはりこう考えると、ステルス2プラスは純正のようなシャフトとの相性が良いと予想できます。ベンタスのように癖の強いシャフトは避けるべきと私は考えます。
最高キャリーは310yです。純正シャフトと比べても飛距離の落ちが少なくサイドスピンも読みやすいのでこの組み合わせはおすすめですね。ちなみにステルス2プラスとジアッタスの組み合わせは最高初速78.1m/sなので凄まじいです。
ステルス2プラスドライバー9°×スピーダーNXグリーン6S
ヘッドスピード | 53.6m/s |
ボールスピード | 77.0m/s |
平均キャリー | 305y |
平均トータル | 326y |
平均サイドスピン | 297rpmドロー |
平均バックスピン | 2423rpm |
平均打ち出し角 | -1.9° |
平均打ち上げ角 | 16.2° |
最大の高さ | 53y |
落下角度 | 46° |
左右ブレ | -31y |
ステルス2プラスドライバーとの組み合わせとして比較的優秀だったのがスピーダーNXグリーンです。フェードが打てるくらいの方向性のシャフトで、引っ掛けにくいステルス2プラスとの組み合わせだと右に飛ぶと思いましたが、実際はドロー。
ただ、ストレート気味なので安定性が高いです。左右ブレは10yくらいでしたからかなり良いです。バックスピン量はやはり中程度で、同じシャフトを組んだステルス2と比べても300rpmくらい多いです。
初速もよく出ていて弾道の高さも十分。最大飛距離はキャリーで309yでした。純正と比べても劣らない良いしだデータです。ステルス2プラスで考えるなら純正の次に試打してみても良いかもしれません。
ステルス2プラスドライバーの良い点
ステルス2プラスドライバーの良い点は以下の点です。
- 純正シャフトが非常に仕上がっている
- 左を防ぐことに向いている
- 前後の重量バランスが優れている
- ゆえに振り心地が良い
- 高弾道低中スピンが打てる
- 初速性能が高い
ステルス2プラスドライバーのイマイチな点
ステルス2プラスドライバーのイマイチな点はこんな感じ。
- カスタムシャフトが同じ反応になりやすい
- 特別飛距離性能が高くはない
- 低スピンにしにくい
ステルス2プラスドライバーの打感
ステルス2プラスドライバーは打感が若干良くなりました。ステルス2と比較してもやや大人しく、ソフトに感じます。
なぜ打感に違いが出ているかはわかりませんが、良いに越したことはありません。もちろんそれでもSIM2のような気持ちよさは全くありませんので打感が良いから買うドライバーではないと思います。
ステルス2プラスドライバーのセッティング
ステルス2プラスドライバーの位置はマトリックスチャートのやや右の少し上あたり。SIMと似たようなポジションだと思います。
ただ、ステルス2プラスは角度もスピンもそこそこ出るのでSIMよりは上です。
これに合わせるシャフトは基本的にセンターのみです。ジアッタスの例からもわかる通り、癖の強いシャフトよりも癖のない純正シャフトのようなものと相性が良いです。かなり顕著なので、カスタムの選択肢は少ないと思います。ステルス2プラスではジアッタスを組んでも引っかけにくいのでフェード狙いよりは狭い範囲での左右の打ち分けをしたい人向けかなと思います。
データチャート
飛距離はまぁ普通でしょう。「飛ぶよね」なんて口が裂けても言えませんし、こういったコンセプトのモデルでカスタムの可能性があまり広がらないと言うのは期待外れでした。
総合評価
ステルス2プラスは良いドライバーだと思いますが、よく考えると安定性や打感ではSIM2、飛ばしやすさでもSIM2やステルスには優っていないのでテーラーメイドの歴史の中で目立つほどの魅力はありません。
単純にデザインが好きだったり、純正で使うことが前提なら良いですがそれ以外での用途はあまり考えられないかと思います。私的にはSIM2の劣化版と言う印象が強いです。
おススメ度 (3.5 / 5)
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