ファイズを一新
ブリヂストンは、これまでさまざまなモデルを展開してきましたが、2021年以降はBシリーズに統一を測っています。JGRが廃止されB2ドライバーに、JGRレディスもBレディになりました。
2022年に登場するB3は、“第三のB”というキャッチコピーで登場することになりましたが、要するにファイズの後継モデルです。
今回はB3の2つのモデルのうち、ストレートドライブを意味するB3SDドライバーを試打データをもとに評価していきます。
B3SDドライバーのデザイン
全く新しくなったB3SDドライバーはカーボンモノコックボディを採用したのが最大の特徴。モノコックとは直訳すると「1つの貝殻」と言う意味で、フレームではなく外板からなる構造のことを言います。
車なんかではよく聞きますが、ドライバーではほとんど聞くことがない構造。B3SDドライバーは①フェース部分(チタン)と②クラウンとソールが一体となったモノコック(カーボン)と言う2種類のパーツから成っています。
普通のドライバーはカーボンのプレートをフレームにはめ込んだり接着して作られますから、B3SDドライバーのこの構造は異質。
こうしてみると、継ぎ目がないことがわかるかと思います。後方はシャロー気味ですがお尻は少し上がっています。
サスペンションコアは他のモデル同様に搭載しています。
B3SDドライバーはこのカーボンモノコックの内部にウェイトを配置しています。フレームを廃止したおかげで余剰重量は20g増しになり、慣性モーメントも最大化されました。
B3SDドライバーはほぼスクエアフェースだと思います。若干フックに見える時もありますが。
フェースは中央にややボリュームがあります。トゥ側とヒール側は少し荒くなっているらしくこれでサイドスピンを低減する効果を狙っています。
試打データ
B3SDドライバー9.5°×純正テンセイ(SR)
ヘッドスピード | 53.5m/s |
ボールスピード | 74.4m/s |
平均キャリー | 281y |
平均トータル | 299y |
平均サイドスピン | 355rpmドロー |
平均バックスピン | 2892rpm |
平均打ち出し角 | -0.2° |
平均打ち上げ角 | 17.2° |
最大の高さ | 56y |
落下角度 | 49° |
左右ブレ | -22y |
総重量約280gのドライバーなのでヘッドスピードが上がるかと思いましたが、凡な数値になりました。これはB3SDドライバーの純正のシャフトがあまりにも柔らかいからではないかと考えています。
右に打ち出せるので曲がり幅は小さく安定しています。右にストレートも打てます。
この手の軽量ドライバーはキャリー290y行けば上出来ですが、B3SDドライバーは280y程度でした。軽量だからスピードが出ると言うわけではなかったのでかなり残念な試打データですね。
B3SDドライバー×ヴァンキッシュ5S
ヘッドスピード | 53.1m/s |
ボールスピード | 74.0m/s |
平均キャリー | 279y |
平均トータル | 298y |
平均サイドスピン | 386rpmドロー |
平均バックスピン | 2906rpm |
平均打ち出し角 | -2.5° |
平均打ち上げ角 | 17.4° |
最大の高さ | 56y |
落下角度 | 49° |
左右ブレ | -35y |
せっかくなので新しいシャフトとも組み合わせてみました。結果としてはあまり変わらず、初速は遅いままでスピンも同じくらいでした。方向性はやや左に偏りました。
ちなみに、B3SDとヴァンキッシュの組み合わせはとにかく安定性が高くて、扱いやすいです。
最大飛距離は平均値とほとんど変わらずキャリー282yでした。両方の試打データを見て、もう一つ特徴があります。それは打ち上げ角度です。17°を超える高い打ち出しはB3SDドライバーを選ぶ際にぜひ留意しておきましょう。
B3SDドライバーの振り心地
B3SDドライバーの純正シャフトはテンセイレッドのブリヂストン仕様。40g台です。
RとSRのみで、今回はSRを試打しましたが異常に柔らかいです。トルクは8を超えるので、ハリも何もないただぐにゃぐにゃなシャフトという印象でした。柔らかいシャフトが得意な私でも扱えません。
これは単にシャフトの柔らかさだけでなく、ヘッドの重心があまりに偏っていることも起因しているのではないでしょうか。
シャフト先端から重心位置が著しく離れているB3SDは、操作感が希薄で切り返しの時にフェースがどこを向いているのかが全然分かりません。安定することと、感覚的に操作しにくいというのは必ずしも一致しません。B3SDドライバーは打っていて楽しいクラブではありません。
他社製品と比べて
ではB3SDドライバーがどんな位置にあるのかをマトリックスチャートに落とし込んでみましょう。
位置としてはTS1の右上あたりかなと思います。ストレートドローの名に恥じないストレートに近い方向性だと思います。
B3SDのココをもっと頑張って欲しかった
実はB3SDドライバーはセレクトストア限定モデルで、ネットでの販売を予定していないようです。
しかも、純正シャフトは3種類も用意されているのですがテンセイブラック、ホワイトがゴルファーズドック限定という徹底ぶり。試打会よりもレアなゴルファーズドックでしか売らないとなると、もはやブリヂストンは売る気がないのではないかと疑うレベル。
お気づきの人もいるでしょうが、セレクトストア品ということは値引率が低いわけです。定価がそもそも高いので、ゼクシオと比べると実勢価格で1万円ほど開きます。そこまで払う価値があるかは、皆さんの判断に任せるとしましょう。
重量
総重量は280g程度、ヘッド重量は189gでした。
軽量ヘッドですね。
データチャート
これまで見たことのないようなレーダーチャートの形状になりました。簡単に言えば性能は安定性以外褒める点はなく、値段も高いドライバーということです。ゼクシオという圧倒的ライバルがある中でB3SDを選ぶ人がどれくらいいるのでしょうか。甚だ疑問であります。
総合評価
打感はBシリーズの中では良い方で、カーボンだらけの構造の打感を不安に思っている人がいるなら心配は要りません。
この重量帯ではドローを抑えているので需要があることも承知しております。が、しかしゼクシオの存在を考えれば、選ぶ理由はあまり多くないと思います。
きっとゼクシオが存在していなければB3SDドライバーもそこそこ面白いモデルなので評価は高かったはずです。まぁゼクシオが無ければB3SDも産まれていなかったのでジレンマですが。
おススメ度
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